最後の10円玉【3つのお題に空想のひらめきを】
昭和ノスタルジーに挑戦しました。
相変わらずの1,500字と長めです。
お時間のある時に読んでいただけると嬉しいです!
よろしくお願いします。
🎈お題①:「わら半紙のラブレター」
🐾お題②:「麦わら帽子の少年」
⏳お題③:「最後の10円玉」
授業が終わるチャイムが鳴ると、小4のケンちゃんは何して遊ぼうか考えながら、ランドセルの金具をガチャガチャ鳴らし、教科書を無造作に入れていた。
すると、隣の席のくみちゃんが、ケンちゃんに声をかけた。
「……ケンちゃん、これあげる。
家、帰ってから、一人で読んでな」
くみちゃんは二つ折りのわら半紙をケンちゃんに渡した。
「……おお。
わかった!
ほな、また明日な!」
ケンちゃんは、ポケットにわら半紙をいれて、走って帰宅する。
ランドセルを玄関に放り投げて、遊びに行こうとした時
「あ……そや……」
ポケットのわら半紙のことを思い出して、玄関に座り込み、二つ折りのわら半紙を開いた。
『ケンちゃんへ
いつもとなりで笑ってくれるとうれしくなります
大好きです
二人でお話したいので電話してください
〇〇ー〇〇〇〇
くみより』
ケンちゃんはわら半紙に書かれた文章を何度も読み直す。
(ワラッテクレルトウレシイ……?
ダイスキデス……?)
読めるが、わからない……。
ケンちゃんは洗面台の鏡に立ち、満面の笑みで笑ってみる。
首を傾げる。
右の口角をあげてみる。
首を傾げる。
(これが嬉しいんか……?)
すると
「ケン、何してんの。
お母さん、洗面台使いたいねんけど、まだ使うん?」
とお母さんに声をかけられて飛び上がった。
「何もしてへん!!
勝手にみんなや!!」
「何やの、この子。
はい、のいて、のいて!」
お母さんに押しのけられ、ケンちゃんはその勢いで外に出ることにした。
木の棒を振り回して、ブラブラしていると、公衆電話が目に入った。
ケンちゃんは公衆電話の前でポケットに入っていた10円を取り出し見つめる。
(そういや、電話してください、って書いてたなぁ……)
思い切って電話をかけてみた。
2コール目に
『もしもし……』
と、くみちゃんの声が受話器越しに聞こえる。
ケンちゃん、ドキリとするも、ギュッと受話器を握りしめて話し始める。
「あーもしもし、こちらケンです。
えっと……手紙読んだわ。
ありがとう……」
『……うん』
沈黙が流れる。
(……これ、オレがなんか話せなあかん感じ!?
どないしよ……)
と、モゴモゴしてたらくみちゃんが話しだす。
『この前、麦わら帽子かぶって、外で遊んでたの見てんけど……
何して遊んでたん?』
不意の質問に、ケンちゃんはあたふたしながら、高速で記憶を巡らせる。
(この前……麦わら帽子……日曜日のことか!!)
「あー、あれな。
えっとぉ……蟻地獄!!
蟻地獄に蟻入れて遊んでてん!
蟻、入れたらな、ほんまにパクリやで。
ほんま、地獄やで!」
捲し立てるように一気に話す。
また沈黙。
ケンちゃんが何とか話を続けようと思ったら、くみちゃんがポツリと言う。
『……なんか怖い遊びやな……』
ケンちゃん、焦って
「い、いや、ウソウソ。
ほんまはな……」
のところで、警告音が鳴り始め電話が切れた。
ケンちゃんは慌てて財布をひっくり返したが、5円玉と1円玉2枚がチャリンと地面に落ちる。
最後の10円玉だった。
(……なんや、変な感じで電話切れてもうた……)
数秒考えこむも「明日、また話せばええか」と思い直して、そのまま遊びに行った。
次の日。
登校すると、くみちゃんが話しかけてきた。
「……ケンちゃん。
あんな……昨日のお手紙、返してもらってもええ?
なんか、漫画みたいな展開と、ちょっと違ってたなぁと思ってもうて……」
ケンちゃん、キョトンとしながら言う。
「えっ……?
えっと……家に置いてきたから……明日でもええか?」
「……うん。
明日、絶対忘れんとってな。
……あんな、お話は学校で普通にするのが、一番ええなと思って。
……だから、手紙のこと、忘れてな……」
くみちゃんが、ちょっと申し訳なさそうな顔で言う。
「……えっと、わかった……」
授業が始まるチャイムが鳴り、それぞれ席に着く。
(……なんやったんや??)
小4のケンちゃんは最後まで何が起きたのかわからなかった。
おしまい。
みかんさん、作品紹介・マガジン収録ありがとうございます🍊✨
少し微調整して、投稿しなおしてます!
