消えたお金【第47回3つのお題に空想のひらめきを】
🎈お題①:「山うさぎの願いごと」
🐾お題②:「おおかみと春の花」
⏳お題③:「欲張り長者と消えた金」
こちらのお題には初めて参加します。
よろしくお願いします🙇
2000字ほどありますので、お時間あればぜひお読みください🙏
むかし、むかしあるところに、『欲張り』と評判の長者がいました。
ある春の晴れた日のことです。
いつもは算盤を忙しなく弾いている長者が、縁側で虚ろな目をしてぼんやり空を眺めてました。
そこへ山うさぎがやってきました。
「長者さん、えらい元気ありまへんな。
どないしたんですか?」
すると、長者は堰を切ったようにワーっと泣き出しました。
「コツコツ貯めてたお金が消えてもうた〜!
わーん!!」
山うさぎはびっくり!!
「えらいこっちゃ!!
でも、泣いても解決なんてせぇへんよ?
なんで消えてもうたんか、考えよ!」
長者と山うさぎは考えましたが、これといって何も思いつきません。
そして山うさぎは閃きました。
「あの山の奥に、大層頭の切れるおおかみがおるって聞いたことあるわ。
そのおおかみに、解決してもらいましょう!
私、お願いしてくるわ!」
山うさぎは山奥のおおかみのところに行き、長者の消えたお金を探して欲しいとお願いをしました。
最初は面倒がっていたおおかみだったが、うんと喜ぶご褒美を用意すると言うので、しぶしぶ協力することにしました。
長者の屋敷に来たおおかみは、部屋をあちこち眺めながら聞きました。
「そもそも、消えたお金はどこへ置いてたん?」
「掛け軸の裏の壁に隠し扉があって、そこに隠しててん…。」
と、いって隠し扉を開けると、そこには消えたはずのお金があるではありませんか!
「あれ!?
確かに昨日までなかったのに…
お金あるやん!!」
「なんや、人騒がせなやっちゃなぁ。
はい、一件落着〜」
帰ろうとするおおかみに向かって、長者はブルブルと震える声で言います。
「ほんまになかったんやって!!
えぇ…
なんなん…
妖でもおるんかいな…」
山うさぎがチラチラとおおかみを見ながら言います。
「……長者さんの勘違いってことですかねぇ。
それかほんまに妖のイタズラですかねぇ…。」
おおかみはかったるそうにため息をついてから、長者に言います。
「長者さん。
この屋敷に、妙に羽ぶりの良くなったやつと、妙にみすぼらしくなったやつがおったら教えてくれ。
そいつらの話を聞けばなんかわかるかもしれん。」
長者は、おおかみの言いつけ通りに屋敷を見回りました。
そして、5人の子供たちを連れてきました。
「羽ぶりがいいと言うか……わしが買った覚えのない算盤や高価な筆を持ってたんや……。
聞けば奥方が買うて渡したらしい…。」
子供たちも口を揃えて言います。
「お母様が『お父様のように読み書き・算術を頑張るのですよ』と言って渡してくれてん!」
それを聞いたおおかみはにやりと笑ってこう言います。
「ほな、奥方様にお話聞かせてもらいましょうかね。」
おずおずとやって来た奥方は、長者の前で土下座をしました。
「旦那様、大変申し訳ございません!!
勝手にお金を拝借したのは私でございます…。」
奥方は、掃除の折に隠し扉を見つけたこと。行商人が持ってきた算盤と筆を、子どもたちに買ってやりたかったこと。着物と櫛とかんざしを質に入れて、急いで返したこと。
ひとつひとつ話すうちに、奥方の目からポロポロと涙が溢れました。
長者は泣いてる奥方を見てオロオロするばかり。
おおかみは、長者に聞きます。
「長者さん。
なんで扉に隠してまでお金貯めはってたんです?
なんか理由でもあるんやないですか?」
長者は泣いている奥方の背中をさすりながら言いました。
「ありがたいことに、5人の子宝に恵まれたんやけど…。
奥方にお金を渡しても、子どもたちのためにしか使わへん…。
今着てる着物も、もう何年も同じのを着ていて…。
もっと自分のためにも使って欲しくて、わしが代わりにお金を貯めて、何か買ってやろうと思ってたんや…。」
奥方が顔を上げました。
「……旦那様…。」
長者は照れくさそうに、目を逸らしながら言いました。
「……奥方や。
質屋に売ったものの代わりに、新しいもの買いに行こうか。」
その時、山うさぎは、庭に咲いていた春の花を摘んで、奥方に差し出しました。
「これ、どうぞ。
お金やなくても、嬉しいもんってあるんやと思うんです。」
奥方は涙を拭きながら、その花を受け取り微笑みました。
長者は、その様子を見て、つられて笑いました。
「……ほな、次は花でも贈ってみるかのう。」
無事に解決した消えたお金騒動。
おおかみはふと、山うさぎに向かって言います。
「おい、山うさぎ。
オレがうんと喜ぶご褒美はどうした。
はよ渡せ。」
山うさぎはにっこり笑って言います。
「こっちにありますよ!
すごいですよ〜!!」
山うさぎが連れて来たところは、色とりどりの春の花がひしめき合うように咲いている丘でした。
「どうです!!
この景色!!
この景色を見て喜ばんものはおりませんよ!」
おおかみは、えっ!?これがご褒美!!?と思いましたが、山うさぎが一生懸命、花の種類を説明し始めたので耳を傾けることにしました。
「……こんなんで喜ぶかいな……。」
そう言いながらも、おおかみはその場に腰をおろしました。
おおかみと山うさぎは、日が暮れるまで、春の花の丘を眺めて過ごしましたとさ。
めでたし、めでたし。
