拗ねた太陽【第47回3つのお題に空想のひらめきを】
🎈お題①:「空に落ちた国」
🐾お題②:「世界のはじまりの音」
⏳お題③:「泣き虫な太陽」
こちらのお題に参加させて頂きました。
1500字ほどあります。
よろしくお願いします🙇
カラスが曇り空を眺めていると、雲の隙間からヌッと何かが現れた。
「なんやねん、あれ」
カラスは雲の隙間から現れた何かに近づくと、国だった。
空に落ちてきた国に住むスズメが、捲し立てるようにカラスに言います。
「何、ここ!!
いっこも晴れてないやん!!
さっぶぅー!!
こっちはなぁ、国、落としてまで来たって言うのに、話ちゃうやんけ!」
どうやら、空よりもっと高いところにいたのだが、あまりにも寒くて落ちてきたという。
カラスは申し訳なさそうにスズメに言いました。
「太陽の恵み…とやらを期待してきたんやろ…?
残念ながら、太陽は今、ストライキ中や。
年々暑くなるから、みんなで『暑すぎやで』って、ちょっとだけぼやき?文句…??みたいなこと、言いすぎてもうてよ。
そしたら、ある日、えらい怒りはってなぁ。
雲の中に隠れてしもてん。
そこから、オレらの国も毎日曇り。
そろそろ機嫌直して欲しいわぁ…。」
するとスズメが、カラスの羽をポンと叩いて言います。
「ほな、一緒に、太陽の機嫌直しに行くで!
褒めちぎったら機嫌も直るやろ!」
スズメとカラスは早速、太陽のところへ行きました…が、太陽はふかふかの雲の上でくつろぎながら言います。
「説得に来たんやったら無理やで。
こちとら、長年太陽やらせてもろてますけど、こない腹が立ったのは初めてやからな。
それに、たまに雲の隙間からチラ〜ッと覗くと『わー太陽の光やー!!あったか〜い!』って大歓声やで!
レア感あった方がありがたみもあるってもんやろ」
それを聞いたスズメとカラスは、ご機嫌取りをするものの、のらりくらりとかわす太陽。
そして、ついにカッとなったスズメが語気を荒げて言いました。
「あー!!
なんやねん!
自分、めっちゃ面倒くさいな!
持ち前の明るさがある割に、性根は真っ黒やんけ!!
もう知らん!
たまにチラ見でもして、そのうちみんなに忘れられてしもたらええねん!!」
……言い過ぎやで…と固まるカラス。
さすがに言い過ぎたと思って、おそるおそる太陽を見るスズメ。
太陽は目をぱちくりさせた状態で固まっていたが次第に、顔をくしゃりとさせて
「……なんやの…。
そんなきつい言い方せんくてもええやん…。」
と言うと、ぽこぽこ…という音とともに、目から大粒の涙がブワッと溢れました。
溢れた涙は、スズメの国やカラスの国にポトン、ポトンと落ち、その涙が落ちた地面から、湯気がふわぁっと立ちのぼりました。
「……なんやこれ。」
カラスが地面をつつくと、そこにはぽこぽことお湯が湧いています。
スズメが足を浸けると、思わず羽を広げました。
「あったかぁ〜!!」
なんと温泉の出来上がりです!
突然できた温泉に、他の住民たちは最初戸惑っていたものの、ちょっと足をつけると、あまりの暖かさと気持ちよさに、みんなうっとり。
冷え切っていた国々に、少しずつ湯気が広がっていきます。
空から落ちてきた国の住人たちも、おそるおそる温泉に入り始めました。
「……え、めっちゃええやん。」
「これなら曇りでも悪ないかも。」
「移住先決定や!
国、落としてみるもんやな!」
それからというもの。
朝、東の空から太陽が現れると、
カラスとスズメは太陽のところへ行って、子どもや小動物が懸命に頑張る系のほっこりする感動話をするようになりました。
すると太陽は、
「ちょお、毎朝ええ話するんやめてや〜!!
そういう話、すぐ泣いてまうねん!!」
と大騒ぎしながらポコポコと音をたてて泣き出して、世界の温泉を温めるのでした。
その音を聞いて、住民たちは「今日も世界がはじまるぞ!」と気合いを入れるのでした。
おしまい。
