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春を待つ森の住人たち【3つのお題に空想のひらめきを】

ファンタジーに挑戦しました。
今回も2,000字超えです…🙇‍♀️
お時間ある時にお読みいだだけると嬉しいです☺️
よろしくお願いします🙇

🎈お題①:「春を待つ猫」
🐾お題②:「消えかけた魔法」
⏳お題③:「しゃべる木」

🍊第50回 3つのお題(ファンタジー)

とある森で猫が散歩していると

「おい。
 どこ行くねん。」

と、森の中で一際大きな木が話しかけてきました。

猫は驚きつつも

「どこ…っていうか、なんか肌寒いから、ぬくい場所探しててん。
春はまだまだ先やろ?
やから、なるべく日の当たるぬくいとこ行こうと思うてよ…。」

と言うと、しゃべる木はニヤリと笑って言います。

「木登りできるんやったら、わしの上に登ってみ?
おひさん当たってぬくいでぇ〜。
ただし、登る時、あんまり爪、立てるなよ。
地味に痛いねん。」

「……ほな、ちょい登らせてもらいましょうかね。
 爪はさっき研いだから、大丈夫やと思いますわ。」

猫はスススと木に登り、日の当たる暖かい枝でくつろぎました。

太くてしっかりした枝は、日の光でほんのりと暖かく、木の香りもしてとても居心地が良いので、猫はしゃべる木の枝で日向ぼっこをするのが日課になりました。

猫だけではなく、ウサギやリス、時には人間もやってきて、しゃべる木のところで過ごしています。

しゃべる木は暖かいだけでなく、とても物知りで、いろんな話を面白おかしく聞かせてくれるので、その話を聞くのもみんな楽しみにしていました。

特に人間は「その話いただきや!!」と何やら紙に書いて持ち帰っていました。

ところが曇って寒い日が続いたある日のことです。

猫は少しでも暖かいところを…と思い、しゃべる木のところに行くと、しゃべる木がゴホゴホと咳をしていました。

「あかん…風邪ひいてもうた…。
 うつるからあんまり近寄らん方がええで。」

しゃべる木がガラガラ声で言います。

「はちみつでも持ってこようか?
 喉にいいらしいで?」

猫は心配して言います。

「いやいや、大丈夫。
 明日、魔法使い来るから、魔法使いに治してもらうわ…。」

「魔法使いが来るん?
 何しに来るん?」

「ほれ、わしって物知りやん?
 だから、魔法使いは知りたいこと聞くために、わしにしゃべれる魔法かけてんねん。
 でも、その魔法はずっと続くわけちゃうからよ。
 魔法が消えかかったら、来てかけなおしてくれんねん。」

「そうやったんかいな。
 ほな、今日一日の我慢やな。
 ……まぁ、それでも気休めにはちみつ持ってくるわ。」

猫ははちみつを持ってきて、しゃべる木に飲ませると、とても喜んでいました。

次の日。

魔法使いは来ませんでした。

次の日も、そして次の日も…待てど暮らせど魔法使いは来ないのです。

しゃべる木の咳はひどくなるし、魔法もどんどん消えていっているのか、とうとう喋らなくなりました。

たまりかねて猫は魔法使いのところに行くと、なんと家のドアに『冬眠中』と札がかかっていました。

「おいおい!!
 魔法使いが冬眠って!!
 聞いたことないで!!
 こらー!!
 起きろー!!
 しゃべる木がえらいことになっとるで!!」

魔法使いの家の前で騒ぎますが、全く反応はありませんでした。

猫は大急ぎで他の動物たちに事情を話して、魔法使いの家の前で何度も大声をかけます。

どんどんと扉を叩きますが、中からはぐぉーぐぉーというイビキしか聞こえません。

このまま、春を待つしかないのか…。

しゃべる木は、春までしゃべられないのか…。

冷たい風が吹き、みんなが項垂れていたその時、人間が言いました。

「……春を作るで。」

「……春を作る?」

「オレは人間の世界で、演劇というものをやっていてな。
 演劇では大道具や小道具、照明を使って、何もない空間をある時はお屋敷の中のようにしたり、森の中のようにしたりして、お芝居をするんや。
その技術を使えば…ここを春にすることができる!!」

動物たちはどよめき、早速、人間の指示のもと、魔法使いの家の周りを春っぽくしました。

造花を敷き詰め、棒に糸を垂らして蝶々が飛んでるようにし、紙吹雪でまるで花が散ってるかのようにして、春を演出しました。

そして、みんなで「暖かくなってきたなぁ〜」「すっかり春やわ〜」と口々に言うと、魔法使いの家のドアが開き、あくびをしながら魔法使いが出てきました。

「ふぁ〜。
 ……なんか寝足りん気ぃもするけど、春が来たから、そろそろ起きるかぁ〜。
 ……今年の春、なんか寒いな…。」

猫はすかさず魔法使いに近づき、しゃべる木が風邪を引いたことや、魔法が消えかかって喋れなくなってることを伝えました。

すると魔法使いは

「そら、あかん!!
 魔法きれてもうたら、2度と喋られんくなってまうねん!!
 すぐ行くで!!」

と言って、ほうきにまたがり、しゃべる木のところにひとっ飛びします。

そして、しゃべる木に魔法をかけ直しました。

「あっぶな〜!!
 ギリギリやったで!!
 しゃべる木、どうや。
 声、出るか?」

しばらく沈黙が続き、みんなが固唾を飲んで見守っていると、こほんこほん、と2度ほど咳払いをしたのちに、しゃべる木が

「まーまーまー。
 こほん、こほん…。
 あーえーいーうーえーおーあーおー。
 声出た!!」

と言いました!

ガラガラだった声もきれいになり、風邪も治ったようです。

みんな「やった!!」「よかった!!」と大喜びです!

魔法使いもホッとして、みんなにお礼を言うとまた冬眠しました。

その後、猫たちはしゃべる木のところに集まり、誰か1人がお話を1つ持ってきて、お話をしながら春を待つことになりました。

冬の寒さは続いたけれど、その時間はとても暖かい時間になったのでした。

おしまい。

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