春を待つ森の住人たち【3つのお題に空想のひらめきを】
ファンタジーに挑戦しました。
今回も2,000字超えです…🙇♀️
お時間ある時にお読みいだだけると嬉しいです☺️
よろしくお願いします🙇
🎈お題①:「春を待つ猫」
🐾お題②:「消えかけた魔法」
⏳お題③:「しゃべる木」
とある森で猫が散歩していると
「おい。
どこ行くねん。」
と、森の中で一際大きな木が話しかけてきました。
猫は驚きつつも
「どこ…っていうか、なんか肌寒いから、ぬくい場所探しててん。
春はまだまだ先やろ?
やから、なるべく日の当たるぬくいとこ行こうと思うてよ…。」
と言うと、しゃべる木はニヤリと笑って言います。
「木登りできるんやったら、わしの上に登ってみ?
おひさん当たってぬくいでぇ〜。
ただし、登る時、あんまり爪、立てるなよ。
地味に痛いねん。」
「……ほな、ちょい登らせてもらいましょうかね。
爪はさっき研いだから、大丈夫やと思いますわ。」
猫はスススと木に登り、日の当たる暖かい枝でくつろぎました。
太くてしっかりした枝は、日の光でほんのりと暖かく、木の香りもしてとても居心地が良いので、猫はしゃべる木の枝で日向ぼっこをするのが日課になりました。
猫だけではなく、ウサギやリス、時には人間もやってきて、しゃべる木のところで過ごしています。
しゃべる木は暖かいだけでなく、とても物知りで、いろんな話を面白おかしく聞かせてくれるので、その話を聞くのもみんな楽しみにしていました。
特に人間は「その話いただきや!!」と何やら紙に書いて持ち帰っていました。
ところが曇って寒い日が続いたある日のことです。
猫は少しでも暖かいところを…と思い、しゃべる木のところに行くと、しゃべる木がゴホゴホと咳をしていました。
「あかん…風邪ひいてもうた…。
うつるからあんまり近寄らん方がええで。」
しゃべる木がガラガラ声で言います。
「はちみつでも持ってこようか?
喉にいいらしいで?」
猫は心配して言います。
「いやいや、大丈夫。
明日、魔法使い来るから、魔法使いに治してもらうわ…。」
「魔法使いが来るん?
何しに来るん?」
「ほれ、わしって物知りやん?
だから、魔法使いは知りたいこと聞くために、わしにしゃべれる魔法かけてんねん。
でも、その魔法はずっと続くわけちゃうからよ。
魔法が消えかかったら、来てかけなおしてくれんねん。」
「そうやったんかいな。
ほな、今日一日の我慢やな。
……まぁ、それでも気休めにはちみつ持ってくるわ。」
猫ははちみつを持ってきて、しゃべる木に飲ませると、とても喜んでいました。
次の日。
魔法使いは来ませんでした。
次の日も、そして次の日も…待てど暮らせど魔法使いは来ないのです。
しゃべる木の咳はひどくなるし、魔法もどんどん消えていっているのか、とうとう喋らなくなりました。
たまりかねて猫は魔法使いのところに行くと、なんと家のドアに『冬眠中』と札がかかっていました。
「おいおい!!
魔法使いが冬眠って!!
聞いたことないで!!
こらー!!
起きろー!!
しゃべる木がえらいことになっとるで!!」
魔法使いの家の前で騒ぎますが、全く反応はありませんでした。
猫は大急ぎで他の動物たちに事情を話して、魔法使いの家の前で何度も大声をかけます。
どんどんと扉を叩きますが、中からはぐぉーぐぉーというイビキしか聞こえません。
このまま、春を待つしかないのか…。
しゃべる木は、春までしゃべられないのか…。
冷たい風が吹き、みんなが項垂れていたその時、人間が言いました。
「……春を作るで。」
「……春を作る?」
「オレは人間の世界で、演劇というものをやっていてな。
演劇では大道具や小道具、照明を使って、何もない空間をある時はお屋敷の中のようにしたり、森の中のようにしたりして、お芝居をするんや。
その技術を使えば…ここを春にすることができる!!」
動物たちはどよめき、早速、人間の指示のもと、魔法使いの家の周りを春っぽくしました。
造花を敷き詰め、棒に糸を垂らして蝶々が飛んでるようにし、紙吹雪でまるで花が散ってるかのようにして、春を演出しました。
そして、みんなで「暖かくなってきたなぁ〜」「すっかり春やわ〜」と口々に言うと、魔法使いの家のドアが開き、あくびをしながら魔法使いが出てきました。
「ふぁ〜。
……なんか寝足りん気ぃもするけど、春が来たから、そろそろ起きるかぁ〜。
……今年の春、なんか寒いな…。」
猫はすかさず魔法使いに近づき、しゃべる木が風邪を引いたことや、魔法が消えかかって喋れなくなってることを伝えました。
すると魔法使いは
「そら、あかん!!
魔法きれてもうたら、2度と喋られんくなってまうねん!!
すぐ行くで!!」
と言って、ほうきにまたがり、しゃべる木のところにひとっ飛びします。
そして、しゃべる木に魔法をかけ直しました。
「あっぶな〜!!
ギリギリやったで!!
しゃべる木、どうや。
声、出るか?」
しばらく沈黙が続き、みんなが固唾を飲んで見守っていると、こほんこほん、と2度ほど咳払いをしたのちに、しゃべる木が
「まーまーまー。
こほん、こほん…。
あーえーいーうーえーおーあーおー。
声出た!!」
と言いました!
ガラガラだった声もきれいになり、風邪も治ったようです。
みんな「やった!!」「よかった!!」と大喜びです!
魔法使いもホッとして、みんなにお礼を言うとまた冬眠しました。
その後、猫たちはしゃべる木のところに集まり、誰か1人がお話を1つ持ってきて、お話をしながら春を待つことになりました。
冬の寒さは続いたけれど、その時間はとても暖かい時間になったのでした。
おしまい。
