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母のエプロンとアイスキャンディー【3つのお題に空想のひらめきを】


昭和ノスタルジーに挑戦しました。
今回も1,900字ほどありますので、お時間ある時にお読みいだだけると嬉しいです。
よろしくお願いします🙇

🎈お題①:「自転車と夕立」
🐾お題②:「アイスキャンディーの当たり棒」
⏳お題③:「母のエプロン」

🍊第50回 3つのお題(昭和ノスタルジー)

ケンちゃんとこよりが小学3年生の頃のことです。

3歳上のこよりの姉、さつきと3人で遊んでいたら、さつきがエプロンを取り出して言いました。

「お母さん、新しいエプロン買ったから、古いエプロンもろてん!
ちょっと大きいけど、お母さんみたいやろ?」

さつきはお母さんのエプロンを着て、こよりとケンちゃんに披露します。

「わぁ〜、お姉ちゃん、お母さんみたいや〜。」

「ほんまやな!
 おい、さつきおかん。
 今日はカレー食いたいから作ってくれや!」

「……それはケンちゃんのお母さんに言うてくれる?」

「ケチやの~。」

「ケチちゃうわ!!
 お小遣いもろてるし、みんなでアイスキャンディー買って食べようか!」

3人は自転車に乗って近所の駄菓子屋まで走ります。

行く途中、空が暗くなってきたかと思うと、風が強く吹きだしました。

「雨降るで!!
 急げ、急げ!!」

駄菓子屋に入ってしばらくすると、バケツをひっくり返したかのような雨が降り始めました。

「セーフ!!
 びしょ濡れになるとこやったで…。」

そして、3人はアイスキャンディーを買い、駄菓子屋の軒下にあるベンチに座って食べました。

すると、さつきがはじけるような声で言います。

「あ!!
 アイス、当たりや!」

『アタリ』と書いた棒を、ケンちゃんとこよりに見せます。

2人は驚きとうらやましさの混ざった眼差しでアタリ棒を眺めます。

さつきは、駄菓子屋に入り、アタリ棒とアイスキャンディーを交換して、2人の前にもってくると

「2人で半分こして食べ」

と言いました。

こよりはパアっと笑顔になって

「ええの!?
 お姉ちゃん、ありがとう!!
 ケンちゃん、先、食べる?」

と言って、ケンちゃんに差し出すと、ケンちゃんは腕を組んで言い放ちます。

「…オレはいらん!
 オレは、こよりより2か月早く生まれてて、年上やからな。
 こういうのは、年下に譲るもんや。」

さつきが吹き出しながら笑い

「何、ケンちゃん強がってんねん!
 ひとまず、溶けてまうから、こより、食べ?」

と言って、こよりを促します。

こよりが黙々と食べていると、ケンちゃんは横目でチラチラ眺めます。

「…ケンちゃん、チラチラ見んとってくれる?
 食べにくいんやけど…。」

「…見てへん!
 こより、食べるの遅いねん!
 溶けてまうで!」

「最後の一口、食べる?」

「…こよりがそこまで言うなら、最後の一口もらうわ。」

と言って、こよりからアイスキャンディーを受け取り、嬉しそうに口に運ぼうとした瞬間、アイスキャンディーがポトリとケンちゃんの服の上に落ちてしまいました。

「あー!!!!!
 オレのアイス!!!」

こよりとさつきは、ケラケラと笑います。

さつきは笑いながら、エプロンでケンちゃんの服のアイスをふき取ります。

「変な意地張って、はよ食べへんからやで!
 服に食べさせて、どないすんねん!」

「…オレは服にも優しくできる男やねん…。」

ケンちゃんは、どこか大人びて見えるさつきの手元を見ながら、気恥ずかしいような、くすぐったいような気持ちになっていました…。

___時は流れ、仕事帰りのケンちゃんは、ふらりと寄ったコンビニで、アタリ付きアイスキャンディーを見つけて、思わず手に取ります。

食べながら帰路につこうとすると、棒に『アタリ』と書いてあったので、コンビニに引き返して、アイスキャンディーと交換しました。

家に帰ると、すぐに

「さつき、ただいま~。
 アイスキャンディー食うか~?」

というと、エプロン姿のさつきが嬉しそうに手を出して

「アイスキャンディー!?
 食べる、食べる!!
 ありがとう~!」

と言って、嬉しそうに食べ始めました。

「久しぶりにアイスキャンディー買ったら、アタリやってん。
 大人になってもアタリ出たら嬉しいもんやな~。」

ケンちゃんはそう言って、胸の中であの夕立の日のことを思い出していました。

そして、さつきが美味しそうに食べている姿を眺めていると、さつきは不思議そうな顔をして

「そない、アイス食べる姿、珍しい??」

と聞いてきたので、ケンちゃんは

「最後の一口、ちょうだ~い。」

と、甘えた声でねだりました。

するとさつきは

「ケンちゃんは、もう1本食べたんやろ?
 だから、これは私が全部食べま~す!」

と言って、食べ続けます。

ケンちゃんはさつきに近づいて、さつきのアイスキャンディーを持っている手をつかみ、ガブリとアイスを一口食べました。

「あー!!!!
 私のアイス!!!」

「オレはさつきより年下やからな。
 わがままが許されるねん!」

といって、いたずらっ子のような笑顔をみせました。

さつきは呆れつつも、笑って最後の一口をパクリと食べました。

おしまい。


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