母のエプロンとアイスキャンディー【3つのお題に空想のひらめきを】
昭和ノスタルジーに挑戦しました。
今回も1,900字ほどありますので、お時間ある時にお読みいだだけると嬉しいです。
よろしくお願いします🙇
🎈お題①:「自転車と夕立」
🐾お題②:「アイスキャンディーの当たり棒」
⏳お題③:「母のエプロン」
ケンちゃんとこよりが小学3年生の頃のことです。
3歳上のこよりの姉、さつきと3人で遊んでいたら、さつきがエプロンを取り出して言いました。
「お母さん、新しいエプロン買ったから、古いエプロンもろてん!
ちょっと大きいけど、お母さんみたいやろ?」
さつきはお母さんのエプロンを着て、こよりとケンちゃんに披露します。
「わぁ〜、お姉ちゃん、お母さんみたいや〜。」
「ほんまやな!
おい、さつきおかん。
今日はカレー食いたいから作ってくれや!」
「……それはケンちゃんのお母さんに言うてくれる?」
「ケチやの~。」
「ケチちゃうわ!!
お小遣いもろてるし、みんなでアイスキャンディー買って食べようか!」
3人は自転車に乗って近所の駄菓子屋まで走ります。
行く途中、空が暗くなってきたかと思うと、風が強く吹きだしました。
「雨降るで!!
急げ、急げ!!」
駄菓子屋に入ってしばらくすると、バケツをひっくり返したかのような雨が降り始めました。
「セーフ!!
びしょ濡れになるとこやったで…。」
そして、3人はアイスキャンディーを買い、駄菓子屋の軒下にあるベンチに座って食べました。
すると、さつきがはじけるような声で言います。
「あ!!
アイス、当たりや!」
『アタリ』と書いた棒を、ケンちゃんとこよりに見せます。
2人は驚きとうらやましさの混ざった眼差しでアタリ棒を眺めます。
さつきは、駄菓子屋に入り、アタリ棒とアイスキャンディーを交換して、2人の前にもってくると
「2人で半分こして食べ」
と言いました。
こよりはパアっと笑顔になって
「ええの!?
お姉ちゃん、ありがとう!!
ケンちゃん、先、食べる?」
と言って、ケンちゃんに差し出すと、ケンちゃんは腕を組んで言い放ちます。
「…オレはいらん!
オレは、こよりより2か月早く生まれてて、年上やからな。
こういうのは、年下に譲るもんや。」
さつきが吹き出しながら笑い
「何、ケンちゃん強がってんねん!
ひとまず、溶けてまうから、こより、食べ?」
と言って、こよりを促します。
こよりが黙々と食べていると、ケンちゃんは横目でチラチラ眺めます。
「…ケンちゃん、チラチラ見んとってくれる?
食べにくいんやけど…。」
「…見てへん!
こより、食べるの遅いねん!
溶けてまうで!」
「最後の一口、食べる?」
「…こよりがそこまで言うなら、最後の一口もらうわ。」
と言って、こよりからアイスキャンディーを受け取り、嬉しそうに口に運ぼうとした瞬間、アイスキャンディーがポトリとケンちゃんの服の上に落ちてしまいました。
「あー!!!!!
オレのアイス!!!」
こよりとさつきは、ケラケラと笑います。
さつきは笑いながら、エプロンでケンちゃんの服のアイスをふき取ります。
「変な意地張って、はよ食べへんからやで!
服に食べさせて、どないすんねん!」
「…オレは服にも優しくできる男やねん…。」
ケンちゃんは、どこか大人びて見えるさつきの手元を見ながら、気恥ずかしいような、くすぐったいような気持ちになっていました…。
___時は流れ、仕事帰りのケンちゃんは、ふらりと寄ったコンビニで、アタリ付きアイスキャンディーを見つけて、思わず手に取ります。
食べながら帰路につこうとすると、棒に『アタリ』と書いてあったので、コンビニに引き返して、アイスキャンディーと交換しました。
家に帰ると、すぐに
「さつき、ただいま~。
アイスキャンディー食うか~?」
というと、エプロン姿のさつきが嬉しそうに手を出して
「アイスキャンディー!?
食べる、食べる!!
ありがとう~!」
と言って、嬉しそうに食べ始めました。
「久しぶりにアイスキャンディー買ったら、アタリやってん。
大人になってもアタリ出たら嬉しいもんやな~。」
ケンちゃんはそう言って、胸の中であの夕立の日のことを思い出していました。
そして、さつきが美味しそうに食べている姿を眺めていると、さつきは不思議そうな顔をして
「そない、アイス食べる姿、珍しい??」
と聞いてきたので、ケンちゃんは
「最後の一口、ちょうだ~い。」
と、甘えた声でねだりました。
するとさつきは
「ケンちゃんは、もう1本食べたんやろ?
だから、これは私が全部食べま~す!」
と言って、食べ続けます。
ケンちゃんはさつきに近づいて、さつきのアイスキャンディーを持っている手をつかみ、ガブリとアイスを一口食べました。
「あー!!!!
私のアイス!!!」
「オレはさつきより年下やからな。
わがままが許されるねん!」
といって、いたずらっ子のような笑顔をみせました。
さつきは呆れつつも、笑って最後の一口をパクリと食べました。
おしまい。
