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エルディア戦記【3つのお題に空想のひらめきを】

ファンタジーに挑戦しました。
2,800字と相変わらず多めです😅
どうぞ、お時間ある時にお楽しみください❣️
よろしくお願いします

🎈お題①:「天国行きの最終列車」
🐾お題②:「百年後に届く宝箱」
⏳お題③:「記憶を運ぶ蝶」

🍊第61回 3つのお題(ファンタジー)

エルディア王国のレオニス王は、側近から敗戦の知らせを聞き観念した。

(この国は……じきに歴史の闇に葬られるだろう……)

レオニス王は生まれたばかりの我が子を抱き、最後まで残ってくれた給仕係の女性へ託した。

その小さな頬に一度だけ触れ、低く告げる。

「どうか……そなたの子として育てて欲しい」

女性は涙をこらえ、固く頷いた。

王は振り返らず地下室へと降りると、百年後に届くという古代の宝箱を開いた。

エルディアの歴史を記した書類と、光を纏う『記憶を運ぶ蝶』を納め、固く蓋を閉じる。

(この宝箱が……後世へと残ることを祈る……)

 ーー数日後。

レオニス王の前に、一台の列車が静かに現れた。

それは、生者の世界には存在しない、天国行きの最終列車だった。

レオニス王は一度だけ振り返り、誰もいなくなった王城を見つめた。

「……エルディアよ。忘れられぬ国であれ」

静かに呟いてレオニス王は列車に乗り込むのだった……。

ーーそれから100年という時が流れた。

ある青年がスヤスヤと眠っているところに、ドンドンと自室のドアをノックする音が大きく響いた。

「レオン!!
 あんた、いつまで寝てんの!!
 もう、昼やで!!
 ……仕事もせんと、毎日、ぐうたら、ぐうたら……。
 これで起きひんかったら、ご飯抜きやで。
 お母さん、もう知らんからな」

レオンと呼ばれた青年は、あわててベッドから飛び起きて、寝癖を抑えながら部屋を出る。

「寝てたんちゃうで!
 えっと……あれや。
 瞑想?ってやつ?
 ほら、オレ、落ち着きないし、ちょっと落ち着き出るかな~と思ってよ。
 つい、夢中になってもうててん」

「寝間着で寝癖つけて言われても、なんも説得力ないわ!
 ちゃっちゃとご飯食べて、森の小枝拾いに行ってくれる?
 ……ほんま、誰に似てんやろね~。」

母親はブツブツと文句を言いながらレオンにシチューをよそった。

レオンは食べ終わると、森へと向かった。

いつも拾う小枝のある場所は、とうに他の人に拾われていたため、森の奥の方まで行く羽目になった。

カゴ半分くらいで帰ろうかとも思ったが、また母親に怒られると思うと、少しばかり気合も入った。

がさがさと竹藪の中に入り探していると、たくさんの蔦に覆われ古ぼけている宝箱を見つけた。

「なんや、これ。
 えらい年季の入った宝箱やな。
 ……鍵穴あるってことは、鍵ないから放置されてんのか??」

レオンが蔦を払いながら、宝箱に触れると、パッと宝箱が光り、ゆっくりと蓋が開き始めた。

そこからたくさんの蝶が舞ってでてき、そのうちの一匹がレオン肩にのり話しかける。

「この声を聞いているものに告げる。
 宝箱が開いたということは、私が封をしてから100年経ち、尚且つ私の末裔が触れた証だ。
我が末裔よ。
ここに入っている記憶の蝶と、書物をそなたに託す。
エルディア王国の語り部となるが良い……」

状況がすぐに飲み込めないレオンは、思わず蝶に向かって話しかけた。

「ちょ、ちょっと待ってくれや!!
 100年!?
 末裔!!?
 あと、なんて言った?
 王国の名前、聞き取られへんかったわ!」

すると蝶がため息をつきながら言う。

「エルディア!
 エルディア王国や!
 ちゃんと聞き取ってくれや!」

「わぁ!
 返事した!」

「ほんで、私は蝶の姿やけど、レオニスな。
 エルディア王国の王様やってん。
 100年前に滅亡してもうてんけど、どうしても王国を記録として残したくて、この魔法の宝箱に記憶の蝶と記録を残してん。
 ほんで、末裔に届くようにしたわけや。
 だからお前は、今日からエルディア王国の語り部やで。
 まずはこの記録と蝶の記憶、見てくれや」

レオンは、膨大な記録と多数の蝶を見て首を横に振る。

「多すぎるて!!
 何日かかるん!!
 覚えられへんって!」

すると蝶のレオニスがヒラリと舞いながら

「しゃあないやん。
 オレ、筆マメやねんから。
 記録って言うても、日記みたいなもんやから、難しくはないで。
 あと、記憶の蝶は映像付きやから、まずは蝶の記憶見て、日記読むって順番がええかもな。
 あ!
 先に日記見てから、映像見るっていうのも、ありやで?
 とにかく、これは末裔の宿命やと思って、頑張ってくれや」

レオンは仕方なくレオニスの言うことを聞くことにした。

記録を持ち帰ったレオンは渋々ながらも読み始めたところ、意外と読みやすく、記憶の蝶のおかげでイメージもつきやすかったので、サクサクと読むことができた。

王としての苦悩などが書かれていることもあれば、冬の朝はベッドから出たくない、このままベッドとして生きたいなどとしょうもないことも書いてあった。

(オレが朝弱いの、レオニスの末裔やからなんか…?)

レオンもまた、しょうもないところで、納得をしていた。

最後まで読み終わって、レオンはしばらく考え込んだ末に、レオニスに言った。

「なぁ、これ本にしようと思うねん。
これだけ詳細に書かれた王の伝記ってなかなかないで」

「本か!
そらええな!」

「でも、しょうもないところは省くし、読み物としてちょっと盛ったりもするけどええか?」

「ええで、ええで!
かっこよう書いてくれよ!」

そこからレオンは日記と蝶の映像、何より本人の話を聞きながら、物語を書き始めた。

タイトルは『エルディア戦記』。

そして、それを出版社に持ち込むと、編集者から

「こら、すごいな……。
 まるでほんまにあった王国かのようにリアルな話やないか。
 レオニス王のこの威厳と風格は、ある意味、歴史に残りそうやな……」

と言われて、こっそり着いてきた蝶のレオニス(※朝弱めの男)は、嬉しそうにヒラリヒラリと舞っていた。

その後、トントン拍子で出版となり、『エルディア戦記』は重版もかかり、話題の本となった。

レオンの母親も

「まさか、あんたにそんな文才があるとはねぇ!」

と、驚いている。

その後も、レオンは記録を元に

『エルディア王国の日常』

『エルディア王国の文化』

などの本も書いて出版した。

「どうや!
 これでエルディア王国は忘れられへん王国になったで!
 満足か?」

レオンはレオニスに向かって言うと、レオニスは満足そうにレオンの周りを飛び回り言う。

「ああ、満足や!
 さすが我が末裔!
 私も王という立場やなかったら、こうやって物語を書いて暮らすのが夢やったんや……。
 ありがとう、レオン……」

そしてレオニスはキラキラと光の粒となり、空へと帰って……とはならず。

「さあ、レオン!
次は、『レオニス王の日常』なんてどうやろか!?
かっこよく書いてくれよ!」

と言い出した。

レオンはすかさず

「朝起きるんぐずったり、王妃に怒られて拗ねるようなとこ書いてもうたら、イメージ崩れるやろ!
これはボツや!」

と言った。

何も言い返せないレオニスなのであった。

おしまい。

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