地上に舞い降りた天女【3つのお題に空想のひらめきを】
第53回の日本むかし話のお題を書きました!
遅刻です💦が、投稿します!
2,000字超えなので、お時間ある時にでもお読みいただけると嬉しいです。
よろしくお願いします。
🎈お題①:「百年桜」
🐾お題②:「天女の羽衣」
⏳お題③:「雨を待つ龍」
むかしむかし、あるところに、とても美しく、天真爛漫な天女がいました。
ある日のことです。
雲の上でのんびり休んでいる龍の元に、天女がちょっと不貞腐れた様子で近づいて言います。
「なぁ、ちょお、聞いてくれる?
今日、みんなと歌って踊ってたら、うちの動きが大きいのと、歌声でかいからって理由で、ものすごい後ろの方に回されてもうてん。
うち、おる意味ある??」
龍は面倒くさそうにあくびをして言います。
「しゃあないやんけ。
みんなと歌って踊るのに、一人だけ異常に目立ってもうたんやろ?
動き控えて、歌声小さくしたらええやん」
「……それが出来たら苦労せんやん。
気づいたら、楽しなってもうて、歌って踊ってもうてるんやもん……」
天女は、ため息をつきながら、龍の隣に行き地上を眺めます。
「……なぁ、地上の人ら、ようさん集まって、なんかしてるな。
何してはるんやろ?」
龍がのそりと地上を覗き込む言います。
「……あー、あれは『お花見』やな。
あの桃色に咲いてるのが桜って木でな。
百年くらいあそこにおるんちゃうかな。
地上で百年も朽ち果てんと、毎年花を咲かせるのは珍しいことやから、地上の人らは百年桜の花が咲くと、近くで飲んだり、食べたり、歌ったりして楽しむねんって」
天女は興味津々になり、龍の方を見て言います。
「なんや、楽しそう!
うちも仲間に入れてくれへんかな?」
「お~、ええんちゃう?
天女が舞い降りたら、地上の人らも喜ぶやろな。
行け、行け!」
早速、天女は地上に舞い降りて、お花見をしている人たちの前に現れて言います。
「うち、歌って踊れるから、一緒にお花見させてや!」
地上の人たちは、突然舞い降りた美しい天女に驚きつつ、戸惑いながら「どうぞ……」と言うと、天女はニッコリ笑って歌いながら踊り始めました。
あまりにも大きな歌声と、右へ左へと動きまくる踊りに、最初は呆気に取られてた地上の人たちだったが、天女がそれはそれは楽しそうに踊って歌うので、たいそう盛り上がりました。
天女が歌い終わると、拍手喝采です。
耳が遠くなって、あまり喋らなくなったおばあさんも、天女の歌声は聞こえたようで、泣いて喜んでいます。
天女もこんなに喜ばれたのは初めてだったので、また来るわ!と言い残し、その後も夏祭りや秋祭り、年末年始などの行事があると、地上に降りて歌って踊るのでした。
ところが、ある年のことです。
雨が降らず、地上の土はひび割れて、深刻な水不足が起きました。
地上の人たちは天に向かって雨乞いをします。
「龍神様……どうかこの地に雨をお恵みください。
このままでは田畑は荒れて、百年桜も枯れてしまいます……」
耳の遠いおばあさんも、干からびていく百年桜を抱きしめて泣いています。
天女はこの事態に驚いて、龍に詰め寄りました。
「あんた、雨降らせられるやろ!?
なんで降らせへんの??
意地悪せんと、雨降らせてや!!」
龍が少し困った顔をして言います。
「意地悪ちゃうわ!
雨雲呼んでんねんけど、今年はどこも雨雲不足みたいで、忙しいらしいねん。
そのうち来るから、待つしかないわ」
「そんな……」
地上を見ると、みんな一生懸命雨乞いをしています。
天女は居てもたってもいられなくなり、地上に降りて、みんなの前で言いました。
「うちも雨乞いするで!
うちの歌声と踊りで、あちこちに散らばってる雨雲引っ張ってきたるわ!!」
天女はこれまでで一番大きな声で歌い、激しく踊り始めました。
すると天女の羽衣が大きく空に舞い上がり、それを伝って空いっぱいに歌声が響き渡りました。
あちこちで雨を降らせていた雨雲がその歌声に気づいて言います。
「なんや、えらい賑やかな歌声が聴こえるな。
どこからやねん」
「あっちのほうからやで。
ちょお、行ってみようや」
天女の歌声に釣られて、散らばっていた雨雲が集まってきました。
集まってきた雨雲を見て、龍がすかさず近づき「今や!」と言わんばかりに尾を振り、雨雲たちを百年桜の真上へと呼び込みます。
ザーーーーーーーーッ。
ついに、待ちに待った雨が降り始めました。
地上の人たちは喜び、百年桜も久しぶりの雨で、元気を取り戻し葉を揺らしています。
しかし舞い上がった天女の羽衣は、役目を終えたかのようにだんだんと薄くなって、雨に溶けるように光の粒となって消えていきます。
消えていく羽衣を天女は見つめて、少しだけ寂しそうに笑いました。
羽衣が消えると、天女は力がなくなり、地上の人になりました。
龍が慌てて天女の元に行き言います。
「お前、羽衣消えてしもて、人になってもうたやん!!
オレが背中に乗せたるから、新しい羽衣もらいに行こう」
天女は首を横に振り、無邪気な笑顔で言います。
「ええねん、これで」
「……えっ??」
「うち、みんなとここで歌って踊る方が楽しいねん。
だから、このまま地上に残るわ!」
「はぁ!!?」
「そういうわけやから、みんなのところに行くわ!
龍、いろいろありがとね~!」
龍は呆気に取られましたが、楽しそうに地上の人たちのところに向かう天女の姿を苦笑いしながら見送りました。
地上の人になった天女は、みんなから「てん様」と呼ばれ、お花見やお祭りの時には、得意の歌と踊りを披露して、末長く地上で暮らしましたとさ。
おしまい。
