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夜空を走る鹿【3つのお題に空想のひらめきを】

日本むかし話に挑戦しました。
1500字弱あります。
お時間ある時にでもお読みください!
よろしくお願いします☆彡

🎈お題①:「龍の眠る池」
🐾お題②:「百年待った狐」
⏳お題③:「夜空を走る鹿」

🍊第61回 3つのお題(日本むかし話)

むかしむかし、あるところに、仲の良い龍と狐と鹿がいました。

ある日、鹿がため息をつきます。

「なぁ、笑わんと聞いてくれる?」

龍と狐はコクリと頷きます。

「オレ、めっちゃ鈍足やん。
 一度でええから、ピュンと素早く走ってみたいわ〜」

龍と狐は笑いました。

「笑わんと聞いてって言うたやん!!
 一生懸命走っても、ノテノテ、ノテノテなってまうやつの気持ちなんかわからへんよな!」

鹿はすっかり機嫌を損ねてしまったので、龍はあれこれ考えて、あることを閃きました。

「ほな、空を走ってみたらどうやろか?
 追い風ある時やったら、ピュンと走れるんちゃう?」

「えっ!
 何それ、めっちゃ楽しそうやん!
 やる、やる!」

龍は鹿と狐を背中に乗せて空に舞い上がりました。

風の向きを確認してから言います。

「今は東風やから、西向きに走ってみぃ」

鹿は龍の背中からソッと降りて、まずは歩いてみると風に押されてフワリと前に進みます。

「うぉ!!
 ちょい歩いただけでもめっちゃ進むやん!」

狐も真似して歩くと、鹿より体が軽いので、風に煽られピュンと進んでいきます。

「あはは!!
 何これ、おもろ〜!」

龍と狐と鹿は、しばらく空を走りながら遊びました。

すると鹿がとんでもないことを言い出しました。

「なぁ、こんなに走れるんやったら、向こうのお山のふもとまで、競走せぇへん?
オレ、今、誰にも負ける気せぇへんわ!!」

「おお?
 言うやないか。
 ほな、競走しようか!
 負けても恨みっこなしやで!」

そして、龍と狐と鹿の空の競争が始まりました。

走り始めると、鹿は風の如く走り抜けます。

しかし、風向きが変わると、途端に遅くなったり、違う方向に向かったりし始めました。

その様子を見た龍は

「これ、長丁場になりそうやな……。
 オレ、ちょっとひと眠りするわ」

と言ってスルスルと池の中に入って眠ってしまいました。

「確かに……。
 まあ、オレもちょっと休憩するか」

狐も、仕方なく池のほとりで待つことにしました。

鹿は風向きに苦戦しながら、空で行ったり来たりしています。

それでも諦めずに走り続けます。

そうしているうちに、100年が経ちました。

池の中で眠っていた龍が大あくびをして起きてきます。

「ふぁ~、よう寝た、寝た!」

狐はフンと鼻を鳴らして言います。

「ほんまやで!
 お前起きるの待ってるうちに、オレ、孫出来て、化け狐になってもうたやん」

「へへへ、すまんの~。
 一回寝ると、眠りが深くなる性分やねん。
 で、鹿はどうしてるん?」

「ああ、鹿はな……まだ空走ってるで。
 鳥に風の乗り方とか教わって、そら、頑張ってんで。
 ちょいちょい人にも見られてよ『夜空を走る鹿を見ると願いが叶う』とか言われてんで」

「ほんで、まだ向こうのふもとのお山にはついてないんかい」

「そやねん。
 もう競争のこと忘れてもうてるかもしれへんから、到着させて地上に降ろすで」

龍と狐は、鹿のところに行きます。

「おう、久しぶりやな!
 どうや、だいぶ空を走るの上手になったと思わへん?」

鹿は自慢げに風の波に乗り、軽やかに空を走ります。

2匹は「おお!」と驚きつつも、競争の話を出しました。

「……そうやった!!
 すっかり忘れてたわ!
 ほな、ここから、向こうのお山のふもとまで行くで~!」

100年分の技で爆走する鹿に、龍と狐も「しゃあないな!」と笑いながら並び、最後はみんな仲良く同時に到着しました。

そのあとも、鹿は空がすっかり気に入って、毎晩のように夜空を走ります。

あまりにも頻繁に夜空に現れるため、誰も珍しがることもなくなり、「今日は機嫌ええな」「今日は風に煽られてるで!」と皆から見守られて愛される存在になったとさ。

めでたし、めでたし。

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