夜空を走る鹿【3つのお題に空想のひらめきを】
日本むかし話に挑戦しました。
1500字弱あります。
お時間ある時にでもお読みください!
よろしくお願いします☆彡
🎈お題①:「龍の眠る池」
🐾お題②:「百年待った狐」
⏳お題③:「夜空を走る鹿」
むかしむかし、あるところに、仲の良い龍と狐と鹿がいました。
ある日、鹿がため息をつきます。
「なぁ、笑わんと聞いてくれる?」
龍と狐はコクリと頷きます。
「オレ、めっちゃ鈍足やん。
一度でええから、ピュンと素早く走ってみたいわ〜」
龍と狐は笑いました。
「笑わんと聞いてって言うたやん!!
一生懸命走っても、ノテノテ、ノテノテなってまうやつの気持ちなんかわからへんよな!」
鹿はすっかり機嫌を損ねてしまったので、龍はあれこれ考えて、あることを閃きました。
「ほな、空を走ってみたらどうやろか?
追い風ある時やったら、ピュンと走れるんちゃう?」
「えっ!
何それ、めっちゃ楽しそうやん!
やる、やる!」
龍は鹿と狐を背中に乗せて空に舞い上がりました。
風の向きを確認してから言います。
「今は東風やから、西向きに走ってみぃ」
鹿は龍の背中からソッと降りて、まずは歩いてみると風に押されてフワリと前に進みます。
「うぉ!!
ちょい歩いただけでもめっちゃ進むやん!」
狐も真似して歩くと、鹿より体が軽いので、風に煽られピュンと進んでいきます。
「あはは!!
何これ、おもろ〜!」
龍と狐と鹿は、しばらく空を走りながら遊びました。
すると鹿がとんでもないことを言い出しました。
「なぁ、こんなに走れるんやったら、向こうのお山のふもとまで、競走せぇへん?
オレ、今、誰にも負ける気せぇへんわ!!」
「おお?
言うやないか。
ほな、競走しようか!
負けても恨みっこなしやで!」
そして、龍と狐と鹿の空の競争が始まりました。
走り始めると、鹿は風の如く走り抜けます。
しかし、風向きが変わると、途端に遅くなったり、違う方向に向かったりし始めました。
その様子を見た龍は
「これ、長丁場になりそうやな……。
オレ、ちょっとひと眠りするわ」
と言ってスルスルと池の中に入って眠ってしまいました。
「確かに……。
まあ、オレもちょっと休憩するか」
狐も、仕方なく池のほとりで待つことにしました。
鹿は風向きに苦戦しながら、空で行ったり来たりしています。
それでも諦めずに走り続けます。
そうしているうちに、100年が経ちました。
池の中で眠っていた龍が大あくびをして起きてきます。
「ふぁ~、よう寝た、寝た!」
狐はフンと鼻を鳴らして言います。
「ほんまやで!
お前起きるの待ってるうちに、オレ、孫出来て、化け狐になってもうたやん」
「へへへ、すまんの~。
一回寝ると、眠りが深くなる性分やねん。
で、鹿はどうしてるん?」
「ああ、鹿はな……まだ空走ってるで。
鳥に風の乗り方とか教わって、そら、頑張ってんで。
ちょいちょい人にも見られてよ『夜空を走る鹿を見ると願いが叶う』とか言われてんで」
「ほんで、まだ向こうのふもとのお山にはついてないんかい」
「そやねん。
もう競争のこと忘れてもうてるかもしれへんから、到着させて地上に降ろすで」
龍と狐は、鹿のところに行きます。
「おう、久しぶりやな!
どうや、だいぶ空を走るの上手になったと思わへん?」
鹿は自慢げに風の波に乗り、軽やかに空を走ります。
2匹は「おお!」と驚きつつも、競争の話を出しました。
「……そうやった!!
すっかり忘れてたわ!
ほな、ここから、向こうのお山のふもとまで行くで~!」
100年分の技で爆走する鹿に、龍と狐も「しゃあないな!」と笑いながら並び、最後はみんな仲良く同時に到着しました。
そのあとも、鹿は空がすっかり気に入って、毎晩のように夜空を走ります。
あまりにも頻繁に夜空に現れるため、誰も珍しがることもなくなり、「今日は機嫌ええな」「今日は風に煽られてるで!」と皆から見守られて愛される存在になったとさ。
めでたし、めでたし。
