ほたる橋の約束【3つのお題に空想のひらめきを】
「ほたる橋の約束」のお話を書きました。
約1,000文字あります。
単話でも読めるようにしたつもりですが、
「龍神さまの忘れ傘」「月を拾ったねこ」と合わせて読むと少しお得感あるかもです🤭笑
よろしくお願いします🙇
むかしむかしあるところに、
弥助とおりんという、たいそう仲の良い夫婦がおりました。
蛍が飛び交う時期の新月の日、『ほたる橋』へ行くのが、二人の毎年の約束でした。
提灯片手に、2人寄り添って『ほたる橋』へ行くと、川のせせらぎ、水に濡れた草の香り、そしてピカピカと優しい灯りで飛び交う蛍を見ることができました。
「おりん…。
今年もお前と蛍を見れてオレは幸せもんや。
来年も、再来年も…ずっと、ずっと見に来ような…。」
おりんは弥助にソッと寄り添って、小さく頷きました。
さて、次の年の蛍の時期のこと。
2人の住んでる村は、日照りが続き、村人たちは半ばやけっぱちで雨乞いをしていると、龍神様が歌舞伎役者の格好をして見得をきり、見事に雨を降らせてくれました。
そんなことがあってから、村の人たちは雨乞いをする時には、山に向かって
「よっ!!龍神屋!!」
「待ってました!!」
と叫ぶと雨が降るようになりました。
それを見ていた子どもたちが面白がって、山に向かって「よっ!龍神屋!!」と騒ぐものだから、日照りから一転、長雨の日々が続いてしまいました。
弥助はため息をついて言います。
「こんな長雨じゃ、ほたる橋で蛍、見られへんやんか…。」
流石に振りすぎなので、雨乞いは禁止になりました。
久しぶりの美しい満月の夜になり、弥助はおりんに向かって言います。
「今日は満月やけど、ほたる橋へ行こう!
蛍の時期終わってまう!」
弥助とおりんは、ほたる橋に向かって歩いていると、徐々にあたりが明るくなり、なんと月がゴロンと落ちてきました。
2人が驚いていると、散歩中の猫が月を拾って「こんなところに転がってたら邪魔やないか」と言って、広場の方に転がして行ってしまいました。
あたりは真っ暗になり、弥助は慌てて提灯に火を灯し、ほたる橋へと向かいました。
ほたる橋に到着すると、ふわりふわりと蛍が舞っています。
月が消えた深い闇の中で、川面にも、草むらにも、星が降りたような灯りが揺れています。
「あぁ、今年もこの景色が見れたな、おりん…。」
「ほんまやな…。
今年は無理かと思うてたけど…。
天が味方してくれたんやろね…。」
弥助とおりんは、顔を合わせて笑い合いました。
その後も、弥助とおりんは毎年、ほたる橋で蛍を見ることができ、末永く幸せに暮らしましたとさ。
めでたし、めでたし。
