あの日のアルミのお弁当箱【3つのお題に空想のひらめきを】
世界ノスタルジーのお題に挑戦しました。
1,400字ほどありますので、お時間ある時にお読みいただけると嬉しいです。
よろしくお願いします☆彡
🎈お題①:「木と机とランドセル」
🐾お題②:「縁側の昼寝」
⏳お題③:「アルミのお弁当箱」
夏休みを堪能中のケンちゃんは、風が吹き抜ける縁側で、午前中からゴロゴロ。
冷蔵庫の中にある、「おやつに食べて」と用意してくれてたスイカでも食べようと思い、お台所に行くと、机の上にアルミのお弁当箱が置いてありました。
(……オレの昼ごはん、今日はお弁当にしてくれたんかな!?
なんや新鮮でええやんけ!)
お昼ご飯には早いけど、ケンちゃんはお弁当の蓋を開けて、ムシャムシャと食べてしまいました。
食べ終わってから、遊びにでも行こうかと準備をしていると電話が鳴り、とったところ
『おお!ケンか!
家おってくれて良かった〜。
お台所の机の上に、昼ごはんの弁当忘れてしもてん。
ちょい、持ってきてくれへん?」
と、お父さんからのとんでもない依頼電話でした。
(あれ、おとんのお昼ご飯やったんか!!)
ケンちゃんがアワアワしてると、お父さんは「ほな、頼むで〜」と電話を切ってしまいました。
ケンちゃん大ピンチです。
ひとまず、空のお弁当箱を洗って、冷蔵庫を開けてみるものの、学校の調理実習で料理をしたぐらいの知識ではどうにもならず……。
(ご飯だけ詰めて……日の丸弁当やってことにするか……?)
ケンちゃんが途方に暮れてると、祖父の晴太がやってきたので、ケンちゃんはことの顛末を話し、晴太に泣きつきました。
晴太は冷蔵庫の中をみて、ケンちゃんにいいます。
「おい。
学校で家庭科ならっとるやろ。
教科書持ってこい!」
ケンちゃんは自分の部屋へ走り、木の学習机に掛けっぱなしのランドセルから、家庭科の教科書を出して晴太に渡します。
包丁の持ち方や、切り方について書かれていて、それを見ながらケンちゃんに言います。
「オレが指示出すから、ケン、お前おかず作れ。
豚肉と玉ねぎあるから、ポン酢で炒めたらええやろ。
いいか、包丁の持ち方はな……」
セミの鳴き声が響く中、ケンちゃんはたどたどしくも、玉ねぎに目をしみらせながら切り、お肉を切って、フライパンで炒めます。
しっかり火を通せと言われてちょっと焦げてしまったけれど、それなりの炒め物が完成しました。
「あとは、たまごをくちゃくちゃ~ってしたの入れとけば大丈夫や!」
ケンちゃんは、たまごを割り、殻が入ったと騒ぎ、なんとかスクランブルエッグも完成させました。
ご飯と、おかず二品をお弁当に詰め込み、ケンちゃんは大急ぎでお父さんのいる職場に行きます。
「おお、すまんな~。
ありがとうな、ケン」
お父さんがケンちゃんの頭を撫でます。
しかし、ケンちゃんはそれどころではありません。
「ちょっと食べられるか、食べてみてや!!」
お父さんは少しびっくりしていましたが、ケンちゃんの必死の形相と、あからさまに不揃いなおかずを見て察し、目じりを下げました。
そしてお弁当を一口ずつ食べました。
炒め物はポン酢が少し濃く、スクランブルエッグはほとんど卵そのものの味でした。
それでもお父さんは
「うん、うまいで。
昼からも仕事頑張れそうやわ」
というのでした。
ケンちゃんはホッとして、お父さんの職場を後にしました。
くたくたになったケンちゃんは、晴太にVサインをしてから、縁側に寝ころびグーグーと寝始めました。
晴太も安堵のため息をついて、隣にゴロリと寝転び、昼寝をします。
2人が気持ちよく寝ているときに、祖母の晴美が帰宅します。
そしてお台所がとんでもなく散らかっていたので「ちょっと、何があったん!?」と驚くのでした。
おしまい。
