眠りたい三日月【3つのお題に空想のひらめきを】
大遅刻ですが、第53回のファンタジーのお題を書いてみました。
みかんさんから「盗った虹をどうしますか?」のアンサー物語です(笑)
1,300字ほどありますので、お時間あるときにでも読んでいただける嬉しいです。
よろしくお願いします!!
🎈お題①:「風船を配る巨人」
🐾お題②:「虹を盗んだ猫」
⏳お題③:「眠れない三日月」
三日月のきれいな夜のことです。
巨人と猫が夜のお散歩をしていました。
「今日は夜風も気持ちええし、散歩するには最高の日やな~」
猫は機嫌よく鼻歌を歌いながら歩きます。
巨人もそれに合わせて歌いながら歩いていると、ふと三日月と目が合いました。
「三日月さん、こんばんわ~。
夜道照らしてくれて助かりますわ~。
いつもありがとさんやで~」
すると、三日月はそれはそれは大きなため息をついて言います。
「……のんきな猫と巨人やで。
こっちはな、ここ一週間くらい眠りが浅くて困ってんねん。
変な夢ばっかり見るしよ。
あ~ぐっすり寝て、スッキリ目覚めたいわ~!!」
猫と巨人は寝られなくて元気のない三日月を気の毒に思い、リラックスするアロマを焚いてみたり、安眠できるというハーブティーを用意してみましたが、効果は今ひとつでした。
「あとは子守唄ぐらいか……?」
猫と巨人が歌ってみると、一瞬ウトウトとしますが、寝入るまでにはいたりませんでした。
「よし!!
三日月が爆睡できるような子守唄を作ろう!!」
猫と巨人は仲間たちに相談をしながら、準備をします。
まず、猫は雨上がりに現れた大きな虹を見つけると、虹の根元に行き、持っている袋に素早くつめこみました。
村の子どもたちが「あ~!!虹を盗んだぞ!!泥棒猫め!!」と騒ぎ立てますが、猫はいたずらっぽく笑って言います。
「そう、怒るなって!
後でお前らにも協力してもらうからな~!!」
そして、赤、橙、黄、緑……と並んだ虹の帯に、猫が小気味よく爪でパチパチと穴を開けていきます。
それはまるで、七色の五線譜に猫の足あとで描いた不思議な楽譜のようでした。
猫は小さな丸い穴がいっぱい空いた虹を、古びた箱にそっと差し込みました。
そして箱の横についた取っ手をくるくる回すと、カタカタと虹が送られていきます。
すると箱の中の小さな金属の櫛が震えて、水滴の弾けるような子守唄が流れ出しました。
次に、巨人が虹を盗られたと騒いでいる子どもたちに色とりどりの風船を渡します。
「虹、盗ってもうてごめんやで。
この風船な、みんなの歌声を吸い込んで、空まで運んでくれる魔法の風船やねん。
寝不足の三日月さんのために、一緒に子守唄を歌ってくれへんやろか?」
風船をもらってご機嫌な子どもたちは「いいよ~」と大喜びで賛成してくれました。
これで、準備完了です。
夜になり、寝不足な三日月がふらふらと東の空に現れました。
猫がすかさず虹のオルゴールを回すと、子どもたちが優しい声で歌い始めます。
歌声は巨人の風船にぽこぽこと吸い込まれ、夜空の三日月の元へと舞い上がっていきました。
その子守唄を聴いた三日月は最初は驚いていましたが、次第に目がトロンと半分になり、ついには目を閉じて、グーグーと眠りました。
猫と巨人と子どもたちは、三日月を起こさないように喜び合いました。
それからというもの、三日月はぐっすり眠れるようになりました。
眠ったぶんだけ元気になった三日月は、今日もやさしい光で夜空を照らしています。
その光を見上げるたび、猫と巨人と子どもたちは、あの虹の子守唄を思い出すのでした。
おしまい。

