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今年はリニューアルが来るよ

若い人たちは知らないと思うが、「リニューアル」という言葉を日本に浸透させたのは小室哲哉である。


1990年8月28日、小室率いるTM NETWORKは、六本木の全日空ホテルにて『リニューアル宣言記者会見』を行い、アーティスト名やブランドをTMNへと改名した。

「リニューアル」という言葉は、今でこそ「店舗リニューアル」「Webサイトリニューアル」などと当たり前のように使われているが、当時は画期的で戦略的で斬新なワードだった。


おそらく「リニューアル」という言葉が、初めて公共の電波に乗った瞬間の音源がこちら。私もリアルタイムで聴いていた。

当時中学生だった私は、TM NETWORKの大ファンというわけではなかったが、初めて聴いた耳なじみのない言葉に、よくわからないながらもドキドキした記憶がある。

元号が昭和から平成へと変わった翌年。ベルリンの壁が崩壊したり、冷戦が終結したりと、まさに世界が一新されていった最中の出来事だった。


TMN名義でリリースされた初のアルバム『RYHTHM RED』は、スタイリッシュなポップス路線を脱ぎ捨て、ハードロック/ヘヴィメタルの激しさとダンスミュージックのソリッドを融合させた、革新的な作品となった。

今聴いてもかっこいい。


リニューアル元年を多感な時期に目の当たりにした私は、いうなればリニューアル・チルドレンだ。

変わることを是とする、変化することを厭わない。変革に対してポジティブなマインドを持って向き合えるのは、TMNの影響かもしれない


時は流れて2026年5月、株式会社アワセルブスは絶賛リニューアル中だ。

本来はリニューアル完了してから発表したほうがスマートだが、それはしばらく先のことになりそうだし、どうせ誰も読んでないだろうから、リアルタイムで変化していく様を書き残していこうと思う。

弊社がリニューアルするのは今回が初めてではない。これまでも小さなリニューアルを何度も繰り返して、今日に至っている。


もともとアワセルブスは、私の個人事業としてスタートした。

会社員時代はシステムエンジニアをしていたが、独立するにあたって一人で完結できる仕事としてWeb制作を選択した。

3年後、法人化したタイミングで「ファブラボやまぐち」の話が舞い込み、デジタルものづくりが体験できる市民工房を運営することになった。

そこから山口情報芸術センター[YCAM]とのプロジェクトや、プログラミング教育必須化の流れを受けて、学校教育の現場に出入りするようになった。

さらには、GIGAスクール構想やDXハイスクールなどの事業によって、教育現場での活動領域が増えていき、今年度は大学のDX実践共同研究講座にも参画している。


このように、最初は制作代行から始まり、徐々にデジタルものづくり~学校教育へとシフトしていったのが、ここ15年間のざっくりとした流れだ。

ほかにも中小企業支援やセミナー講師などもしているが、それは個人の仕事なのでここでは割愛する。

アワセルブスの軌跡


これはあくまで経験則からくる感覚的な話だが、どんな事業でも安定するまでには10年かかる。

もちろん、10年を待たずして撤退した事業もたくさんある。それだけ、ひとつの事業を軌道に乗せるのは難しい。

運よく10年持ちこたえたビジネスも、市場の飽和や競争の激化により成長が鈍化しやすくなって、テコ入れしなければやがて衰退する。

だから、既存事業に収益性があるうちに、新たな事業の柱を作ってクロスフェード、あるいはマッシュアップして繋いでいかなければならない。

今の曲がフロアを盛り上げているうちに、次の曲を仕込んでおかなければ、パーティーが終わってしまうのだ。


弊社の場合、個人事業主として独立する少し前、2009年頃からWeb制作の仕事を始めていたから、2019年には成熟期を迎えたのだと思う。

その頃からコンテンツマーケティングのカンファレンスに参加したり、リブランディングのチームで勉強会を開催したり、Web広告の仕事を増やしたり、少しずつ運用に軸足をずらしてきた。

2023年7月に9期目の決算を終えたときには、品目別売上比率で運用の売上が制作を初めて上回った。これはこれで、一定の成果があったと思っている。

しかし、それもまた2029年頃には頭打ちになる。

なにより、生成AIが進化していくシナリオのなかで、Web制作と運用の事業には明るい未来がまったく見えない。

だから、Web制作・運用に関しては一切の営業活動を止めた。

既存クライアントからの相談があれば対応するが、もう今後はこちらから積極的に新規開拓することはしない。


次に、ファブラボという事業。こちらは2025年に10年目を迎えており、言うなれば今まさにピークだ。

ここから新しい機材を投入したり、新しい案件を開拓したりして、テコ入れしていくという選択肢もあるだろう。

しかし、この10年で機材の性能は飛躍的に進化するとともに、驚くほど安価に購入できるようになった。

今や、小学生が小遣いで3Dプリンターを買いたいと言い出し、その下見にわたしたちのラボを訪れる。そんな時代だ。

自動車や家電の歴史を見れば明らかで、デジタルものづくり機材はそのうち一家に一台、一人一台ぐらいまで普及する可能性が高い。

なので、こちらも緩やかに衰退していくだろう。


ファブラボを起点とした学校教育の事業はどうか。

こちらはGIGAスクール構想が2020年から、DXハイスクールが2024年から、大学の共同研究講座が2026年からと、複数の事業が並行して進んでいる。

国や県の事業は、およそ3~5年のサイクルで動き、大学も同様のサイクルで予算が組まれている。小中高の学習指導要領はおよそ10年に1度改定され、それを基準にカリキュラムが決まる。

長期的には少子化が進むことによって、学校教育の領域は先細りになっていく可能性が高い。

しかし、短中期的には3年スパンぐらいのプロジェクトが交差して走っているので、じっくりと腰を据えて取り組めて非常にありがたい。


で、リニューアル。

幸いなことに、今は困らない程度に仕事があり、かつリサーチに費やせる時間もある。だから、次の仕事を仕込むなら今しかない。

次にやる事業は、わたしたちのアイデンティティに直結し、時代の変化に流されない耐久性があり、実体として手元に残るものにしたい。

何をやるかは、これから決める。

目指したい方向性はいくつかあるが、まずはじっくりリサーチして、社内で議論しながら選んでいきたい。


というわけで、リニューアルすることは確定しているものの、詳細はまだ何も決まっていないわけだが、まあ焦る必要はない。

早くしないとトレンドに乗り遅れる?言わせておけばいい。

こちとらこれまで一度もトレンドに乗ることなく、15年ものあいだ獣道を切り拓いてきたのだ。これからも野生の嗅覚に従って、道なき道を進んでいくだけだ。

そのうちなんとかなるだろう。


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