パタンナーがノベルティを0から考えて作ってみた話【エコバッグ製作ノート】 #12
エコバッグという呼び方は少し苦手です。
にも関わらず、今回はエコバッグを作りましたという話です。(伝える手段としてこの言葉を使った方が良いので使っています)
そして、趣味を仕事にしてみたという話でもあります。面白いので是非読んでみて下さい。
─はじめに─
自分は、普段メンズパタンナーとして洋服を設計し、工場で量産する為のパターンや縫製仕様書を作る仕事をしています。
ある日、量産した後に余ってしまった生地が出てきてしまう事件がありました。何かに使われないままですと、焼却処分という選択に迫られる現実そこにはありました。
生産された生地が誰にも使われずに燃やされて捨てられてしまうのは、作り手として心苦しいものです。(うーん、それは嫌過ぎるなと、)
どうにかならないものかと考えていました。
ちょうどその頃、2024年6月に東京アウトドアショーがありました。島村が所属するブランドもこのアウトドアショーに初出店していたのですが、その際にブランド内でのイベント的な催しとノベルティの必要性を感じまして、、
ノベルティというと、ノベルティ制作会社があって、その中から製品を選びロゴなどのプリント加工をして作るというのが割と一般的です。
安価で品質の安定した物を提供できるメリットがある一方で、どこか同じような物ばかりになってしまう事も。
ですが!
ちょうど余った生地が工場にあるからこの生地を活用して何かノベルティを作ってみてはどうかと朝会の時に提案してみました。
そしてそのノベルティを次のアウトドアショーで利用すると、もっと盛り上がる為のではとその時に提案したものがエコバッグでしたが、ただのエコバッグだとやはり面白味にかけるなと、
どうせやるならパタンナーが深く考えて、ノベルティであまり見た事がないようなユニークな製品を作ってみたいと思いました!
周囲の方もノベルティの件について賛同して頂けたので、さっそくデザインと仕様とパターンを考えて行きました。
今回はパタンナーが本気で考えた独自性のあるノベルティエコバッグ【リターク】をどのようにして考え生み出したかを説明していきます!
それではいってみましょう!
【告知】
パタンナー島村が所属するブランド(ジョセフアブードマウンテン)が今月6月27~29日開催の東京アウトドアショーに参加することに!!!
その時のノベルティ(くじ引きの景品)として数量限定でプレゼント致します!⭐
ほかにも面白いトークショーや体験ができる大博覧会となっているのでぜひ足を運んで楽しみを共有しましょう!🔥🔥🔥
👇パタンナー島村が所属しているブランドです!
このシェルジャケットのパターン引いてマス!
着心地とシルエット良い!←
─思考と設計─
工場に残ってしまった生地をできるだけムダにしないようなパターン設計を考えるときに、必要な事として生地幅(だいたい110㎝~150㎝くらいが多い)いっぱいに収まるようなパターンが必要となります。
前提として今回の工場残反の生地幅は138㎝でした。そして素材はポリエステル100%の3レイヤーです。
この生地幅に対して3等分すると1人用の大きさのエコバッグが出来そうだなと仮定してみました。
どんなパターンにしようかと調べていくとコンビニのレジ袋がとても参考になりました。ハサミを入れて分解すると1枚のパターンでカットと溶接(?)だけでとてもシンプルに作られていました。そしてポリエチレンで出来ている為、端の処理は裁ち切りになっています。

こっ、これは…!!!!すごい!
一方で、他にも面白いパターンがありました。
皆さんはAppleの箱の中身をよく見たことがあるでしょうか。
次の写真の左下にある小さい箱に注目しました。
なんとパターンを見てみると、連続したパターンで裁断可能なのです!
これは裁断効率100%でムダにならない作り方そのものでした。


最終的に捨てられる道具として生み出された一時的に使われるレジ袋や箱ですが、非常にムダにならない作られ方をしていてなんとも面白い…!
それが作られ方だけではなく、道具の使い方として繰り返し使用可能で長く使いたいと思うようなエコバッグができれば、短期的な消費財となりがちなノベルティに新しさが生まれそう!と考えました。
そのような考え方でパターンを作成しました。
そのパターンがこちら👇

《このパターンのメリットとしては下記の通り》
✅3つ連続したパターンで生地に当て込み(マーキング)可能!
※裁断効率が高いので生地を無駄にしない◎
※真ん中のくり抜きを本当は使用したかったのですが、工賃とデザインのバランスが難しく…現状は断念
✅1枚のパターンなので縫製が容易
※作り方については別の記事で紹介します!MYOGで作れます。
また、3レイヤー素材だからこそレーザーカットが可能ということもあります。
─デザイン─



(グレーのみ視認性の良い白でプリントしています)



—SPEC—
[fabric]
─表地
•3layer fabric (C0撥水)
[size]
─8.5×13.5㎝
[color]
─ブラック/グレー/カーキ
[weight]
─40g
[composition]
─表地
•ポリエステル100%
─使い方─
このLitarc(リターク)は基本的に3通りの使い方を推奨しています。
①普段使いできるエコバッグとして
②山で出た食事のごみを入れたレジ袋を覆うガベッジバックとして
③山でハイキングしながら、落ちているごみを拾って入れる袋として
ひとつずつ説明していきます。
お昼にコンビニなどで弁当を買うという時などを想定した普段使いできるエコバッグとしてお使い頂けます。
お弁当、サラダ、500㎜の飲み物、+αで意外と入ります。下は容量が分かるようにリールで作りました!
【👇エコバッグの容量】
また、ガベッジバックとしても使うことが可能で、景観を壊さないようノイズを減らすことができます。そして山に持ち込んできたごみを持ち帰ってその場に残さない事が、そこに住む生態系の維持という側面においてgoodです◎
山頂で昼食を食べた時に出たごみをレジ袋にまとめた後にこの製品に入れて口を結びます。そして再帰反射のゴムをバックパックにつけたカラビナに付けるというシンプルな使い方です。

登山をする時、日帰り&公共交通機関を使う場合がほとんど!、という島村は、帰り道にレジ袋をバックパックに掛けて帰宅するのが気になってしまいます。
せっかく温泉で身体をサッパリしても帰りのこのバックパックについたレジ袋があるせいで、周りに不快感を与えてしまうのでは…という心配がありました。
ですが、このエコバッグを使う事で見た目のノイズが軽減されてクリーンな印象を与えることができると思います。(そして自分も気分が良い!)
そして最後のごみ袋としての活用ですが、登山やハイキングをする中で山のの下で落ちているごみが今まで気になっていました。
登山中にふと落ちてしまったモノがそのまま時間が経過してごみになってしまった場合がほとんどであるとは思うのですが、中にはポイ捨て!?と思われるようなモノまであります。。
理由は何であれ、落ちてしまったごみをそのままにするというのは自然の中で生分解される(相当な時間が!)かそのまま残り続けるしかないので、人間の活動によって自然を汚す感覚がありました。
どうせなら心地よく登山やハイキングを楽しみたいものです。その為の道具としてこのリタークを活用して頂けると嬉しいです⭐
そしてこの製品は1人用です。一人ひとりがこういったごみ拾い専用のギアを持てば、自然に対してもっと身近で自分ごとのように接することが出来ると思います!(ポイ捨てがなくなる未来が来ると嬉しいです。)
収納する際には、テーブルに置かなくても、両手で簡単に畳むことができ、スマホサイズに小さくできます。ブランドロゴは中央下に配しているので畳む際の目安になるようにしました。再帰反射コードで最後にくくってまとめます。
【👇エコバッグの畳み方】
※追記:日帰り温泉に入る時に着替えを入れる袋としてもアリかもですね!汎用性高いです◎
─お手入れ方法─
●下記の方法に準じてケアしてあげて下さい。
・液温は、40℃を限度とし、
洗濯機で弱い洗濯処理ができます。
・漂白処理はしないで下さい。
・日陰でのつり干し乾燥にして下さい。
・底面温度110℃を限度としてスチームなしでアイロン仕上げ処理ができます。
・ドライクリーニング処理はしないで下さい。
▶︎汗が付いたまま放置すると3レイヤー生地は劣化するので汚れたら都度洗濯するのがベストです!
─名前の由来と哲学─(ニッチ)
Litarc(リタークと読みます)という名前の由来は、LitterとTacetを掛け合わせた造語で《歩くこと、ゴミを拾うことを通じで内側のノイズを聴くことを大切に》して欲しいという願いを込めて作りしました!
Litarcというのは
▶︎【Litter】と【Tacet】の2つの言葉から成り立つ造語になります。
【Litter】:lítərというのは、散らかしたごみ(通例、公共の場所の地面に捨てられた雑然としたごみを指す)の意味を持ちます。
【Tacet】:ˈtæsɪtは、「声や音を出さない」という意味のラテン語で楽器や声を出さないことを示す音楽用語として使われています。
Litarcはごみを入れる袋ではありますが、入れられたモノが最初からごみであったのではなく、なにかしらの理由でごみとして(認識され)拾われた場合が(登山やハイキングでは)ほとんどだなと感じていました。
だからこそ、「trash」「garbage」「rubbish」などの真っ先にごみを連想する言葉は使いたくなかったのです。そしてみんなが使う公共の場所(=山)に落ちてしまったモノという意味で「Litter」の方が適切だなと採用しました。
一方で「Tacet」というのは、音楽用語で休止の意味があります。これはアメリカの作曲家である『ジョン・ケージ』が作曲した「4´33″」から採用しています。
この曲は、4分33秒間すべて休止するという演奏で、今までの複雑になってきた音楽体系を単純化し、1つのスタイルとして完結する(=応用がされない)という見せ方をして当時話題になりました。
音がない=無音という状態を音楽に取り込もうという新しい概念を持ち込んでジョン・ケージは評価されます。(そしてこの見せ方が0→1の原型を作りながら、1→1´として他の音楽様式に変化しないということも素晴らしい!)
内からくる音(ジョン•ケージの曲では、“自分の神経系が働いている音”や“自分の血液が流れている音”と記している)に耳を澄ます為に、無音という音を取り込み、身体感覚を通じて音楽を表現したと言えます。
──
話が逸れましたが、そういった要素を取り込みたいなと思い、Tacetを引用しています。
普段、周囲の情報や環境が目まぐるしく変化し、外部の刺激によって感情が揺れ動くという状況は誰しも経験すると思います。
それゆえに、別の場所でリラックスしたい!!自然の中に身を置きノイズの少ない山の中で過ごしてアウトドアを楽しみたい!!という人が増えているように感じています。そして山頂を目指して、達成するという楽しみが登山にはあると思います。
ですが、外部環境や差異によって他者との比較や価値体系、基準が作られ感情を作り出す原因となるのだとしたら、それらは(善悪という判断は意味を持たないが)ノイズであるとも言えます。そのノイズは外側から形作られるものであり、自分の行動を制限されてしまう可能性が少なからずあるのでは?…と
行動を決める根拠の向かうべきベクトルというのが、内側から外側に向かう方向性でありたいのです。
そういったノイズを最小化し、本来自分の内側のノイズや声に耳を傾ける為に歩きながらごみを拾うということが、健康的であって、登頂する以外の楽しさを登山で見出るかもしれない!と感じています。
例えば、頭の中にあるごみ(モヤモヤ)を紙に書き出してみて、ひとつひとつ拾い上げて整理するように、登山やハイキングを通じてごみ拾いをして自然環境をクリーンにしたい。
全て自分ごととして自然との関わりをごみ拾いによって接点を持つという、 #クリーンハイク という行いを提案したい。
そんな想いや願いを込めてこのLitarcという製品を作りました!!
─さいごに─
再度、告知になるのですが!!(笑)
パタンナー島村が所属するブランド(ジョセフアブードマウンテン)が
今月6月27~29日開催の東京アウトドアショーに参加することに!
その時のノベルティ(くじ引きの景品)として数量限定でプレゼント致します!⭐ほかにも面白いトークショーや体験ができる大博覧会となっているのでぜひ足を運んで楽しみを共有しましょう!🔥🔥🔥
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ここまで読んで下さりありがとうございます。
noteの他にInstagramもやっています。こちらではアウトドアについて体系的に学ぶことができ、アウトドアの遊びがより楽しくなれるような発信をしていくので興味がある方は是非覗いてみてください😊
現在、MYOGでは財布を計画中です!
鹿革やUL素材を使ってみたことのないような財布を作ります!製作の経過やプレゼント企画もしていきますので、良かったら覗いてみて下さい~
P.S. このnoteは基本的に自分が哲学本を読んだり、ものづくりをしていく中で面白いと思った内容を4000文字〜10000文字くらいの文章量にまとめています!
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ものづくりをしている方にとって何か学びになれば幸いです。シェアハピ!!!✨
