多次元アプローチで腰痛を攻略する
研究の全体像|痛みと姿勢を変える鍵は?
腰痛の90%は非特異的腰痛(LBP)とされます(Van Tulder, 2007)。画像検査では異常が見つからないことや、画像所見と症状が一致しないことが多いです。そのような腰痛に対して、効果的な介入方法を見極めることが重要です。今回紹介する研究では、コアエクササイズ単独と、多次元アプローチを組み合わせた方法の効果を比較しています。
In, Tae-Sung, Jung, Jin-Hwa, Jung, Kyoung-Sim, Cho, Hwi-Young. Effects of the Multidimensional Treatment on Pain, Disability, and Sitting Posture in Patients with Low Back Pain: A Randomized Controlled Trial. Pain Research and Management, 2021. DOI: 10.1155/2021/5581491.
結果としては、
コアエクササイズ+多次元アプローチは疼痛や腰痛の障害、座位姿勢の改善に効果がある
可能性が示唆されています。
研究方法
対象者:LBP患者60名
介入
多次元治療(MT)群(n=30)
コアスタビリティ運動(1日2回)
痛みの原理と管理法に関する教育やトレーニング
一元的治療(UT)群(n=30)
コアスタビリティ運動(1日2回)のみ
評価指標
疼痛・障害:視覚的アナログスケール(VAS)、オスウェストリー障害指数(ODI)
姿勢:モーションキャプチャで測定
結果
MT群の疼痛・障害がUT群より有意に改善(p<0.05)
効果は3ヵ月後も持続
胸腰椎前弯・腰椎前弯の改善が顕著
introductionから既知の事実を知る
腰痛のメカニズム|知っておくべきこと
腰痛にはさまざまな要因が関与していますが、特に以下の3つが重要とされています。
① 座り方が腰を壊す?
腰痛は腰椎の前弯の減少、胸椎後弯の増大が原因の一つとされています(Keegan, 1953; O’Sullivan, 2006)。デスクワークなどで座り続けると、骨盤が後傾し、胸椎後弯が増加しやすい可能性がありますね。
② 筋肉の働きが狂う
慢性腰痛の患者では、疼痛によって主働筋と拮抗筋が異常に共活性化する(Costa, 2009; Hodges, 2003)。これにより、適切な動きができず、さらに痛みを助長する悪循環に陥ります。
③ コアエクササイズで変えられる!
コアスタビリティエクササイズは、腰痛患者の筋活動パターンを修正し、腰椎の安定性を高める効果があることが報告されています(Shamsi, 2016)。一般的なエクササイズよりも、ターゲットを絞ったコアエクササイズの方が効果的だとされています。
研究で採用されたエクササイズ
この研究内では、段階的に負荷を上げるプログラムが実施されました。
🌟 ステップ1|まずはコアを目覚めさせる(8セッション)
腹横筋(TrA)&多裂筋の等尺性収縮
🔥 ステップ2|動きの中で安定させる(12セッション)
体幹深層筋の共収縮を促す機能的課題
仰臥位・四つ這い・座位・立位での腕や脚の挙上
ブリッジ運動
胸椎の分節運動
仰臥位でのサイクリング
💪 ステップ3|負荷をプラスして強化(12セッション)
手首や足首に外部負荷を加えたトレーニング
⚖️ ステップ4|バランス能力も鍛える(16セッション)
バランスパッドやバランスボールを活用
立位・四つ這い・座位での体幹トレーニング
これらの運動は下記論文を応用しています。
Shamsi, M. B., Rezaei, M., Zamanlou, M., Sadeghi, M., Pourahmadi, M. R., Does core stability exercise improve lumbopelvic stability (through endurance tests) more than general exercise in chronic low back pain? A quasi-randomized controlled trial, Physiotherapy Theory and Practice, 2016.
個人的まとめ|臨床でどう活かす?
今回の研究から、コアエクササイズ単独よりも、多次元的なアプローチの方が疼痛や姿勢の改善に効果的であることがわかりました。
特に、
セルフケアの指導(痛みの管理法、筋弛緩テクニック)
短期的な疼痛緩和のアプローチ(ホットパックやマッサージボールなど) が組み込まれていたことがポイントです。
まずは短期的でもいいので疼痛軽減を図り、代償的な動きを防ぎながら段階的にエクササイズを進める
ことが重要かもしれませんね。
コアエクササイズ+多次元アプローチの組み合わせが、慢性腰痛の新たなスタンダードになるかもしれません。
ではでは。
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