エキセントリック収縮〜筋肥大と筋力向上における寄与度〜
参考文献
Sato, Shigeru, et al. Comparison between concentric-only, eccentric-only, and concentric-eccentric resistance training of the elbow flexors for their effects on muscle strength and hypertrophy. European Journal of Applied Physiology. 2022; 122: 2607-2614. doi: 10.1007/s00421-022-05035-w.
肘屈筋の筋力および筋肥大に対する短縮性のみ、伸張性のみ、および短縮性・伸張性混合レジスタンストレーニングの比較
とりあえず内容を知りたい方はここ
目的
肘屈筋を対象として、求心性・遠心性混合(CON-ECC)、求心性のみ(CON)、および遠心性のみ(ECC)の3種類のレジスタンストレーニングが、筋力と筋肥大に及ぼす影響を比較検討することを目的としました。
特に、筋肉が引き伸ばされた状態(0°–50°)でのトレーニング効果を検証しました。
方法
レジスタンストレーニング経験のない若年成人を、各群14名および対照群11名の4群に割り当てました。
トレーニング群は、週2回、5週間にわたり、肘関節伸展位(0°–50°)の可動域で肘屈筋トレーニングを実施しました。
CON-ECC群は1セットにつき短縮・伸張の両方向で各10回(計60回/回)行い、CON群およびECC群は各10回(計30回/回)行いました。
これにより、CON-ECC群のトレーニングボリュームは他群の2倍設定となりました。
評価項目として、最大等尺性(MVC-ISO)、最大短縮性(MVC-CON)、最大伸張性(MVC-ECC)収縮トルク、および上腕二頭筋と上腕筋の筋厚(MT)を測定しました。
結果
対照群には変化が認められませんでした。
筋力については、CON-ECC群とECC群でMVC-ISOおよびMVC-ECCが同様に増加しました。
MVC-CONは、CON-ECC群、CON群、ECC群のすべての群で増加し、群間差はありませんでした。
筋厚については、CON-ECC群(10.6±5.4%)とECC群(9.7±7.2%)で同様の有意な増加が確認されましたが、CON群(2.5±4.8%)では有意な増加は見られませんでした。
結論
ECCトレーニングは、トレーニングボリュームが半分であったにもかかわらず、CON-ECCトレーニングと同等の筋力向上および筋肥大効果をもたらしました。
この結果は、混合トレーニングにおける短縮性収縮の追加的な寄与が小さいことを示唆しています。
ポイントと感想
遠心性収縮の効率性
遠心性収縮(ECC)群が、求心性・遠心性混合(CON-ECC)群の半分の運動量(収縮回数)でありながら、同等の筋肥大(筋厚増加)と筋力向上を達成しています。
トレーニング理論ではトレーニングボリュームが筋肥大の重要な変数とされますが、そこに収縮の質がかなり影響している可能性があります。今回の結果だけ見ると、ボリュームを質が凌駕していますね。
長軸方向への刺激の重要性
今回の研究では、肘関節0°〜50°という、筋肉が引き伸ばされたアライメントでのトレーニングが採用されています。
過去の知見でも、屈曲位(80°〜130°)より伸展位でのトレーニングの方が筋肥大率が有意に高いことが示されています。
これは、受動的な張力やバネ作用が、遠心性収縮時にさらなるメカニカルストレスを筋肉に与えるためと考えられます。
可能な限り筋肉が伸張されたポジションでエキセントリックな負荷をかけることが、重要となります。
神経適応の広がり
遠心性トレーニングは、トレーニングした収縮様式だけでなく、等尺性や求心性の筋力をも向上させました。
一方で、求心性トレーニング(CON群)は、自らのトレーニング様式である求心性の筋力向上に留まっています。
遠心性収縮が脊髄レベルや脊髄上レベルでの神経適応を強力に促している可能性を示唆しています。
単に力が出るだけでなく、多様な収縮形態に対応できる能力を養うためには、遠心性収縮をプログラムの主軸に据える妥当性が高いですね。
ではでは。
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