SLAP損傷保存療法、キーは「肩の可動域」
参考文献
Hashiguchi H, Iwashita S, Yoneda M, Takai S. (2018). Factors influencing outcomes of nonsurgical treatment for baseball players with SLAP lesion. Asia Pac J Sports Med Arthrosc Rehabil Technol, 14, 6-9.
SLAP損傷を有する野球選手に対する非外科的治療の結果に影響を与える要因
とりあえず内容を知りたい方はここ(論文の要約)
SLAP損傷(上方関節唇損傷)は、特に野球選手などのオーバーヘッドスポーツに多く見られる肩の障害です。
保存療法がまず選択され、治療効果が出てこない場合、手術を検討するのが一般的な流れです。
この研究では、SLAP損傷を有する野球選手45名を対象に、保存療法に対する反応に影響を与える因子を調査しました。
解析の結果、年齢、野球経験年数、症状の持続期間、初診時および治療2カ月後の肩関節可動域、骨棘や腱板断裂の有無などが、治療成否に関わっていることが示されました。
セラピストが変化を加えられる領域としては、肩関節90°外転位での内旋制限(いわゆるGIRD)を早期に改善することが、保存療法を成功させる鍵になる可能性があります。
ポイントと感想
非外科的治療の限界と可能性
SLAP損傷に対して、理学療法を中心とした保存療法は有効な選択肢ですが、約3割の選手が治療に反応しませんでした(45例中13例)。
症状発現から治療開始までの期間が長かったことや、高齢であること、野球経験が長いことなどが共通しています。
これらは、時間と共に軟部組織の柔軟性が低下したり、構造的な変化が進行している可能性を示唆します。
「2か月後の可動域」が重要な分岐点
本研究で注目すべきは、治療2カ月後の肩関節可動域の差が、最終的な予後と強く関連していたという点です。特に90°外転位での内旋制限(GIRD)は、保存療法の成否に直結していました。
このGIRDは、後方関節包や筋群の緊張により生じ、スリーパーストレッチなどで改善が見込めるため、理学療法士にとっては「手を打てる要因」と言えます。
可動域制限は見逃さず、かつ積極的に介入すべきポイントです。
単なる肩の痛みとして放置されがちなこれらの初期サインを、理学療法士がしっかり拾い上げ、適切なストレッチや運動療法に導くことで、手術回避と早期復帰につながる可能性が高まります。
肩の弛緩性などとは優位差なし
関節唇は、肩の安定性に寄与する重要な組織です。SLAP損傷では、関節唇の損傷が見られるため、肩が不安定になるため、この弛緩性なども影響してきそうでしたが、今回の研究ではあまり問題視されていませんでした。
まずは可動域を早期に回復することが重要視されそうですね。
ではでは。
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