茶太郎が重病!? 慌てて病院を覚悟したらまさかの結末でした
五月十三日、水曜日。
昨日のどんよりとした曇り空が嘘のように、今朝は見事な快晴だった。突き抜けるような青空から眩しい太陽が降り注ぎ、「いやあ、今日は最高の天気だ!」と思わず声が出る。
そんな僕の声をよそに、リビングのソファーではきゅうちゃんが、朝から堂々と鎮座していた。
「兄貴、今日は一緒に行こうぜ!」
はっちゃんが熱烈に誘うと、きゅうちゃんはゆっくり前足を伸ばしてストレッチを始めた。
……が、これが完全に「行く気ゼロ」のストレッチである。
お尻だけ高く突き上げ、目は「僕はソファーと運命共同体です」と語っている。
しかし今日は引き下がらない。
「ほら、行くよ!」
声を掛けると、「いや、まだ心の準備が……」と言わんばかりに二回目のストレッチ。
結局、はっちゃんにも背中を押され、歩くサイコロとなったきゅうちゃんを半ば強制連行して、僕たちは賑やかに散歩へ出発した。
茶太郎が重病!? 家中が大パニック
散歩をしながら思い出していたのは、昨日の出来事だった。
朝、二階へ行くと茶太郎が床の上でゴロゴロ転がっている。
それだけならいつものことだが、何度呼んでも起き上がらない。
「茶太郎、大丈夫か?」
声を掛けると、力なく立ち上がり、トボトボと一階へ降りて布団へ潜り込み、そのまま丸くなってしまった。

その異変に真っ先に気付いたのは、じゅんちゃんだった。
「茶太郎、大丈夫?」

心配そうに寄り添い、一歩も離れない。
さらに昼になっても異変は続く。
大好きなカリカリを目の前に置いても、一口も食べないのである。
「これは本当におかしい…」
食いしん坊の茶太郎がご飯を拒否するなんて、今までほとんど記憶にない。
手のひらにフードを乗せて口元まで持っていっても、甘えてくるだけで食べようとしない。
「どこか悪いのかもしれない…」
心配になった僕は急いで車を走らせた。
急にフードを変えるのは良くないので、いつものカリカリに乗せるカツオと、食欲を刺激しそうなウェットフードを買って帰った。
祈るような気持ちでカリカリの上にカツオを乗せ、茶太郎の前へ。
すると鼻がピクピク動いた。
次の瞬間――
「ふんが! ふんが!」
ものすごい勢いでカツオを食べ始めた。
「うまい! うまい!」
と言わんばかりの爆食いで、数秒後にはお皿がピカピカ。
満足そうに毛づくろいまで始めた。
「……ただのフード飽きだったんかい!」
心配していた僕は、一気に力が抜けた。
徹夜の看病団
ところが、この結末を知らない者たちがいた。
じゅんちゃんとはっちゃんである。
二匹は茶太郎が重病だと信じ込み、夜中ずっと茶太郎に付き添っていたのだ。
主役はカツオを食べて爆睡。
その横で、犬と猫が徹夜で看病している。
朝になると、二匹ともどこか寝不足そうな顔をしている。
「みんな、ごめんな…。茶太郎、もう元気なんだよw」
その健気さに、思わず笑ってしまった。
角刈りは最強だった
一方、きゅうちゃんの角刈りは、トリミングから数日経ってもまったく崩れていなかった。
前から見ても四角。
横から見ても四角。
どこから見ても歩くサイコロである。
この髪型にしてからというもの、きゅうちゃんは完全に調子に乗っていた

「その頭、かっこいいね!」
僕が褒めたせいで、自分を世界一イケてる犬だと思い込んでしまったらしい。
四角い頭を突き出しながら、
「オラオラ!」
とはっちゃん、じゅんちゃん、茶太郎を家中追い回していた。
髪型一つでここまで性格が変わるとは、本当に恐ろしい。
結局のところ、重病だと大騒ぎした茶太郎はカツオを美味しそうに食べ、徹夜で看病していたじゅんちゃんとはっちゃんだけが少し寝不足になったという、なんとも我が家らしい結末だった。
今日も犬と猫に振り回され、笑って、心配して、また笑う。
そんな賑やかな毎日が、僕にとっては何より幸せなのだと思う。

