猫のおならを地震だと思って大騒ぎした犬の話
犬という生き物は、ときどき信じられないほど真面目である。
昨日も、そんなことを思い知らされた。
みんなのお気に入りの電動おもちゃを出して遊ばせていたのだが、茶太郎は最初から遊ぶ気が少し違っていた。
追いかけるよりも、動く部分を体で押さえ込む。
そして動かなくなったおもちゃを見て、「勝った」という顔をする。
いや、それは勝ったんじゃない。壊したのである。
本人だけは、たいそう満足そうだった。
そのあと、じゅんちゃんが昼寝を始めた。
見ると、はっちゃんの顔にお尻を向けるという、どう考えても波乱しか生まれそうにない体勢で寝ている。
「ああ、これは何か起きるな」
そう思って何気なくカメラを回していた。
案の定だった。
じゅんちゃんが、
「プーッ」
と実に気持ちよさそうなおならを一発。
その風は見事にはっちゃんの顔へ直撃した。
次の瞬間、はっちゃんは飛び起きた。
ところが、おならという発想には至らない。
家中を見回り、外を確認し、二階へ駆け上がる。
どうやら本人の中では、
「今の揺れは何だったんだ」
という一大事件になっていたらしい。
僕が「地震じゃないよ」と説明しても、そんな言葉より自分の鼻のほうを信用している。
犬というのは、本当に正直な生き物だ。
結局、家中を何度も巡回し、ようやく安心した頃には、じゅんちゃんは何事もなかったような顔で寝続けていた。
事件を起こした本人だけが、いちばん平和なのである。
世の中というものは、案外そんなものなのかもしれない。

