【温泉めぐり】千葉発・四万温泉1泊2日6湯!千と千尋の積善館から共同浴場めぐりまで
「仕事が続いていて、何も考えずにただ良い温泉に入りたい。」
そんな衝動が、この旅の始まりだった。
スケジュールを詰め込まない。移動でさほど疲れない。でも、本物のお湯にしっかり浸かりたい。
そのすべてを満たしてくれる場所として、すぐに頭に浮かんだのが四万温泉だった。
群馬の山奥、四万川沿いに旅館と共同浴場が点在する温泉地。泉質はナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩温泉。
「四万の病を癒す」という言葉の由来も納得できるほど、体に働きかけるお湯がある場所だ。
友人と1泊2日で計6湯。密度の高い湯めぐりになった。
※2024年5月頃に訪問。各種情報は当時のものです。最新情報は各施設にご確認ください。

タイムスケジュール

1日目
出発 9:30-
柏インターから車で関越道へ。群馬方面へ北上するルートだ。
仕事の疲れを引きずりながらも、「四万温泉に向かっている」という事実だけで、すでに気分が上向いてくる。途中のパーキングエリアで休憩を挟みながら、約3時間半ほどかけて四万温泉へ向かった。
山の中へ進むにつれ、空気が変わる。視界が緑に覆われ始めると、「来てよかった」という気持ちが自然と湧いてくる。そういうスイッチの入り方が、この旅の好きなところだった。
1湯目:四万温泉 積善館(元禄の湯)13:30〜14:20

四万温泉に着いてまず向かったのは、積善館。
「千と千尋の神隠し」のモチーフの一つとして知られるこの旅館は、温泉好きでなくても聞いたことのある名前だと思う。川沿いに立つ赤い橋と、湯けむりをまとった木造建築。その外観だけで、既にここに来た満足感がある。

日帰りで入れる「元禄の湯」は、昭和5年建造の重要文化財。5つの石造り浴槽が並ぶ浴室には、どこか映画のセットのような非日常感がある。

驚いたのは、浴槽によってお湯の温度がかなり違うこと。熱い湯が得意な自分でも、入れないほど熱い浴槽があった。ここまで振り幅のある温度帯は珍しい。熱めの浴槽と温めの浴槽を行き来しながら、体が少しずつほぐれていく感覚があった。
飲泉もできる。

口に含むと、かすかにミネラルの風味がする。足湯もあり、湯上がりの時間もゆっくり過ごすことができた。
温泉が好きではない人でも、間違いなく楽しめる空間だと思う。
施設情報:
住所:群馬県吾妻郡中之条町大字四万甲4236
泉質:ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩温泉
日帰り入浴料:大人1,500円(フェイスタオル・歯ブラシ付)
日帰り入浴時間:平日・土日祝 10:00〜17:30(最終受付17:00)
四万ブルー散策 14:20〜15:00

積善館を出た後、宿へ向かうまでの時間を川沿いの散策に使った。
四万温泉を流れる四万川は、「四万ブルー」と呼ばれる青さで有名だ。
実際に目にすると、その色の鮮やかさに思わず足が止まる。川の一部では、本当に青みがかった水が広がっていて、飛び込みたくなるような透明度だった。

宿の近くには生ビールを売っているお店があった。その川を眺めながら一杯やる時間は、温泉旅の中でも特別に心地よい時間の一つだった。
2・3湯目(宿):四万温泉 豊島屋(麗峰の湯・瑞雲乃湯)15:00〜

チェックインと同時に、まずは内湯「麗峰の湯」へ。

飲泉もできる上質な湯だ。ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩温泉の、なめらかで体に染み込むような浴感。
入れた瞬間から、「良いお湯だ」とわかる。源泉3本を自家所有し、100%かけ流しというこだわりが、湯の透明度と鮮度に現れている。
夜には男女が入れ替わった「瑞雲乃湯」へ。

川沿いの露天風呂から眺める景色は、麗峰の湯とはまた違う開放感があった。夜の川音をBGMに、ただただ湯に浸かる時間。これが旅館に泊まる醍醐味だと思う。
同じ泉質・同じ源泉のお湯でも、浴槽の設計や景色が変わるだけで体験はまるで違う。この違いを一晩で楽しめるのが、入れ替え制の旅館の良さだ。
館内の雰囲気も落ち着いていた。

規模は大きくないが、だからこそロビーで読書したり、屋上エリアでぼーっとしたりする時間が生まれやすい。

ゆっくりしたい時には、こういう小ぶりの旅館が向いている。
夕食も美味しかった。素材を活かした料理だった。



温泉に入り、食事をして、また温泉に入る。これ以上シンプルで幸せな一日の過ごし方はないと思う。
施設情報:
住所:群馬県吾妻郡中之条町四万3887
泉質:ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩温泉
日帰り入浴料:宿泊者のみ(日帰り入浴は要問合せ)
2日目
4湯目:四万温泉 上之湯 9:00〜9:30

朝食後、チェックアウトの前に、宿を抜け出して共同浴場へ向かった。
豊島屋のすぐ近くにある「上之湯」は、地域の方々が協力して管理する共同浴場だ。観光客として入らせてもらえることには、感謝を感じる。

浴槽は小さめで、かけ流しのお湯がそこへ注がれている。共同浴場のお湯は大抵こういう形で、だからこそ鮮度が高い。朝一番でこのお湯に入ると、体が目覚めるというより、静かにリセットされる感覚がある。
朝の温泉街は人が少なく、静かだ。湯上がりに少し外を歩くだけで、また良い気分になれた。
施設情報:
住所:群馬県吾妻郡中之条町四万(山口地区)
泉質:ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩温泉
日帰り入浴料:無料(寸志)
日帰り入浴時間:9:00〜15:00(年中無休)
5湯目:四万温泉 御夢想の湯 10:10〜10:30

チェックアウト後、少し車を走らせてもう一つの共同浴場へ。
「御夢想の湯」は四万温泉発祥の湯とされる場所で、温泉の歴史そのものに触れるような特別感がある。木造の湯屋造りの建物で、1階に浴槽、2階に脱衣所という珍しい構造だった。

とにかく熱い。
これまで様々な温泉に入ってきたが、ここの熱さはその中でもかなり上位に入る。足を入れるたびに「熱い……」と声が出た。少しずつ慣らしながら、ようやく全身を沈めることができたとき、達成感と気持ちよさが同時に押し寄せてくる。
この感覚もまた、温泉の醍醐味だと思う。
目の前には日向見薬師堂と足湯もある。
御夢想の湯の後は、そのまわりをぶらりと歩くだけで、四万温泉の歴史と空気を存分に味わえた。
施設情報:
住所:群馬県吾妻郡中之条町四万4372-1
泉質:ナトリウム・カルシウム-硫酸塩温泉
日帰り入浴料:無料(寸志)
日帰り入浴時間:9:00〜15:00(年中無休)
休憩:お休処あづまや 10:35〜11:10

御夢想の湯の目の前にある「お休処あづまや」に立ち寄った。
目の前に茅葺き屋根の建物が見える、雰囲気のある休憩処だ。湯上がりに飲んだアイスコーヒーが、これまた格別だった。

温度の高い温泉を立て続けに入った後の、冷たい一杯。温度差が体に気持ちいい。こういう小さな体験が、旅の余白をしっかりと埋めてくれる。
6湯目:沢渡温泉 共同浴場 12:00〜12:40

四万温泉から帰路につく途中、沢渡温泉へ立ち寄った。個人的にはここは2度目の訪問になる。
「一浴玉の肌」と呼ばれる沢渡温泉の共同浴場は、地元の人でにぎわう「ザ・共同浴場」という雰囲気の場所だ。
カルシウム・ナトリウム-硫酸塩・塩化物温泉の湯は、四万温泉とは泉質が少し異なり、また違う入り心地がある。草津温泉の「仕上げ湯」としても知られるほど肌への作用がある。熱湯と温湯の2槽があり、体調に合わせて使い分けられるのもありがたい。
温泉をはしごした締めとして、この共同浴場は本当に良い選択だった。帰りの車に乗り込む前に、体がシャキッとリセットされた感覚がある。
施設情報:
住所:群馬県吾妻郡中之条町上沢渡2310
泉質:カルシウム・ナトリウム-硫酸塩・塩化物温泉
日帰り入浴料:大人300円・小人200円(沢渡温泉宿泊者は無料)
日帰り入浴時間:9:00〜20:30
昼食:そばうどん よしのや 12:50〜13:40

沢渡温泉近くの蕎麦屋「よしのや」で昼食をとった。

しっかりと蕎麦らしい味と食感のお蕎麦。

一品料理として出てきた豆腐も食べ応えがあり、温泉旅の締めにふさわしいシンプルで美味しい食事だった。
帰路 14:00〜17:00
沢渡温泉エリアから千葉の柏方面へ、約3時間ほどの道のり。
湯上がりに車を走らせるのは、不思議と心地よい。体は温まっていて、頭は空っぽになっている。こういう状態で迎える帰路は、旅の余韻をじっくりと味わえる時間でもある。
土日の一泊二日だったこともあり、日曜帰りは渋滞が心配だったが、沢渡から早めに出たおかげで大きな混雑には巻き込まれなかった。朝から動いて、早めに帰る。これが休日を最大限に活かす旅の鉄則だと改めて思った。
まとめ
今回の旅をひとことで言えば、「ちょうど良い旅だった」という言葉に尽きる。
詰め込みすぎず、それでも6湯。積善館という歴史ある旅館から、地元民が通う共同浴場まで、四万温泉のさまざまな顔を一度に味わえた。
豊島屋の100%かけ流しのお湯、上之湯と御夢想の湯という2つの個性的な共同浴場。そして締めに沢渡温泉という異なる泉質のお湯。旅全体を通じて、湯質の変化を楽しめたのが今回の旅の醍醐味だった。
仕事疲れをリセットしたい、でもゆっくりしたい。その両方を満たしてくれた旅になった。四万温泉は、また来たいと思える場所だ。
