ラムネの頃
ヒカリがお腹にいる頃のことです
夫のアコードの後部座席で工事現場が目に入りました
80年代の神奈川の住宅街のことです
砂の山があります
濡れておらず乾いており明るいグレーです
美味しそうと思い、「あれは砂」と心の中で
自分に言い聞かせました
と申しますのも、もともときな粉など粉類が大好きで
お肉を食べにくい偏食もあり、栄養が偏ってはいけないと
きな粉を控えていたので、砂の山さえそう見えたのでしょう
トラガラがお腹にいた時はラーメンでした
やはり栄養バランスを気を付けたので我慢した覚えがあります
息抜き
夫が鬱病になり数年経った頃のことです
20時になると幼稚園児のヒカリと
小学生のトラガラは2階へ上がります
21時は夫が就寝前の薬を服薬し休みます
お台所を静かに片付けて
21時半か22時には自由時間になります
やけ食いややけ酒はしないのですが
人生でこの時期だけ
生協のラムネを口にしながら
図書館で借りたエッセイ、料理本、旅行記などを
60分ほど読むのが習慣になっていました
一日の終わりの、少しの自分の時間です
子どものおやつとしてラムネを知り
キャンディのように透明な包みで包まれており
口の中ですぐ溶けて消えるので
読書の妨げにならないのでラムネだったようです
小さな円柱を1cm程度に輪切りにしたような形をしています
体(たい)をかわす
思えば、30代半ばの私は、病気療養している夫を
世間の偏見から守ることや
子どもたちを守ることなど、責任が集中していました
まだ、人生の剣ヶ峰と父は表現していましたが
難所を通る際に、困難を正面からバンと受けてしまう
傾向があったと思います
ですが、ラムネを食べつつ読書しながら
夫を支えるうちに、少しづつ
あくまでもイメージですが
受ける衝撃を和らげられるよう
角度を変えるコツを覚えたようです
ですから、ラムネを必要としたのは
人生であの時期だけ
今は、78になり口が渇きますから
白湯で湿らせる程度で
読書を楽しめています
30代、ラムネが必要な季節がありました
おしらせ
このnoteから生まれた本です。機会がございましたら、サンプルを眺めてやって下さい。古く、今に繋がる何かがあります。

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