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幼児の言語獲得に必要なもの〜最新言語学から子どもの言語獲得の謎を解いてみよう

この記事は、2010年5月に発行した
『パルキッズ通信』Vol.146の特集記事を再編集したものです。
本記事は、パルキッズ通信のアーカイブとして
noteマガジン内で公開しています。

written by 船津 洋(Hiroshi Funatsu)


会話の練習で英語の習得は可能か?

幼児が言語を獲得するために、必要な要素は何でしょう。会話練習でしょうか? それとも、リスニング練習でしょうか? はたまた、フラッシュカードによる語彙の強化? 絵本を読み聞かせたり暗唱させたりするのも良さそうですし、歌で覚えるのも楽しそうです。フォニックスなども良さそうですね。とまぁ、こんな具合に、いろいろな方法が思い浮かぶことでしょう。

確かに、それらの方法も一理ありそうです。しかし、究極は「日常会話文のかけ流し」なのです。それでは、なぜ幼児期の英語学習の究極の手段が、日常会話のかけ流しなのかを、今回は解き明かして参りましょう。


日本人が英語を出来ない理由

私たちは、数千の英単語を知っていますし、英文法も、ひょっとするとアメリカの高校生より良く知っています。しかし、アメリカ人の3、4歳児程度の英会話すら、ままなりません。逆に、アメリカ人の3、4歳児たちは、私たちほど英単語を知りませんし、ましてや文法知識などは全く有していません。しかし、日常的なやりとりは、普通に取り交わしますね。この両者の差はいったい何なのでしょうか。

この問いに答えるためには、「私たちが今まで受けてきた英語教育」を振り返ってみる必要があります。私たちは、学校でさんざん英語を勉強してきて、知らず知らずのうちに、なんとなく「読み書きは出来る」が「英会話が出来ない」と信じ込まされているのです。

仮にこれが真実だとすれば、私たちは、少なくとも「英語の読解力は有している」ことになります。では、洋画のDVDを「英語の字幕」で観てみましょう。音が入ってくると気が散るので、純粋に読解力の有無のみを確認するために消音にしてください。

さて、いかがでしょう。理解できますでしょうか?

洋画を観る趣味のない方は、大きな書店の洋書コーナーへ行って、ペーパーバックを1冊パラパラっとめくってください。英語の読解力があるのならば、理解できるはずですよね。

DVDを字幕で観る、もしくは洋書をパラパラとめくってみる。そして、英語が理解できたのであれば、読解力どころか「英語力」を有していることになります。おそらく、ほとんどの方は、DVDにも洋書にも太刀打ちできないことでしょう。


ただ、読めるだけ

でも、いかがでしょうか。洋画の字幕に出てくる単語も、洋書に印刷されている単語も、そのほとんどは「読む」ことが出来るのではないでしょうか。しかし、いくら読めども理解できない。読めるのだけれども、読んだだけではイメージが湧いてこないのですね。読める、すなわち「読力」はあるのだけれども、理解できない、すなわち「読解力」はないのです。

最近子どもたちの「理解力」が落ちてきています。もちろん「読解力」も落ちています。ただ、子どもたちは、日本語を読むことはできるのです。読めるけれども、よく考えないと理解できない。すなわち、読解力はないのです。まるで私たちの英語力のようですね。
 
私たちは、英語は読めるのですが、理解できないのです。私たちは学校でさんざん英語を習ってきましたが、それは、「英語を日本語に置き換えて、日本語として英文を理解する能力」であって、「英語をそのまま理解できる能力」は、まるでトレーニングしてきてはいないのです。従って、英文を読んでも、日本語に訳すまでは、単なる英単語の連続にしか見えないのです。

これは、興味深い事実を示唆しています。読んでも理解できない英語は、仮に聞き取れたとしても、一体どれだけ理解できるのでしょうか? 日本人に足りないのは「リスニング力」かと思いきや、それ以前の問題であることが分かります。

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