【詩】菜の花のからし和え
土曜日まで働き詰めの指先に
ようやく訪れたまな板の静寂
湯気の向こうで
菜の花がくたりと春の顔を見せる
ほろ苦さが胃にしみる
スピーカーからは
FUGAZIが鳴り続ける
力任せなのに繊細なコードが
この疲れた夜に火をつける
からしを溶いて醤油を垂らし
無心で混ぜる
こういう時間が意外といい
今夜の俺の家は居酒屋だ
グラスをあおり箸を進める
ハイボールは
ホワイトホースで作ろう
明日は日曜日だし
知ったこっちゃない
この苦味がすべて流してくれる
でも少し早く起きたい
そしてジムに行くんだ
気づけば娘が箸を伸ばして
「ちょっとからいけどうまい」と笑った
悪くない夜だ

