リフィル処方箋の未認知率はWeb調査で72.4%に達し未実績診療所の59.6%が対応の検討に「消極的」
デジタル庁は2026年8月3日、「リフィル処方箋の認知率や利用状況に関するダッシュボード」の更新にあわせ、令和6年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査の報告書案を公開した。本調査は、長期処方やリフィル処方箋の周知・活用状況、医療現場および患者が抱える課題を多角的に検証したものである。
調査対象は、病院・診療所2,000件、医師4,000人、保険薬局1,000件、患者郵送調査6,000人、患者インターネット調査3,000人など広範囲に及ぶ。実際の有効回答として、病院・診療所471件、医師400人、保険薬局455件、患者郵送調査860人、患者インターネット調査3,000人のデータを集計・分析した。
集計結果からは、医療機関におけるリフィル処方箋の発行姿勢と長期処方との温度差、さらに患者の調査手法(郵送とWeb)によって認知度や利用意向に著しい乖離が存在する実態が鮮明となった。
病院および診療所における発行実績と今後の検討見通し
令和7年4〜6月の処方箋の合計発行枚数について、リフィル処方箋の発行実績がある病院では平均で9,252枚、発行実績がない病院では平均で5,437枚となった。また、診療所においては発行実績がある施設で平均3,016枚、発行実績がない施設で平均2,009枚であった。
医療機関における今後の発行検討について、報告書案には以下の記載がある。
リフィル処方箋の発行に係る検討についての今後の見通しは、リフィル処方箋発行実績がある病院・診療所では「患者希望があれば検討する」が最も多く、それぞれ 62.7%、60.3%であった。一方で、リフィル処方箋発行実績がない病院・診療所では、「検討には消極的」が最も多く、それぞれ 49.1%、59.6%であった。
発行実績のない医療機関では対応に慎重な姿勢が目立ち、病院の49.1%、診療所の59.6%が検討に消極的と回答している。
長期処方の発行検討における前向きな姿勢と意識の隔たり
一方、28日以上の処方と定義される長期処方の発行検討においては、リフィル処方箋と比較して前向きな対応傾向が見られる。報告書案では次のように整理されている。
長期処方の発行に係る検討についての今後の見通しは、病院では、リフィル処方箋発行実績がある病院、発行実績がない病院ともに「患者希望があれば検討する」が最も多くそれぞれ 60.7%、56.6%であった。診療所においてもリフィル処方箋発行実績がある診療所、発行実績がない診療所ともに「患者希望があれば検討する」が最も多くそれぞれ 54.8%、46.1%であった。「検討には消極的」は、(6)リフィル処方の検討においては全体で 39.5%であったのに対して、長期処方では全体で 18.8%であり、長期処方の方がリフィルより検討に前向きな傾向が確認された。
「検討には消極的」の割合はリフィル処方箋の検討で全体39.5%にのぼるのに対し、長期処方では全体で18.8%にとどまっており、医療現場での受け止め方に差が生じている。
患者調査における認知度と長期処方経験の差異
患者を対象とした調査では、郵送調査(860人)とインターネット調査(3,000人)の間で認知度や受訹行動に大きな違いが確認された。制度の認知度について、報告書案には以下の記述がある。
リフィル処方の認知度について、郵送調査では「知らなかった」と回答した割合が全体で 38.7%であったのに対し、インターネット調査では全体で 72.4%であり、インターネット調査の方が認知度が低い傾向がみられた。
また、長期処方を受けた経験についても、郵送調査では「ある」と回答した割合が73.3%であったのに対し、インターネット調査では57.4%であり、利用経験の面でも差が見られた。
リフィル処方の利用意向と調剤を伴わない受訹の実態
繰り返し利用する際の実態に関し、2回目や3回目の調剤段階で薬局に行かず受診するケースについて、報告書案は次のように記している。
リフィル処方箋 2、3 回目の調剤で、調剤を受けずに受訹することになった経験について、郵送調査では「ない」と回答した割合が 92.6%であったのに対し、インターネット調査では 74.8%であり、インターネット調査の方が調剤を受けずに受訹する割合が多い傾向がみられた。
さらに、制度の利用意向についても調査手法による対比が示されている。
リフィル処方の利用意向について、郵送調査では「利用したくない」が 17.7%であったのに対し、インターネット調査では 5.4%であり、インターネット調査の方がリフィル処方の利用意向の割合が多い傾向がみられた。
患者の属性や受診頻度の違いが、制度に対する評価や行動パターンに影響を与えていることが窺える。
読者が確認できる形にまとめる
調査回答の規模 — 病院・診療所471件、医師400人、保険薬局455件、郵送患者860人、Web患者3,000人から回答を得た。
未実績施設の消極姿勢 — リフィル処方箋の発行実績がない施設では病院の49.1%、診療所の59.6%が検討に消極的である。
長期処方への柔軟性 — 検討に消極的な割合はリフィル処方の全体39.5%に対し長期処方では全体18.8%にとどまる。
調査手法による認知差 — 制度を「知らなかった」割合は郵送調査の38.7%に対しインターネット調査では72.4%に上る。
未調剤受訹の傾向差異 — 2、3回目の調剤を受けず受訹した経験が「ない」割合は郵送で92.6%、Webで74.8%である。
この記事で確かめられなかったこと
報告書案には、地域ごとのリフィル処方箋発行率の詳細な偏りや、診療科別の具体的な処方薬剤名の内訳一覧は掲載されていない。また、処方箋の不正利用や服薬トラブルに関する具体的な発生件数や個別事例の記述は見られない。
出典一覧
リフィル処方箋の認知率や利用状況に関するダッシュボードを更新しました デジタル庁、2026年8月3日
