伝えようとする意志が語学力を伸ばす
たまに中高生を相手に英会話のレッスンをしているのですが、
十代の、思春期ファイターズのエネルギーったら半端ないですね。
なんあんだありゃ。授業後にはこっちがどっと疲れるくらいです。
もう、アレなんですかね。
どこから湧いてくるのかまだ分からないパワーがたぎって、どう発散すればいいのかも分からず、とにかく暴れたい時期なのでしょうか。
生徒の7割は『あばれる君』です。
ティーンエージャーとは言え、学校や部活という社会の中での気苦労もあるだろうし、恋愛や人間関係に悩むことも当然あるでしょう。
ストレスをグッと堪える子おいれば、分かりやすく八つ当たりしてくる子もいて、どういう風に接すればいいのか悩むことも。
一人一人の個性に合わせてレッスン内容を考えるのは楽しいし、やりがいもあります。
授業内容とは全く脈略のない質問が飛んできたときや、とんでもない点数の成績表を持って帰ってきたときは膝からがくっと抜け落ちそうにもなりますが、
まぁ、可愛いです。
英語って難しいよね
日本語とは全く違うんだもん。文章の構造から解釈の仕方からテンポまで、徹底的に日本語とはかけ離れています。
そもそも、
『そら今からオイラが話すぞ!みんな聞け!』
という日本語にはない厚かましさが多少ないと、第二言語なんて恥ずかしくてなかなか話せませんよね。
どうすれば彼らに、ミスを怖れずに英語を喋らせてあげられるだろうか。
ミスはすればするほど、上達に繋がるのだということを体験させてあげたかったんです。
そこである日、私は考えました。
「英語で質問できたら何でも答えたる」
こんなの通用しないよなぁ。ていうかそんなに私に興味ないだろうし。
と思っていると、次から次へと質問が飛んできたのです。
” Do you have a boyfriend?”
"When did you go out with a man?"
"Have you ever kissed someone?"
囲み取材かよってくらい、質問攻めにされました。
女子を中心に、質問のほとんどが私の恋愛事情についてでした。
「現在完了いつも間違えるのに、なんで完璧やねん」
と呆れながら言うと、
"Don't speak Japanese!!!!"
と逆に私が叱られる始末。
ハメられたんか……?と思ってしまいました。
比較級を覚えさせるために体を張る
一通り、仕方なく答えましたよ。正直に。
だって自分から言い出したわけだし、生徒たちはいつになくやる気出してくれてるし、
謝罪会見みたいなシリアスな雰囲気の中、それぞれがペンやマスカラをマイク代わりにこちらを向けていました。
彼氏の一人や二人でもいれば、結婚会見に出来たかもなぁ……。
質問の中に
"How old are you?"
というのがあって、そういえば
「あまり直接的な表現で年齢を聞くと、人によっては不快に感じる」
と教えていたことを思い出しました。生徒たちはまだ、私の年齢を知らなかったんです。
"I'm 30"
会場は一瞬静まり返ったかと思うと次の瞬間、隣の教室の先生から注意されるほどの大声で「ええええ!!!!」と叫ぶ生徒たち。
「見えへん!もっと若く見える!」
可愛いなぁもう、なぁ♡ (若く見られて喜ぶのが日本っぽい)
素直に喜んでしまったのですが、クラスの中に一人、英語の『比較級』の文法をどうしても覚えられない男子生徒がいて、
『チャンスだ!』
と思いました。
彼はクラス内で最も大人しく、分からない問題があっても自分から質問することが出来ない、内向的なタイプの子なのです。
「じゃあ、A君。
”あなたは実際の年齢よりも若く見えますね”って。はい、訳して言ってみて」
自分で組み立てて声に出した英文は、単にテキストで解く問題よりもよっぽど身に付くものだと思っています。そこに感情がのっかるからです。
するとA君は、
"You look younger than your age."
と、時間をかけながら、何度か間違えながらも完璧な文章を作ったのです!
泣きそうになりました…。
気持ちを伝えようとする意志
ほらやっぱり。
問題用紙に書かれてあるだけの日本語や英語をただ訳すよりも、自分の言葉で想いを伝えようとする意志が、言語習得の上で一番大切なんだよ。
そのことを教えたい一心でした。
「完璧な文法にすることよりも、自分の考えや想いを伝えようとする意志の方が、自然と知識として定着するものなのさ」
と、私も気分は金八先生。
少しは先生としての役割を果たせたのかなぁ、と晴れ晴れした気分でした。
が、
人生、そんな何もかも綺麗にハマるもんじゃないですね。
A君「先生、俺は別に…思ってないっていうか…。てか言わせただけやん」
それを聞いた他の生徒たちも大爆笑。
ちょ待てよ。(キムタクで)
いちいちオチつけんでいいねん。
比較級覚えてんから、もうそういうことにしとけばいいじゃないの。
