商業作家を目指すわたしが「ネタ出し」について361日間考えたこと
こんにちは。小説公募勢の祇光瞭咲です。
2025年も残りわずかとなりましたね。
小説公募勢として1年間を振り返ると、今年は執筆していた時間よりもネタ出しに費やした時間の方が長かったように思います。ひたすら考えて考えて、試行錯誤を繰り返した1年でした。
いつもは読みやすいように&楽しんでもらえるように整えてから書いているのですが、今回はどうにも思考がまとまらないのでつらつらと考えたことを書き連ねようと思います。
はじめに
今、楽しく小説が書けている皆さん。
あなたはこの記事を読む必要はありません。すべて忘れてください。あなたが楽しむことが一番なのですから。
公募で結果が出ず苦しんでいる皆さん。
わたしと一緒にちょっと考えてみませんか。この記事をちょっと読んでみてください。きっとあなたはもっと苦しむことになるけれど、プロになるには必要な登竜門だと思うのです。
前提:年始の決意と今年の結果
今年の初めにわたしはこんな記事を公開しました。
「今まで公募は神頼み&数撃ちゃ当たる戦法をとっていたけど、今年は渾身の1作を叩き付けるぜ!!!!」という決意の記事でした。さて、2025年は有言実行できたかな?
結果:全然できませんでした。
ダメじゃん。
ダメでした。
4月の電撃大賞は渾身の1作を応募し、見事4次落選まで行ったのですが、それだって初稿を書いたのは2024年ですからね。落選を機に足りないところを書き直して応募したものです。2025年中に渾身の1作を書けたかというと、わたしの基準では書けなかったと言わざるを得ません。
え? 祇光さん、創作大賞で受賞していますよね?
そうなんです。今年の創作大賞ではメディア賞という華々しい賞をいただくことができました。その点で、2025年は来年以降に向けた大きな転機であったに違いありません。
でもね…受賞したのも、過去作なんですよね…
3作応募した中で、本命の作品ではありませんでした。
えっ。
ってことは、結局「数撃ちゃ当たる戦法」が成功しちゃってるじゃん。
これについてわたしは結構コンプレックスみたいなものを抱えていて、あの作品を書いてから何も成長していないんじゃないか?などとうじうじ悩んでいる時期がありました。
(でも、フォロワーさんが「時代が祇光さんに追い付いたということですね!」と言ってくれたおかげで、「確かに!」と前向きに考えることができるようになりました✨)
今年書いた新作長編2本は急いで間に合わせたり詰めが甘かったりっていうのがありますからね。創作活動という目で見ると、今年は全然ダメな1年だったと言わざるを得ません。
(アンソロに載せた短編『マガリアン卿の自伝』は渾身の1作だったかも?)
でも、だからと言って今年何も成長しなかったかというと、そんなことも無いと思っています。公募という短期的な戦いでは不調でしたが、小説家として生きるという長期的な視点で見れば、確かな成長がありました。
わたしが見出した「ネタ出しの極意」
今年わたしが一番がんばったのは、ネタ出し&プロットの試行錯誤です。プロットの書き方についてはまたいつか需要があればまとめるとして、今回は面白いネタを探求するなかでわたしが見出したことを共有したいと思います。
※あくまで「わたしが」見出したことです。世間一般に、そしてこれを読んでいるあなたに合うかどうかは保証できません!参考のひとつとして読んでくださいね♡
①公募はネタで最初の勝負が決まっている(と思う)
色々なインタビュー記事、新人賞の講評、編集者さんのお話などを聞きかじってわたしが辿り着いた結論は、「小説の公募はネタで最初の勝負が決まっている」ということ。
色んな公募、コンテストの受賞作のあらすじを読んでみてください。見事なまでにどれも面白そうだと思いませんか??
わたしはね、これが最初の答えだと思うのです。
いやいや!地味だろうとありきたりだろうとマニアックだろうと、中身が面白ければ選ばれるはずだ!クオリティがすべてなんだ!
…とおっしゃる方もおられるかもしれません。わたしははっきり「いいえ」と言います。そしてその次に「それは2番目の答えです」と付け足します。
ある編集者さんがある作品を見て「これは新人賞の受賞作じゃあない」と言いました。「面白いけど、新人賞に求めているのはそれじゃない」という意味です(※いろんなところで聞きかじった言葉の要素だけを拾っているので、特定の誰がどこで言ったことかは覚えてません)
新人賞には「新人に求めているもの」があるのです。それは「堅実さ」ではなく「意外性」だったり「個性」だったり。奇抜なだけではいけません。突き詰めれば「その人でなければ書けないもの」言い換えれば「その人が持つ要素を拾い上げて詰め込んだもの」です。
(※ひょっとするとこれは新人を育てるタイプの賞においてのみの話であって、即戦力を求める賞では違うかもしれませんが)
「堅実なもの」が売れるのは、その作家がそれまでに築いてきた読者への信頼があるから。わたしたち新人には何もありませんから、読者が店頭で「おっ?」と思う何かが必要なのです。
もちろん例外もありますが、例外はあくまで「例外」です。意地を張って例外を狙うくらいなら、素直に自分の実力を認めて身の丈に合った挑戦をするべきだとわたしは思います(今ちょっと厳しいこと言ったかも)
ちなみにクオリティについては、わたしは「クオリティが一定の水準以上であることは前提なので、そもそもそれで勝負するものではない」と考えています。←本当にこいつ口先だけはいっちょまえだよな。
…というわけで、わたしは公募はネタで最初の勝負が決まっていると判断しました。
②商品として店頭に並ぶ姿を想像しよう
色んな方のアドバイスを見ていると、その作品が商品になった姿を想像しておくことは重要だと感じます。それは「売れ筋にのっかる」とはちょっと違います。プロ作家さんの書下ろしならそれもありかもしれませんが、コンテストは応募~選考、書籍化作業~発売とかなり時間が掛かってしまうので、よほど流行の始め頃でないと乗っかるのは難しいと思います。
新人賞だろうと、即戦力を求めるコンテストだろうと、最終選考の選考基準は「このレーベル(賞)に合っているか」だと言います。どんなに面白くてもレーベルカラーに合わなければ見送る可能性がある。
また、プロ作家になってしまえば、執筆にとりかかる前に企画を出さなければなりません。企画には「セールスポイント」や「ターゲット」などを明確に求められることがあるようです。
編集者さんは企画を検討する時に「商品として売り出せるか?」を念頭において見ているそうです。注意しなければならないことは、それは「売れるか」ではないということ。「自分たちが販促できるか」という視点です。
ということで、わたしもネタ出しの際に「この本を店頭に並べるなら、どんな表紙/キャッチコピー/売り方をするかな?」と考えるようになりました。あんまり得意ではありませんが、できるだけ「どんな人なら買ってくれるかな?」ということも考えるようにしています。
…が、しかし。
身の丈に合わずそんなことを考え始めたせいで、今年の1月1日~12月27日まで迷走することになりました(最悪)
③考え過ぎると迷走するよ
はい。迷走しました。
つまんねーんだわ。
「こういうのなら売れるんちゃう?」って考えた話って、だいたい中身がない。薄っぺらい。書いていて楽しくない。書き始めても行き詰まる。結果だって出やしない。
挙句の果てに、自分というものを見失います。
「こういうのなら売れるんちゃう?」で成功した作品ももちろんありますが(SPY FAMILYとかそうらしいね)それはライスワークというやつであって、食べていくための商品なんです。商業作家としてのお仕事です。
わかりますか?
そうです。
「新人賞に求められているもの」とは対極なんですよ。
結論:みんなが嬉しい作品を
というわけで、わたしが1年間悩み抜いて、361日目にやっと辿り着いた結論をまとめます。
「みんなが嬉しい作品」を書きましょう!
ここでいう「みんな」とは、
・読者
・出版社
・そして、わたし自身!!!!!!!
です。
読者が嬉しい → 面白い!期待を上回る!
出版社が嬉しい → 商品としての売り方が明確!
わたしが嬉しい → 書いていて楽しい!自分を抑圧しない!
最近ずっと悩んでいたんです。
商品にはなりそうだけど書いていてあんまり楽しくない作品と、わたしが得意で楽しいけど売れはしないであろう作品、どっちを書いた方がいいかな?って。
それで、祇光瞭咲というPNを考えてくれた人に相談したら、こんな言葉が返ってきました。
PN考えてくれた人:
「稼ぐことを考えたら売れるものを書くべきに決まってるけど、そもそも二択で考えるのは間違いじゃない?」
なるほど。
確かにわたしは売れる作品と書きたい作品が二項対立だと考えていました。そんなことはない。そんなことはなかったんです。
よくプロは「書きたいものと売れるもののすり合わせ」が大事だと聞きます。すり合わせとはどういうことでしょうか。
①売れるものの中から書きたいものを探す。
それは手っ取り早いけれど、わたしのように好みがマニアックな人間は早々に抽斗が尽きてしまう。だから、
②書きたいものを売れる形に加工する。
わたしはこれに尽きると思います。
すごく難しいです。わたしもまだやり方がわかりません。だけど、それができるのがプロなのだと思います。
おわりに
最近は来年に向けて、ひたすら自分が目指したい小説家像を描いています。夢はね、見ないと叶わないからね。夢は具体的にすればするほど、そのためにどんな行動をすればいいのか明確になるから。いっぱいいっぱい考えた方がいいんです。
年が明けたら来年の抱負を投稿するつもりなので、続きの話はまたそこで。
それでは皆さん、よいお年を!
