愛する母の2年半の闘病生活 番外編
「あんた偉いね」
私は母を2か月に一度の割合で散髪に連れて行った
母はショートカットを好み、少し耳にかかってくると煩わしがり
すぐに散髪に連れて行ってくれとせがんで来ていた
ある日、いつものようにせがまれて連れて行った時のこと
散髪も終わり、席を立った母がトイレに行きたいと言うので
連れ添いながらトイレまで歩き
「鍵は閉めなくていいよ、俺がここで見張ってるから」
と言い、ドアのまえでしばらく待っていた
「じゃあ、帰ろうか」
と出てきた母を支えて一緒に歩こうとした時、母が
「ちょっと待って、ふらつく」
と言うので私が
「大丈夫だよ、歩くのが辛いなら俺がおぶってやるから」
すると、そばの席に座ってずっと様子を見ていた客の老婆が
「あんた・・ほんとに偉いね」
この人は何も解っていないと思った
決して私が偉いのではない
そうさせようと思わせる母が偉いのだ
これが普段から憎まれ口とか言ったり
私のことを思ってくれない憎たらしい母なら
私だってどう対応してたか解らない
「当たり前のことをやってるだけですよ」
と老婆に言い、その場を後にした
ひょっとして、あの老婆は息子さんにぞんざいに扱われてるのだろうか・・
そんな余計なことを憶測しながら
「お昼は何たべたい?」
と、家へと向かう自動車の中で母と昼ご飯の話に花を咲かせていた
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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