街灯/藤本透
中学校の正門を出て左手をまっすぐ、田んぼ添いに進んだ先の分かれ道に、ぽつんと私は佇んでいます。
中学校のほかに建物らしい建物はなく、私のまわりは夜になると真っ暗になります。そんな道を照らすのが、私のもうひとつの役目です。
部活が終わって中学校の生徒さんたちが自転車で通り過ぎると、通りがかる人もほとんどいません。
しぃんと静まりかえった夜は、星たちのまたたきが聞こえるようです。
梅雨が明けて夏が始まる頃になると、私のまわりには蛍がやってきます。
暗い夜をまたたきながら飛ぶ蛍たちは、まるで空いっぱいに広がっている星の光が、田んぼの近くまで降りて来たかのようです。
小学校の下校時間には、遠回りしてきた小学生さんたちが、蛍を探しに来ます。まだ日が暮れる前で明るいので、蛍はいてもその光は、ほとんど見えません。当然、蛍の姿も見つけられないのですが、いつか稲の葉陰でほんのり光る蛍を誰かが見つけたときには、大歓声が起こりました。
田舎とはいえ、どこにでも蛍がいるわけではないのです。
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