「うつ病の原因はウイルスだった!」~心の体温計でヘルスチェック✨~〔書評レビュー〕
🔵著 者 近藤 一博 (東京慈恵会医科大学・疲労医学講座特任教授)
🔵発 売 日 2021年9月2日
🔵ページ数 160ページ
🔵出 版 社 扶桑社
将来、自宅で簡単に「うつ病」の判定ができるかもしれません。
「心の弱さ」ではなく「ウイルスの仕業」だった――。2020年に、東京慈恵会医科大学の研究グループが「うつ病のウイルス説」を発表しました。今回ご紹介する本は、その発見の全貌をまとめた内容になっています。
日本で「うつ病」の画期的な治療薬(SSRI)が発売されてから、今年で27年になります。「うつ病の原因はセロトニン不足」という仮説に基づいて開発されましたが、今はその理論自体が世界的に疑問視されているのです。
【SSRI】[Selective Serotonin Reuptake Inhibitors]
抗うつ薬の一つ。脳のシナプス間隙に放出されたセロトニンが神経終末に再吸収されるのを阻害する作用がある。不安感情などを抑制するとされるセロトニンが不足するのを防ぎ、神経細胞間の情報伝達を正常な状態に近づけることで、うつ症状を改善する。選択的セロトニン再取り込み阻害薬。
そんな停滞気味だった原因解明に、一筋の光を当てたのが東京慈恵会医科大学の研究でした。彼らが着目したのは、ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)の遺伝子で、日本人のほぼ100%が体内に持っているのです。
実験の結果、このウイルスが「ある条件」で作り出すタンパク質が、脳に激しい炎症を起こしていることが分かりました。そしてそのタンパク質は、研究グループによって「SITH-1(シスワン)」と命名されたのです。
この本の中で、著者は命名の由来を書いています。興味があれば、どうか確認して下さい。ヒントを明かすと「スターウォーズ」です。この映画のファンなら、たぶん即答できるでしょう。
このヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)は、普段は体内のリンパ球などに「潜伏感染」して、私達と一生共生します。しかし、宿主(人間)が激しい疲労などで身体が弱まると、別の個体に移るために再活性化するのです。
その際に作り出されたタンパク質が脳の炎症を引き起こし、更に神経ネットワークを機能不全にさせるために、うつ症状が現れるのです。
逆に言えば、SITH-1(シスワン)の働きを阻害する特効薬が開発されたなら、うつ病の発症を抑えられる可能性があります。
現在、SITH-1(シスワン)の陽性を判定する血液検査診断キットや、治療薬の開発に向けた研究が具体的に進められています。
検査体制は医療機関向けが先行していますが、近い将来、手軽に自宅で心の健康状態を知ることができるでしょう。しかし、どんなに技術が進歩しても、日々の「心と身体のケア」が一番重要なのです。
最新の疲労研究で、過度の疲労が「うつ病」に直結することが明らかになっています。|健《すこ 》やかな日々を送るためにも「疲労とストレスの解消」を意識した生活を大切にしたいですね✨

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