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「調書(決定)」とは何か― 民訴規則50条の2、民訴法との関係、そして“相当”基準不存在の問題 ―

■1 調書とは何か(民訴法160条)

民事訴訟法160条は、調書について次のように定める。

裁判所書記官は、口頭弁論、弁論準備手続その他の期日における手続について調書を作成しなければならない。

民訴法160条

調書はあくまで 「期日の経過を記録する文書」 であり、作成者は 書記官 である。

調書は、 裁判所の判断(判決・決定)そのものではない。

■2 決定書とは何か(民訴法122条)

一方、決定書は 裁判官が行う判断 を記載した正式文書である。

民訴法122条は、決定にも判決の規定を準用すると定めている。

したがって決定書には、

  • 裁判官の署名押印

  • 主文

  • 理由

が必要である。

■3 では「調書(決定)」とは何か

ここからが問題である。

実務では、 書記官作成の調書の形式でありながら、内容は裁判官の判断(棄却・却下)を記載した文書 が送達されることがある。

民訴規則50条の2は「調書で決定に代える」制度を定めているが、 書記官作成の調書に裁判官の判断内容を記載して送達する という今回の形式は、条文の文言からは導けない。

すなわち、 今回のような形式の文書の送達を可能とする根拠は存在しない。

■4 民訴規則50条の2の引用と問題点

調書(決定)の根拠としてしばしば引用されるのが 民事訴訟規則50条の2 である。

裁判所は、相当と認めるときは、決定書に代えて調書をもって決定に代えることができる。

民訴規則50条の2

一見すると、 「相当と認めるとき」に限り、調書で決定に代えることができるように読める。

しかし、ここには重大な問題がある。

■5 民訴規則50条の2は民訴法に反する構造を含む

民訴法122条は、 決定には理由を記載し、裁判官が署名押印することを要求している。

ところが民訴規則50条の2は、 書記官作成の調書で決定に代えることを許容している。

これは、

  • 裁判官署名押印の欠如

  • 理由付記義務の欠如

  • 書記官による決定の代行

を事実上認めるものであり、 下位規則が上位法の要件を緩和している構造 となっている。

これは、民訴法が決定について定めた要件を事実上無視するものであり、 下位規則が上位法の要件を踏まえていない構造となっている。 すなわち、民訴規則50条の2自体が無効である可能性が高い。

■6 「相当と認める基準」については、現時点で最高裁から回答を得ていないが…

民訴規則50条の2は「相当と認めるとき」と規定するが、 その判断基準がどこに存在するのか が問題となる。

私は最高裁に対し、 この基準の存在を確認するため行政文書開示請求を行っているが、 現時点では、最高裁からの正式な回答は届いていない。

もっとも、最高裁は別件の開示請求において、

  • 「不満」基準

  • 「事実の存否を検討するまでもない」基準

  • 「その実質」基準

について 「作成・取得していない」 と回答している。

これらの基準が存在しない以上、 私は現時点で、 「相当と認める基準」についても同様の結果になると推測している。

行政文書開示請求の結果が判明し次第、 ここに掲載する予定である。

■7 基準が存在しないのに「相当である理由」が記載されていない

基準が存在しない以上、 裁判所が「相当と認めた」かどうかを検証することはできない。

にもかかわらず、調書(決定)には

  • なぜ調書で決定に代えたのか

  • どの基準に照らして相当と判断したのか

が一切記載されていない。

これは、

  • 理由付記義務(民訴法122条)

  • 裁判の透明性

  • 手続保障(憲法32条)

に反する。

■8 制度的に何が問題なのか

以上を整理すると、次の構造が浮かび上がる。

●(1)民訴規則50条の2は、民訴法で定められた決定の要件を事実上無視している
●(2)「相当と認める基準」が行政文書として存在しない
●(3)相当である理由が調書(決定)に記載されていない
●(4)正式な決定書原本の所在が不明
●(5)書記官作成の調書が「決定のように見える」文書として送達される

これらはすべて、 司法行政の透明性・説明責任・手続保障に直結する問題 である。

■9 文書提出命令申立てに関する記録返戻と書面欠落の問題


調書(決定)は、決定書ではない


5月25日に最高裁書記官に確認した「調書(決定)」が送達された後、 最高裁からの記録が地裁に戻されている。

しかし、地裁からの説明によれば、 以下の書面が記録に綴られていない。

  • 調書異議申立書(4月28日提出)

  • 求釈明申立書(4月29日提出)

  • 確認書(5月26日書留送付)

特に確認書については、 書留で送付しているにもかかわらず、記録に存在しない。

これらはいずれも、 調書(決定)の法的根拠・決定書の有無・理由付記義務の履行状況 を確認するための書面である。

地裁を通じて最高裁に照会したところ、回答は次の一言であった。

「適正に処理している」

令和8年6月19日、地裁書記官との電話

しかし、

  • 書面がどの段階で欠落したのか

  • 受領されたのか

  • 審理がどのように行われたのか

についての説明はない。

現在、 書面が確認できない件について再度問い合わせ中である。 結果が判明し次第、本記事に追記する。

■10 一次情報リンク(法令)

民事訴訟法160条(調書)

民事訴訟法122条(決定の理由付記)

民事訴訟規則50条の2(調書による決定の代替)

行政文書管理法

行政機関情報公開法

憲法32条(裁判を受ける権利)

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