嘘論文『小麦粉存在論』シリーズ全5話まとめ|これは、パンによるパンのための「闘争」の記録。
――これは、パンによるパンのための「闘争」の記録。
パン史上、最も不毛で高カロリーな「仁義なき戦い」が幕を開ける!――
我々が何気なく口にしている朝食、パン。
その一口の裏には、小麦粉たちの壮絶なドラマが隠されていた!
第1報:「食」という名の特権性 ― コッペパンが叫ぶ、階級社会への怒り。
第2報:水分含有率の弁証法 ― 生食パンが語る、焼かないという進化。
第3報:黄金の武装論 ― カレーパンが説く、自己犠牲と熱量。
第4報:格子状の楽園 ― メロンパンが導く、甘美なる宗教。
そして、極秘裏に入手された「第5の文書(最終章)」。
そこに記されていたのは、全ての対立を無に帰す、残酷なまでに純粋な真実だった。
大真面目な学術論文の文体で描かれるシュールな痛快ギャグ小説『小麦粉存在論』。全5話一挙公開!
※本編は下記リンクより無料でお読みいただけます。
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第1報:「食」という名の特権性(著者: コッペ・パン)
―― 角型食パンにおける名称独占と、他種パンに対する潜在的排斥、および給食制度下の疎外に関する考察 ――
第2報:水分含有率の弁証法(著者: ショク・パン・ド・ミ)
――「生」への昇華による存在論的革命と、旧世代パンにおける認識の遅滞について ――
第3報:黄金の武装論(著者: 辛口カレー・パン)
―― 高温油槽における自己犠牲的昇華と、「揚げ」を否定する軟弱なる者たちへの鉄槌 ――
第4報:格子状の楽園(著者: 聖母 メロン・ド・パリ)
―― 甘味による世界平和の実現と、パン種間闘争における無意味性についての福音 ――
第5報(終):パン屋さんに行ったよ(著者: むぎた ともき)
―― みんなちがって、みんなおいしい ――
【編集後記】
本誌『月刊 小麦粉研究』第138号「特集:パン種間における存在論的確執」を上梓するにあたり、多大なるご協力をいただいた各界の執筆者に深く感謝の意を表したい。
本号は、給食大学のコッペ・パン氏による「持たざる者」としての悲痛な叫びから始まり、乃が美大学のショク・パン・ド・ミ氏による富裕層の驕り、辛口カレー・パン氏による熱狂的な武力闘争論、そしてメロン・ド・パリ氏による甘美な宗教的救済論と、まさに現代パン社会の縮図とも言える混沌(カオス)を呈する結果となった。
編集部としては、これらの高度なイデオロギー対立に対し、何らかの学術的解決(ソリューション)が提示されることを期待していた。しかし、最終稿として届けられた、むぎた・ともき氏(市立第三小学校)の観察日記は、我々の期待を良い意味で裏切り、かつ、我々が積み上げてきた論理の塔を「食欲」という名の重機で粉砕した。
「みんなちがって、みんなおいしい」。
このあまりにも暴力的で、かつ真理を突いた一言の前に、我々大人の(あるいはパンたちの)理屈は無力である。小麦粉が水と出会い、酵母の働きで膨らみ、熱によって固まる。その奇跡的なプロセスを経て生まれた全てのパンは、最終的に「誰かの笑顔」になるために存在しているのだという原点を、改めて痛感させられた次第である。
なお、各氏から寄せられた原稿は、その主張の激しさゆえに、編集部のトースターやフライヤーを大いに過熱させたことを付記しておく。
読者諸賢におかれては、炭水化物の過剰摂取に留意されつつ、引き続き本誌をご愛読いただきたい。
(編集長 全粒 紛)
嘘論文シリーズ『小麦粉存在論』
発 行: 2026年3月2日(賞味期限:開封後はお早めに)
著 者: コッペ・パン / ショク・パン・ド・ミ / 辛口カレー・パン / 聖母メロン・ド・パリ / むぎた ともき
編 集: 『月刊 小麦粉研究』編集部 全粒 紛(ぜんりゅう ふん)
発行所: 株式会社 イースト書房
印 刷: 窯焼きプリンティング株式会社
定 価: 時価(小麦相場により変動します)
※本書はフィクションです。実在のパン、人物、団体とは一切関係ありません。
※本書を無断で複写(コピー)・転載・発酵することは、著作権法上での例外を除き禁じられています。
