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「野良猫が外来種に」——知っておいてほしい、安心材料となる事実【※追記あり】

環境省が野良猫を「外来種リスト」に加える方向で最終調整している——このニュースが広がるにつれ、SNS上では「外猫が即座に駆除される」という形で情報が拡散している。

不安に思っている人は多いはずだ。今日は、事実関係を整理し、過度な不安を煽らないための情報を伝えたい。

まず、屋内飼育の猫は明確に対象外

これは何度でも強調したい。

屋内で適切に飼育されている飼い猫は、今回の防除対象から明確に除外されている。家の中で暮らしている猫に、直接的な脅威が及ぶわけではない。

不安に思っている飼い主の方は、まずこの点を知ってほしい。

法的拘束力はない

今回の改定は、法律として強制力を持つものではない。

国民への注意喚起としての意味合いが大きいとされている。「リストに載った瞬間、自治体が一斉に駆除を始める」という制度ではない。

もちろん、自治体によって対応の温度差が出る可能性はある。だからこそ「法的拘束力がないから安心」と単純に終わらせず、今後の運用を注視する必要はある。

環境省自身が「捕獲後は譲渡」を前提にしている

これは見落とされがちな、重要な事実だ。

環境省の公式サイトには、ノネコ(野生化した猫)について次のような説明がある。「ノネコも元々は人間に飼われていたネコたち。飼い主の都合により捨てられることで生まれてしまう不幸なノネコ」——つまり環境省自身が、ノネコの問題の根本原因を「人間の責任」として明記している。

さらに、捕獲されたノネコについても「新しい飼い主に引き取ってもらうことで再びペットとして暮らすことができます」と明記されている。「捕獲=即殺処分」という単純な図式ではなく、「捕獲→人馴れ訓練→譲渡」というプロセスが、少なくとも建前としては想定されている。

マイクロチップによる識別が前提

希少種を守るための捕獲を進める上で、ノネコと飼い猫を正確に区別することが重要だと、環境省自身が明記している。

これは、無差別に猫を捕まえる制度ではなく、識別を前提とした制度設計が意図されていることを示している。マイクロチップを装着している猫であれば、「飼い猫である」ことを証明しやすくなる。

それでも、楽観できない理由

ここまで安心材料を並べたが、だからといって「何も問題ない」というわけではない。

①「適切な管理」の基準が曖昧
「屋内で適切に飼育されている」の基準が法律で明確に定義されているわけではない。自治体によって解釈に差が出る可能性は残る。

②過去に制度の悪用例がある
「ノネコであれば捕獲して殺してもいい」という認識が広がった結果、一般市民が誤解に基づいて犯罪行為に及んだ事例が過去に報告されている。今回の改定でこの混乱が解消される保証はない。

③地域猫・TNR活動への影響は未知数
地域住民の合意のもとで管理されている地域猫が、今回の改定でどう扱われるかは、自治体の判断に委ねられる部分が大きい。明確なガイドラインが整備されるまでは、不安が残る。

④「防除推進」という言葉の重み
「防除」という言葉自体に、駆除のニュアンスが含まれることは否定できない。建前として譲渡を前提としていても、現場でその通りに運用される保証はない。

今、私たちにできること

不安な気持ちのまま終わらせず、今できることを整理したい。

• 飼い猫は引き続き室内飼育を徹底する
• マイクロチップの装着を検討する(2022年以降、販売される猫には義務化済み)
• 地域猫活動・TNR活動への理解と支援を続ける
• 今後の制度運用を注視し、必要であれば自治体や環境省への意見表明を行う
• 正確な情報をもとに、冷静に声を上げ続ける

まとめ

「外猫が即座に駆除される」という単純化された情報の拡散は、必ずしも正確ではない。屋内飼育の猫は対象外であり、法的拘束力もなく、環境省自身が「捕獲後の譲渡」を前提として語っている。

しかし、だからといって安心しきっていい話でもない。「適切な管理」の基準の曖昧さ、過去の制度悪用の前例、現場での運用次第で結果が変わる可能性——これらは引き続き注視していく必要がある。

正確な情報をもとに、冷静に、でも声を上げ続けること。それが、猫たちを守るために今できることだと思う。


【追記】知っておきたい追加の事実

先行して類似の制度が運用されている奄美大島の事例を見ると、より厳しい現実が見えてくる。

奄美大島の「ノネコ管理計画」では、捕獲された猫の収容期間は原則1週間。その間に譲渡希望者が見つからなければ、殺処分されることが計画書に明記されている。「飼養を希望する者への譲渡に努め、譲渡できなかった個体は、できる限り苦痛を与えない方法を用いて安楽死させることとする」——これが実際の文言だ。

つまり「捕獲後は譲渡が前提」という説明は間違いではないが、それは「譲渡できなければ殺処分する」という条件付きの話であり、その期限はわずか1週間だということになる。

さらに見過ごせないのが、統計上の扱いだ。行政が野良猫を殺処分すれば公式の「殺処分数」としてカウントされるが、ノネコとして捕獲し殺処分する形であれば、その数字はカウントされない。同じ「命が失われる」という結果でも、分類を変えるだけで統計に表れなくなる。これは「批判されないための言葉のからくり」とも言える構造だ。

ただし、正確に伝えなければならない事実もある。奄美大島では、制度上は殺処分が可能であるにもかかわらず、これまでのところ実際の殺処分はほとんど行われていない(2023年3月末までの捕獲総数420匹に対し、殺処分はゼロ件という報告もある)。

なぜそれが可能なのか。行政の制度が優しいからではない。民間の保護団体による、限界ギリギリの努力があったからだ。

譲渡認定人は全国でわずか20〜25人。その中で実際に引き取っているのはごく数人だけだという記録もある。コロナ禍で入島が制限された時期には、譲渡希望者が島に渡ることすらできず、ボランティアが空輸というあらゆる手段を使って猫を救い出していたという記録も残っている。

加えて、捕獲時に首輪やマイクロチップで飼い猫であることが確認できない場合、その猫は「ノネコ」として扱われる対象になる。つまり、外に出ることのある飼い猫であっても、身元を証明するものを身につけていなければ、同じプロセスに乗ってしまう可能性がある。「屋内飼育なら対象外」という説明は、「外に出ない限り」という条件付きだったということだ。

「安心材料」として伝えた事実に、誤りはなかった。しかし、その「安心」が制度の優しさによるものではなく、現場の人々の限界ギリギリの努力によって、かろうじて保たれているものだったという実態——これも併せて知っておく必要がある。
「捕獲後は譲渡が前提」という建前と、「1週間で結果が決まる」という現実。この両方を、正しく知っておくことが大切だ。


参考:環境省「希少種とノネコ・ノラネコ」/奄美市「奄美大島における生態系保全のためのノネコ管理計画」「ネコ対策のこれまでの成果」/プレジデントオンライン「猫3000匹の殺処分を止めたい」2021年/PR TIMES「奄美大島に来ないで!コロナの裏で進むネコ3000頭駆除殺処分計画」2020年/南海日日新聞「22年度ノネコ捕獲101匹」

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