ワンツー、ワンツー
犬が我が家にやって来た頃、獣医さんから教わったトイレトレーニング方法がいくつかありました。
そのうちのひとつが、
「ワンツー、ワンツー」
という掛け声です。
犬がもよおした様子を見せたら、手を叩きながら「ワンツー、ワンツー」と、用を足し終えるまで声をかけ続けるのです。
獣医さんによると、これを覚えさせれば、車に乗せる前などに掛け声をかけるだけで用を足してくれるようになり、大変役に立つとのことでした。
犬は、見事この「ワンツー、ワンツー」を覚えてくれました。
この魔法の言葉を唱えると、条件反射のようにクルクルと回り始め、用を足してくれます。
旅行中やロングドライブの休憩時など、本当に大助かりです。
良かった。
良かった……のですが。
ひとつ、困ったことになっているのです。
犬のほうが、「ワンツー、ワンツー」を求めてくるようになってしまったのです。
もよおすと、トイレでこちらをじっと見つめてきます。
見出し画像がその時の犬です。
無言で、「例のあれを」と要求しているのです。
人間が気づいて「ワンツー、ワンツー」をやると、安心したようにクルクル回り始めます。
それだけではありません。
犬は、その場にいる人間全員の「ワンツー、ワンツー」を求めます。
私が唱え始めても、他に人がいたら、その人も唱えてくれるまでじっと動きません。
その結果。
来客中であれば、お客さんも含めた全員で手を叩き、声を合わせて呪文を唱え、犬が用を足すのをじっと見つめる……という、なんともシュールな時間が流れることになります。
お犬様の排泄を全力で応援する変態集団に見えますが、決して怪しい者ではありません。
今日も我が家は平和です。
