【スキマ小説】太郎系男子~三太郎会合~ショートショート
──とある居酒屋のカウンター。
日本昔話界の三大レジェンドが、静かに酒を酌み交わしていた。
「で、なんで俺たちが呼ばれたんだ?」
桃太郎が腕を組みながら、目を細め──
「おうおう、こんな薄暗ぇ場は肌に合わねえんだがな!」
金太郎がまさかりを床にドンッと叩きつけ、酒をあおると──
「まあまあ、落ち着きたまえ」
浦島太郎はその場を和まし、煙管(きせる)をくゆらせた。
──そう、今夜の議題はひとつ。
『結局、誰が一番強いのか』
*
「戦力的には俺がダントツだろ?」
桃太郎が団子を机に並べて続けた。
「こいつを食わせば、どんな動物でも仲間になるんだ!」
「へぇ」
金太郎が団子をひょいとつまんでじっと眺めた。
「……で、これ食ったら強くなるのか?」
「いや、ただ仲間になるだけだ」
「仲間になるだけかよ! だったら雑魚が増えるだけだろうが!!」
金太郎が拳をボキボキ鳴らして机を軋ませる。
「まさかり一発でクマも吹っ飛ぶ俺の前じゃ、団子軍団なんざただの烏合の衆だ」
「ふむ」
浦島がゆっくりと笑った。
「力業か……単調だな。私は玉手箱ひとつで“時間”を操れるのだ」
「いや、玉手箱ってじいさんになるだけじゃね?」
桃太郎が箸を止めずにツッコむ。
「違う。戦略的に使えば、敵だけを老衰させることが可能なのだ」
「……つまり?」
「敵を一気に、50年分老衰させることができる」
「え? ちょっと待て。お前がそれを鬼ヶ島で使ったら……」
「鬼、全員おじいちゃん確定」
「戦わずに勝てるじゃん……」
桃太郎が唸ると、浦島は煙をふっと吐いてドヤ顔をキメた。
「時代は知略だよ、諸君」
「いやいやいや!! 結局お前ジジイになってんじゃねーか!!」
金太郎がかぶせ気味に叫ぶと、
「わしは老いてなお強いわい!」
「急なジジイ口調やめろって! キャラブレるな!!」
「……お前は逆にブレねーな……ずっと脳筋」
桃太郎が大袈裟にため息をついた。
「お前、クマと相撲しかしてねぇじゃん」
「うるせぇ! 結局、勝つのは気合とパワーなんだよ!!
……で、脳筋ってなんだ?」
「いやそこ引っかかんな!!」
すると、浦島がふたたび微笑む。
「まぁまぁ、そんなに熱くならんでもよかろう?
実際、戦う場面なんてそうそうないんじゃし。……力を誇示するよりも、“三太郎同盟”でも結んだほうが得策だと思わんかね?」
三人に沈黙が流れる。
「……ありじゃね?」
桃太郎が賛同すると、
「団子で仲間を増やし、金太郎のパワーで蹴散らし、浦島が時間操作すれば……」
「天下取れんじゃねえか!!」
金太郎が豪快に笑った。
「よし、今日から三太郎同盟だ!!」
「では、乾杯じゃな!」
三人が杯を掲げる。
「天下統一に向けて──」
「かんぱーい!!!」
──こうして、日本昔話界に新たな伝説が生まれた。
……はずだったが、
三太郎たちの“会合”は、毎回ただの飲み会と化し、天下を取るどころか、居酒屋の常連になったらしい。
──今日もまた、”とりあえず一杯”の夜が更けていく。
めでたしめでたし。
* * *
📚こちらの作品をエピソード0とし、TALESにて連載小説──
「三太郎の異世界覇道戦記」
を書き始めました。もし、よろしければ一度読んでみて下さい😊
