【超短編小説】目を閉じて見るもの
光り輝く雨。
天からとろとろとやわらかく降っている。
あぁ、これは夢だとすぐに気づいた。
雨のなか、透き通った傘をかざしている少女は
むかしの面影を残しているけれど
出会った少女は車椅子に乗っていて
いま見ている少女は立っていた。
立ち上がることすらできないほどの
病に蝕まれた少女は目も見えない。
傘をかざした少女は
満面の笑みで光の雨のなか、立っていた。
夢は不思議だ。
現実のおれの目はとじているのに
どうしてこれほど鮮明に見えているだろう。
心のなかの目で見ているのだろうか。
いままでの記憶と
たくさんの思い出たち。
それらがあれば、たとえ目を閉じていても
夢、という世界さえあれば
いつでも見ることができるのか。
盲目の少女とはもう会えない。
おれと
最近話すことがすくなくなった幼馴染と
盲目の少女の三人で、
もう、おしゃべりすることもない。
遠い、遠い、届かぬ思い出。
夢のなかでは会えるけど、
所詮は幻にすぎない。
夢のなかの盲目の少女は笑っていて
傘をさしているのは濡れないためではなく
きっと
雨の音を聴いているんだろう。
光の雨の音は
どんな音がするのだろう。
ふっと目覚めた。
おれの両目から雫がいくつもこぼれていた。
時が流れ、時間が過ぎていき、
幼馴染とも話さなくなり
おれは最近、元気がない。
それでも笑っている少女に夢で会えて、
いまはすこしだけ、元気が出た気がする。
美しい光の雨。
天気に携わるおれの仕事なら
何かを変えることができるのだろうか。
おれはむくりと起き上がり、夢を断ち切るように、プルプルと寝癖だらけの栗色の頭を振りかぶった。猫の肉球だらけの自室のカーテンから、太陽のあたたかい光が細く差し込んでいる。光が当たっているところだけ、ホコリが煌めいている。
今日も仕事だ。
夢は覚めるものだ。
現実では現実でしか、叶えられないことがある。
おれは口角をぐいっと上げながら
まずは温かいスープをたべようと
台所へと向かう。
(おしまい 約780文字)
小説からイラストをイメージしたり、
イラストから小説をイメージしたり。
ひいろ様のイラストをもとにお話を作ってみました。

光の雨、をキーワードにして。
どのイラストもとっても素敵です…!
AIで生成されたイラストが苦手という方もいらっしゃるかと思いますが、わたしは現実にはありえないイラストを見ると、たくさんの気づきを得られます。咲く時期が違うから、本来なら同時に見ることはできない花畑とか。くじらの雲とか。雲の上に乗っちゃうとか。
ひいろ様、いつもありがとうございます!
さて、Talesにて「雲師 KUMOSHI」が番外編まで公開されました。
たくさんの方に読んでいただきました。ひっそりと更新しているけれど、いつもスキをつけていただいた方、また本当に嬉しいことにレビューまでいただくことができました。深く感謝を申し上げます。
さて、今回はnoteにて800文字程の短文を投稿いたしましたが、イメージがさらに膨らみ、雲師の新しい番外編をひとつ書き上げました。
現在noteでは「しろあはね」を連載中ですので、雲師の番外編はTalesにて投稿させていただきました。
もしよろしければ読んでいただけると幸いです!
最後までお読みいただき感謝申し上げます。
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