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地方公会計をめぐる冒険⑤|続・財務書類作成の流れ

私(執筆者)と新規入庁職員(架空の人物。以下、「新」)の対話形式です
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1|続・全体像

私:前回は、財務書類作成の流れと仕訳について説明した。今回は、仕訳の知識を踏まえて、再度、財務書類作成の流れを説明しよう。
新:前回より、全体をイメージできればいいですけど。よろしくお願いします。
私:再度、財務書類作成の流れをおさらいしよう。

図1 財務書類作成の流れ
総務省「統一的な基準による地方公会計マニュアル(令和7年3月改訂)」p.35より引用

私:前回は仕訳について説明した。今回は、主に仕訳帳、総勘定元帳、合計残高試算表、精算表を説明することになるが、仕訳ほど難しくない。

2|仕訳帳から精算表まで

私:さて、はじめに仕訳帳の説明となるが、実物を見てもらった方が早いと思う。図2が、仕訳帳となる。

図2 仕訳帳
総務省「統一的な基準による地方公会計マニュアル(令和7年3月改訂)」p.107より引用

新:この図、仕訳例の表と似てますね。
私:形式としては、ほぼ同じだ。取引を仕訳して日付ごとに記録した帳簿を、仕訳帳と呼ぶ。
新:そうなんですね。意外と呆気ない。
私:ここからテンポよく行こう。続いて、図3が総勘定元帳となる。総勘定元帳は、勘定科目ごとに、仕訳帳から転記した帳簿のことだ。仕訳帳を勘定科目ごとに転記すると、総勘定元帳が作成できる。

図3 総勘定元帳
総務省「統一的な基準による地方公会計マニュアル(令和7年3月改訂)」p.16より引用

新:総勘定元帳は、勘定科目ごとにまとめた帳簿ですね。勘定科目ごとに仕訳帳から転記して、日付順で並べる、と。
私:そのとおり。続いて、図4が合計残高試算表となる。合計残高試算表は、総勘定元帳の勘定科目ごとの残高と合計額を表示した一覧だ。総勘定元帳をもとに、勘定科目ごとに残高と合計額を整理すると、合計残高試算表が作成できる。

図4 合計残高試算表
総務省「統一的な基準による地方公会計マニュアル(令和7年3月改訂)」p.19より引用

新:日付の項目がなくなって、1勘定科目につき1行になっていますね。
私:勘定科目ごとに残高と合計額を整理したから、1勘定科目につき1行となった。図4のうち、本年度計上額の借方・貸方について、その差を計算すると、本年度末残高を求めることができる。
また、合計残高試算表の目的については、渡部裕亘・片山覚・北村敬子(2025)「検定簿記講義/3級商業簿記」中央経済社の文章を、以下引用しよう。

試算表は、複式簿記の貸借平均の原理を利用して、総勘定元帳の記入や計算上の誤りをチェックすることができます。また、試算表は、貸借対照表や損益計算書を作成する基礎資料となるので、決算手続きにおいてもたいへん重要な集計表です。

渡部裕亘・片山覚・北村敬子(2025)「検定簿記講義/3級商業簿記」中央経済社, p.47より引用

私:貸借平均の原理とは、借方と貸方の金額が一致する、というものだ。つまり、借方と貸方の金額が一致しなかった場合、転記誤りがあるなどミスに気づくことができる。
新:確かに、貸借対照表など作成するにあたって、転記誤りなどチェックできるのは重要ですね。
ちなみに、勘定科目の右に、BSとかPLとか英字がありますが、これは財務書類のことですか?
私:そのとおり。BS=貸借対照表、PL=行政コスト計算書、NW=純資産変動計算書、CF=資金収支計算書のことで、おおむね財務書類ごとに並んでいる。
新:勘定科目ごとに本年度末残高を求めることができて…。あとは、貸借対照表など財務書類の作成だけですか?
私:勘が鋭いね。あとは、試算表の各勘定科目の残高に基づいて、貸借対照表(BS)・行政コスト計算書(PL)・純資産変動計算書(NW)・資金収支計算書(CF)を作成していく。
新:なるほど。財務書類作成の流れは、ざっとイメージできました。
私:最後に、精算表の説明となるが、精算表は、合計残高試算表の残高について財務書類ごとに表示した一覧表のことだ。今回、合計残高試算表において、おおむね財務書類ごとに表示できていることから、精算表は省略したい。
新:分かりました。
私:そして、財務書類作成の説明となるが、これは図示のみにしよう。試算表の各勘定科目の残高に基づいて、貸借対照表を作成すると、図5のとおり表すことができる。

図5 貸借対照表
総務省「統一的な基準による地方公会計マニュアル(令和7年3月改訂)」p.20より引用

私:例えば、試算表において、財政調整基金(BS)の本年度末残高が(借方)50万円となっているが、貸借対照表においても、借方にある財政調整基金の勘定科目には50万円が計上されている。
新:なるほど、1対1の対応関係にあることが分かりました。
私:以上が、財務書類作成の流れの説明となる。今回の説明を、ざっとまとめておこう。

取引を仕訳して、帳簿に記録する(仕訳帳の作成)

勘定科目ごとに、仕訳帳から帳簿に転記する(総勘定元帳の作成)

総勘定元帳の勘定科目ごとの残高と合計額を一覧に表示する(合計残高試算表の作成)

合計残高試算表の残高について財務書類ごとに表示する(精算表の作成)

合計残高試算表(または精算表)の勘定科目ごとの残高に基づき、貸借対照表など財務書類4表を作成(財務書類の作成)

新:一つずつ説明を聞くと、なぜ貸借対照表が作成できるのか理解できますね。ようやく図1の流れを見て、なるほどねと思えるようになりました。
私:ざっと全体像を理解してもらえてよかった。ただし、地方公会計の実務上は、合計残高試算表を見ることは少ないかもしれない。
新:え、そうなんですか。ここまで理解したのに。
私:というのも、地方公会計で財務会計システム等を利用している場合、現金取引のデータは、資金仕訳変換表に基づいて、自動仕訳されるんだ(仕訳帳の自動作成)。そして、機械処理を経て、総勘定元帳と合計残高試算表も自動作成されることになる。
新:ほとんど機械処理なんですね。本当、ここまで理解したのは何だったのか。
私:そうでもないよ。いくら機械処理とはいえ、理屈を知っていて運用するのと、理屈を知らずして運用するのとでは、雲泥の差があるからね。
仮に、機械処理を経て、貸借対照表を作成したとしよう。しかし、よく見ると、借方と貸方の金額が一致していなかった。この場合、不一致の原因のあたりをつけるために、まず何を確認したらいいだろう?
新:そうですね、何かしら計算ミスかもと疑うなら、合計残高試算表の各勘定科目を確認すると思います。
私:そのとおりだと思う。あたりをつけることができたのは、財務書類作成の理屈が分かっていたからじゃないかな?
新:そうですね。理屈を知っていたからこそだと思います。
私:だからこそ、遠回りだったが、まず簿記上の財務書類作成の流れを説明した。申し訳ない。次回は、歳入歳出にかかる資金仕訳と非資金仕訳について説明するとしよう。今回はここまで。
新:ありがとうございました。

--参考文献
渡部裕亘・片山覚・北村敬子(2025)「検定簿記講義/3級商業簿記」中央経済社
総務省「統一的な基準による地方公会計マニュアル(令和7年3月改訂)」(閲覧日:2026年2月5日)
https://www.soumu.go.jp/iken/kokaikei/

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