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(2) 水と人の物語|フィリピンで気づいたこと

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🌅 酒井先生のまっすぐ手記|旅で出会った、人と知恵とユーモア

1947年 新潟県長岡市(栃尾)生まれ。
青年海外協力隊員として2年半フィリピンに派遣され、理数科教師を務める。
長崎大学熱帯医学研究所での研修を経て、1997年に酒井歯科医院を開院。
長年にわたり歯科医師として地域医療に携わってきた。
そんな酒井さんが、旅先で出会った人々との交流や、異文化に触れて感じた驚きや学び――
すべてを“まっすぐ”に綴った、ちょっとユーモラスで深みのある旅の手記です。

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※1995年。酒井先生のフィリピン手記より

💧 生水は飲むなと言われて

私がこの国に着いたとき、最初に耳にしたのは意外な忠告であった。
「生水を一週間は飲むな」――そう言われたのである。

日本では水道の蛇口をひねればそのまま飲める。小学校のころ、校庭で遊んで喉が渇けば、蛇口に口をつけて水を飲んだものである。その当たり前の行為が、ここでは禁じられているという。にわかには信じがたい話だった。

「大げさではないのか?」

一瞬そう思ったが、現地の人の真剣な顔を見て軽んじてはいけないと悟った。

私はどちらかといえば胃腸は丈夫なほうである。それでもこの忠告を忠実に守ることにした。異国で病に倒れるのは、何より避けねばならない。

結局、一週間どころか数か月にわたり、生水を口にすることはなかった。その代わりに飲んだのはコーラやビールであった。

ここは年中暑い。夕方になると、日本の夏のように冷たいビールが欲しくなる。私も例外ではなく、どこにいてもよくビールを飲んだ。冷えたビールの泡が喉を通る瞬間だけが、暑さにまとわりつかれた体を解放してくれるようであった。

こうして私は「生水は飲まない」という約束を自分に課しながら、この国での生活を始めたのである。その小さな我慢の積み重ねが、やがて自分の身を守ることにつながったのだと思う。

濁った水と透明な水のコップ、ペットボトルのミネラルウォーター、そして袋詰めの水を並べた写真。飲料水の安全性や形態の違いを表現している。

🍺 ビールの“オン・ザ・ロック”

ここは年中暑い国である。日本の夏のように、夕方になると冷たいビールが欲しくなる。私も例外ではなく、どこにいてもよくビールを飲んでいた。

ところが、店に行って冷えたビールがなくなると、店員が氷を持ってくる。
「冷えていないビールに氷を入れて飲めばいい」というのである。

最初は驚いた。ウィスキーのオン・ザ・ロックなら分かるが、ビールのオン・ザ・ロックというのは聞いたことがなかった。

しかし実際に飲んでみると、これが案外悪くない。氷で冷やされ、すっきりした口当たりになる。南の国ならではの、のんびりとした風情を感じさせる飲み方である。

私はビールのオン・ザ・ロックを楽しみ、また氷を入れたジュースもしばしば飲んだ。こうして私は生水を直接ではなく、少しずつ間接的に飲むことになっていった。

「これは生水を飲んでいることになるのだろうか」

心の中でそんな疑問を抱きながらも、喉の渇きをいやす氷入りのビールを前にすると、細かいことは気にならなくなる。暑さに耐える毎日の中では、冷たい飲み物こそが救いだったのである。

氷を入れたジョッキビールの写真。木製のテーブルの上に置かれ、瓶ビールや栓抜き、タオルとともに南国らしい雰囲気を演出している。

😅 油断が招いた“3時間の試練”

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