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映画『笑いのカイブツ』 何がおもろいねん?知らんけど。(ネタバレ感想文 )

監督:滝本憲吾/2023年 日(2024年1月5日公開)

撮影が素晴らしいというのが第一印象です。
鎌苅洋一というカメラマンだそうで、構図がバシッと決まった落ち着いた画面が美しかった。
ああ、横浜聡子『俳優 亀岡拓次』(2015年)とか撮ってるんだ。
『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』(17年)もそうなんですね。
たしかにあの作品も撮影良かった。

あと、周辺のキャラクターの造形がすごく良かった。
片岡礼子様演じる母親とか、オードリー若林役の中野さんちの太賀君とか、松本穂香ちゃん史上最もエロい松本穂香ちゃんとか

そして菅田君ね。超かっこいい。こんな菅田君が観たかった。俺、生まれ変わったら小松菜奈になって菅田君と結婚したい(<お前がカイブツじゃ)

あとやっぱり、天音はいいんですよ。天音大好き。
我が家では、岡山天音は「アマネ」と呼んでいます。アンガールズ風に。
アーマーネー。

で、天音だから観ていられたようなものの、常軌を逸した男を2時間も見せられるのは正直辛い。
何だろう?例えるなら、ツッコミ不在の一人ボケが続いているような感じ。

『アマデウス』(1984年)が典型例ですが、常軌を逸したモーツァルトを描くには、第三者のサリエリの視点で描くことです。
モーツァルトが「ボケ」で、サリエリが「ツッコミ」。

『ジョーカー』(2019年)を引き合いに出す人もいるようですが(まあ分からんではないですが)、『ジョーカー』の元ネタ『キング・オブ・コメディ』(1982年)にせよ、同じスコセッシの『タクシードライバー』(76年)にせよ、常軌を逸した人物を通して、その先の何か、例えば社会や時代を描こうとしていたように思うんです。
つまり制作側は、常軌を逸した人物を客観視しているんですね。
少なくとも、本作のように原作者本人ではない。

つまりこれ、社会性とか時代とか関係なく、「僕、イカレてるでしょ?」ってだけの話なんですが、それで笑えるのは2パターンしかないんですよ。
MJことみうらじゅんもよく言ってますが、「そうだよ、あんたイカれてるよ」ってツッコむいとうせいこうや山田五郎ら第三者の視点で笑いに昇華するから成立する。そういうパターンが1つ。
もう1つは、その「イカれてるエピソード」が本当に可笑しいパターン。
「すべらない話」なんかがこれに相当する。

この映画はどっちでもない。不快なエピソードの羅列。
そうなんですよ、この映画、不快なんだ。

唯一映画的だと思ったエピソードは、3人での居酒屋場面。
菅田君は居酒屋で働き、松本穂香ちゃんは同棲・結婚しようとしている。
つまり、周囲は変化しているのに、この主人公だけは「ハガキ職人」から成長していない。
私はここに「青春の終わり」を感じたんですよね。いいシーンだと思ったんだけどな。
結果、なんだか主人公の「青年の主張」みたいな感じで観客の共感を呼び込もうとする。残念だ。
やっぱり、本人が原作者(語り部不在)であることが出てると思うんです。
これが第三者視点で描かれていたら、また違った映画になったような気がします。

スコセッシのカイブツ=デ・ニーロは共感を呼ばないからね。
真似はしたくなるけどさ。

(2024.01.07 テアトル新宿にて鑑賞 ★★☆☆☆)

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