見出し画像

私のささやかな「推し活」 —フランスと日本をつなぐ赤と白

まさか、ここまで夢中になるなんて思わなかった…。

フランスに暮らして十数年。

パン屋の香ばしい匂い、マルシェの活気ある喧騒、石畳に響く足音。

それらは、もはや特別なものではなくなっていた。

驚きや新鮮さは、いつの間にか日常に溶け込み、見えなくなっていたのだ。

けれど、今年は違った。

ふとした瞬間から、私の心を熱くする何かが生まれていた。

そのきっかけは、スタッド・ド・ランスの快進撃だった。

48年ぶりのカップ戦決勝進出——まさか、こんなにも心を動かされるとは思わなかった。

気づけば私は彼らを応援し、まるで「推し活」をするように試合を追いかけていた。


「お母さん、それって完全に推し活だね」

成人して遠くで暮らす我が子が、電話越しに笑う。

確かに、私はすっかり彼らを“推して”いた。

リーグ戦では下位に沈むことも多いチームが、フランス杯では快進撃を見せた。

カンヌとの準決勝には、伊東純也選手、中村敬斗選手、そして最近チームに加わった関根大輝選手という日本人選手3人が揃って先発。

見事に決勝進出を果たした。


サッカーとの縁は、アメリカに住んでいた頃から始まっていた。

我が子が地元のチームに所属し、毎週末、他の親御さんたちと共に声を枯らして応援していたあの頃。

それでも、日本代表の試合を観る程度で、特定のクラブチームにここまで心を奪われることはなかった。

しかし今、スタッド・ド・ランスには3人の日本人選手がいる。

異国の地で必死に走る彼らの姿を見ていると、どこか我が子を見守るような気持ちになる。

そう、我が子もまた、異国の地フランスで懸命に自分の道を歩んでいる。


スタッド・ド・ランスは、かつて欧州を席巻した名門でありながら、長い低迷期を経て再び光を目指している。

そんな彼らの姿に、私も何か新しいものを見つけた気がした。

スタッド・ド・ランスの公式サイトを開くと、トップページには伊東純也選手と中村敬斗選手の姿、そしてサポーターが誇らしげに掲げる日の丸が映っている。

その光景が、どれほど私の心を熱くすることか。

彼らの戦いは、フランスの地に確かに日本の誇りを刻んでいるのだ。


決勝は2025年5月24日。

対戦相手は強豪パリ・サンジェルマン。

残念ながら、シーズンチケット保持者や常連サポーター優先の販売条件で、私はチケットを購入することが出来ない。

それでも、テレビの前で、心臓が飛び出しそうになりながら、彼らを応援するだろう。

応援するという行為は、単なる勝敗だけの問題ではない。

彼らの頑張る姿に自分や我が子の日常が照らされ、小さな刺激と勇気をもらう。

ただその存在を祝福し応援する気持ち。

スタッド・ド・ランスと共に駆け抜ける日々——これが、私のささやかな「推し活」だ。


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集