すうーっ。 その1
O君は今、事情があって一軒家に一人暮らししている。
その家に妖怪が出て困っていた、と言って彼はからからと笑った。
そんな話に目がないと知っていて、
なかなか僕に話してくれなかった。
どうして? と聞くと、
「もう出なくなった。だから安心して話せるかな、と思って。
だってアンタ、今出てるんだよ、というと俺んちに来るだろ?」
と言う。
専門的な知識もない人間がそんなことして、
妖怪の怒りを買うようなことになったらたまらんからな、
と付け加えた。
きっかけは大掃除だ。
一階の一部が店舗スペースになっていて、
そこが現在は物置と化している。
探し物がひょっとしてそこに紛れているんじゃないか、
とO君が一人で片付けはじめた。
いったんはじめてしまうと中途半端はイヤな性分で、
とりあえず大きく四つくらいの島を作り、
それぞれの島を大雑把にジャンルで分けてしまうことにした。
父の島と母の島と店舗用の島。
そしてそれ以外の物を置く島。
そう決めてはじめるとはかどった。
ほとんど見えなかった壁面も見えるようになってきた。
と、応接間に面している壁の一番下に、
錠が下りていて何が入っているかわからない木箱があった。
古いものだ。
大きさは両手でやっと抱えられるくらい。
錠も、なんだかいかめしいデザインだった。
その家はO君のおじいさんの代から使われているので、
いつからあったかもわからないものを、
自分が勝手に開けてしまうわけにはいかない。
とりあえずそこにあっては通路を確保できないので、
O君はその木箱を“それ以外の物を置く島”の一番上に重ねた。
<つづく>
