やたらと長いエスカレーター
T女史は最寄の駅で終電を降りた。
ホームに人はいない。
Tさんは改札に続く長いエスカレーターに乗った。
とんとん、とエスカレーターをのぼる足音が聞こえる。
Tさんのすぐ後ろで足音は止まった。
彼女は自分が股上の浅いジーンズをはいていることを思い出した。
下着が見えていないかを確認するために、
彼女はジーンズの腰の部分に手をやった。
「だ~いじょ~おぶ~。パンツ見えてないよぉ~」
耳に息がかかる距離で聞こえた。
ぞっとするほど高い声だった。
びっくりしてTさんはがばっ、と振り返った。
誰もいない。
エスカレーターに乗っているのはTさん一人だった。
