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寺で見た“それ” その1

小学校四年生の時だったか。

家族と、いとこと一緒に京都のお寺に観光に行った。
名は伏せるが、かなり有名な場所だ。
今も京都のガイドブックには百パーセント名前が載っている。

そのお寺でおまいりをした後、
親はベンチで休憩をはじめた。
腕白だった僕は親連中が休憩しているのをいいことに、
いとこと一緒にかくれんぼをはじめた。
お寺の中で、だ。バチ当たり極まりない。
神をも、いや仏をも恐れぬ行為だ。

とても大きなお寺だったので、
廊下が複雑に入り組んでいた。
それはちょっとした迷路のようで、
かくれんぼや鬼ごっこをするといかにも楽しそうだったのだ。
子供だったのだからこの発想はしょうがない。

いとこから上手く隠れることができ、
僕は嬉しくなった。
ニヤニヤしながら、ふと、隠れていた部屋の後ろを見た。

パーテーションがあり、その向こうに木の引き戸が見える。
見るからに古そうな引き戸だ。

嬉しさで少し気持ちが大きくなった僕は、
足音を忍ばせて歩くとパーテーションの向こうに回った。
木の引き戸には、
『この先、関係者以外の立ち入りをお断りしています』
と毛筆で書かれている。
僕はそこに書かれている意味を十分理解した上で、
ゆっくりと引き戸を開けた。

引き戸を開けると、中には廊下があった。
奥行きは5メートルくらいで、
突き当たりが左に折れている。
なんだ廊下か、と思い、すぐに違和感を抱いた。
その通路が、なんだか妙な具合なのだ。

少し考えて、すぐにわかった。

窓がないのだ。

外光がまったく差しこんでいない。
やたら高い天井からチェーンで吊るされた蛍光灯が、
ひたすら薄暗く通路の古びた木の床を照らしていた。

当然僕は中へ進んだ。
すぐに奥に突き当たり、
僕はそのまま左に折れた。

と、また引き戸があった。
そして、

『この先立入厳禁』

と書かれている。
さっきの扉に書かれていた注意書きより、いくぶん語気が荒い。

なんだ。この異様な構造。

少し怖くなったが、まだ後ろに帰り道は見えている。
僕は迷うことなく、その引き戸も開けた。
<つづく>


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