深夜のエレベーター
終電間際、オフィスの机に定期券を置き忘れているのを思い出した。
あわてて駅から会社のビルまで走り、
カードキーでセキュリティを解き、ビルに入った。
ビルは真っ暗で、しんとしている。
エレベーターは当然、一階で停止している。
僕はエレベーターの『開く』ボタンを押した。
中に、おじいさんが立っていた。
僕が言葉を失って固まっていると、
おじいさんは僕に軽く一礼し、エレベーターから出た。
そしてそのままビルの外へ出て行った。
誰もいないビルで。
止まって閉じられたエレベーターの中で。
一体何をしていたんだ?
混乱した頭で考えようとしたが、
すぐに終電間際であることを思い出し、
僕はオフィスに急いだ。
