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学校のシールがADHDの子どもを追いつめる?公開行動評価がADHD児に与える影響 | ADHD | 大人のADHD | 発達障害 | 発達特性 | 特性 | 不注意 | 衝動性 | 多動 |

こんにちは、春乃ひかりです。

「今日も学校で、僕だけ注意カードを貼られちゃった……」
「お友達はみんな緑のカードなのに、どうして僕だけいつも赤(注意)なの?」

小学校でお子さんのクラスの黒板や壁に、
「宿題を出した」「授業中静かにできた」といった行動の達成度を、
クリップやシールの色でクラス全員に見えるように掲示するシステム(公開型の行動管理チャート)が使われてはいないでしょうか。

一見、子どものやる気を引き出し、クラスの秩序を保つための良い工夫のように思えるこの掲示板。

しかし、ADHD(注意欠如・多動症)などの特性を持つお子さんにとって、このみんなの前での公開評価は、毎日心に深い傷(トラウマ)を植え付ける、非常に過酷なシステムになってしまっていることがあります。

朝起きると「学校に行きたくない」「僕はお友達よりダメな悪い子なんだ」と泣き出し、みるみる元気を失って不登校寸前まで追い込まれてしまう。

海外の作業療法士や教育心理学の研究(公開行動管理ツールとADHD児への影響に関するコラムなど)では、このシステムがADHD児の脳の仕組みにいかに害を与えるものであるかが警告されています。

今回は、なぜ「見せる行動管理」がADHDの子を追い詰めてしまうのか、その心理的メカニズムについてお話しします。

1. 羞恥心(しゅうちしん)は、行動を改善するエネルギーにならない

米国の作業療法士コミュニティで強く警告されているのは、子どもの行動状態を教室全体に可視化する仕組みは、ADHD児に対して行動の改善をもたらさないばかりか、深刻な不安と自己肯定感の低下を引き起こすという事実です。

クリップチャートや、近年普及し始めている公開型の管理システムは、定型発達の子どもたちにとっては「もっとがんばろう」という報酬(モチベーション)として機能することがあります。

しかし、実行機能に凸凹があり、自分の意思だけで多動や衝動を抑えることが神経学的に困難なADHD児にとって、この表は、自分が衝動性をコントロールできなかったという「失敗」を、毎日お友達全員の前に晒し出される公開処刑の掲示板になってしまいます。

悪い行動を可視化して羞恥心を与えることは、
脳の学習機能をフリーズさせ、
防衛反応(反抗や無気力)を引き起こすだけです。

専門家は、公開でのマイナス評価は「自分はダメな存在だ」という強い自己否定感(慢性的な羞恥心)を刷り込むだけであり、長期的に見れば行動を改善させるどころか、学校への恐怖心や大人への不信感を募らせる最大の原因になると指摘しています。

2. ADHDの脳が必要としているのは「プライベートな安心感」

では、ADHDを持つ子どもたちに対して、どのように行動のフィードバックを与えるべきなのでしょうか。

その答えは、

「プライベート(個別)なフィードバックと、肯定的なアプローチ」

です。

ADHD特性を持つお子さんの脳は、不安や緊張(闘争・逃走モード)が高まっている状態では、新しいルールを学習したり、衝動を抑えたりすることができません。

脳が「自分はここにいて安全だ」「先生は僕を嫌っていない」と心から安心できている状態であってはじめて、前頭葉のブレーキ機能が働きやすくなります。

そのため、できたことに対する賞賛も、できなかったことに対する軌道修正も、黒板の表を動かすような形ではなく、先生が個別に机に歩み寄って、

「今日はここまで忘れ物をせずに出せたね、嬉しいよ」

「今は少し立ち歩いちゃったね。深呼吸して席に戻ろうか」

と、静かにささやくように(プライベートな形で)伝えることが重要なのです。

3. 「見せる管理」から「個別フィードバック」への配慮依頼

学校の評価システムによって子どもが無気力になったり傷ついたりしているのを見たとき、親が起こせる大切なアクションは、学校(担任の先生)に対して個別の配慮を相談することです。

「子どもは学校のルールを無視したいのではなく、脳の特性で衝動を抑えるのに必死で戦っています。みんなの前でクリップを下げられると、心が折れてしまい、脳の防衛反応でさらに多動が強くなってしまいます」

と面談等で伝えることが有効です。

みんなの黒板の表から名前を外し、連絡帳の裏に貼った小さな「本人だけのプライベートカード」にシールを貼る形式(個別の非公開フィードバック)に変えてもらうなどの調整を行うだけで、子どもは「お友達に見られる心配がない」という安心感を得て、見違えるように笑顔と意欲を取り戻すことがあります。

子どもたちの尊厳を守ることは、すべての教育と支援の前提条件です。

大人の都合で作った「一括管理の便利さ」のために、繊細な子どもたちの自尊心を削り落とさないようにしたいですね。

4. 今日からできる小さな一歩

学校の評価システムやお家でのルール作りで、お子さんが「お友達との比較」に怯えたり無気力になったりしているのを見たとき、まずは今日からできる小さな一歩として、

「みんなはできているのに」「表のシールが少ないよ」
といった比較の言葉を完全にやめ、
連絡帳や家庭内で
あなたと先生(またはママ)だけの秘密の目標
を1つだけ設定し、達成できたらこっそりハイタッチしてみる

ことから始めてみませんか?

全体の中での評価を切り離し、個別の一対一の温かい関係性の中で、できたことを認めてあげるのです。

そのプライベートな安心感の積み重ねが、お子さんが自らの力で社会のルールと向き合っていくための、しなやかで強い心の根っこを育てます。

まとめ

公開される良い子シールは、時に繊細な子どもたちを追い詰める凶器になります。

みんなと同じ枠に入れなくても大丈夫。

個別に見つめ、その子の小さな成長をそっと喜んであげられる、優しい居場所を増やしていきたいですね。

今回の内容について、あなたのご家庭では学校のルールや掲示物に関して、お子さんがどのような反応を見せたり、対策をとったりされましたか?

ぜひコメントで教えてくださいね。

春乃ひかりでした。

用語解説

  • 公開行動管理システム(クリップチャート等): 教室内の全員に見える形で、生徒一人ひとりの行動評価(提出物や態度など)を色分けされたクリップやカードで掲示・管理する教育手法。

  • 実行機能(Executive Function): 物事を計画し、感情をコントロールし、行動を状況に合わせて調整するための脳の最高管理システム。ADHD特性を持つ人はこの機能の発達が独特で、衝動の抑制に困難を伴う。

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