【自閉症】何度声をかけても動けないのはなぜ?切り替えられない脳の仕組みを知ると見え方が変わる! | 子育て | 子育ての悩み | 特別支援教育 | 療育 | 放課後デイサービス | 放デイ | 学校 | 支援級 | 発達障害 | ASD | ADHD | 自閉症 |
こんにちは、春乃ひかりです。
今回は自閉スペクトラム症の切り替え困難の話です。
「あと5分でお風呂だよ」
そう伝えたのに、レゴに夢中になっている子どもはまったく反応しない。
何度も声をかけた結果、突然大泣きしたり怒ったりしてしまう。
そんな経験はありませんか?
保護者としては、
「聞こえているのに無視しているのかな」
「どうしてこんなに切り替えが苦手なんだろう」
と悩んでしまいますよね。
長男がYouTubeを見ているとなかなかやめられないどころか
一度止めてもまた見始めたりしていたので、
モニターの上にタイマーをつけてアラームが鳴ったらやめる習慣をつけているところです。
最近、タイマーの成果で自分から辞められるようになってきました。
次男は藤子・F・不二雄の漫画が大好きで、今は新おばけのQ太郎にどハマりしていて声かけしても返事がなかなか出来なかったり、やめられません。
実は海外では近年、自閉症の子どもの切り替えの難しさについて、新しい視点から研究が進んでいます。
それは
本人のやる気や性格の問題ではなく、脳の注意の向け方に特徴がある
という考え方です。
今回は海外の教育現場や研究で注目されている「モノトロピズム」という考え方をもとに、自閉症の子どもがなぜ切り替えを苦手とするのか、そして家庭でできる支援方法について解説します。
1. なぜ自閉症の子は切り替えが苦手なのか
海外の研究者たちは、自閉症の人の注意の向け方を説明する理論としてモノトロピズムを提唱しています。
モノトロピズムとは、一度に少数の対象へ深く集中する認知スタイルのことです。
一方、多くの定型発達者は複数の情報へ同時に注意を向けやすい傾向があります。
例えば料理をしながら会話をして、テレビの音も聞くことができます。
しかしモノトロピックな脳では、一つのことに注意資源が集中します。
レゴを作っているときはレゴ。
絵を描いているときは絵。
ゲームをしているときはゲーム。
周囲の声や環境が入りにくくなるのです。
そのため、
「靴を履いて」
「宿題を始めて」
という声かけが届いていないように見えることがあります。
これは反抗ではなく、深い集中状態にあるためです。
2. メルトダウンは「困らせたい」からではない
① 切り替えにはたくさんのエネルギーが必要
私たちはつい、
「今やっていることをやめて次をやればいいだけ」
と考えがちです。
しかし自閉症の子どもにとってはそう簡単ではありません。
切り替えには、
・今の活動を止める
・次に何をするか理解する
・気持ちを切り替える
・身体を動かす
といった複数の工程があります。
これらを一気に処理しなければならないため、大きな負荷がかかります。
② 不安が強いほど切り替えは難しくなる
海外の研究では、認知的柔軟性(状況に応じて考え方を切り替える力)の困難さと不安の強さには関連があることが報告されています。
自閉症の子どもにとって予測できる状況は安心です。
しかし予定変更や活動の終了は、
「次に何が起こるのだろう」
という不安を生みます。
その結果、脳が危険を感じてしまい、パニック状態になることがあります。
周囲から見ると癇癪や反抗に見えても、本人の中では不安や混乱が起きている場合が少なくありません。
③ 「できない」と「やりたくない」は違う
保護者が特に知っておきたいのはここです。
切り替えが苦手な子どもは、
「やりたくない」
のではなく、
「今は切り替えられない」
状態にいることがあります。
この違いを理解するだけでも、親子関係は大きく変わります。
3. 家庭でできる具体的なサポート
① タイマーで時間を見える化する
「あと5分」
という言葉は意外と抽象的です。
視覚タイマーを使うと、残り時間を目で確認できます。
我が家は以下を使っています。
小さい頃は
・表示が大きいもの(19cmタイプ)
・時間が時間が短めの物(〜30分計)
がおすすめです。
うちは30分計を使っていてリビングの子供が時間を操作できる高さ(子供の目線の高さ)の壁につけています。
これは毎日何度も使っていて重宝しています。
あらゆる場所で使うなら以下のタイプ。
勉強なら机の上で見やすい以下のタイプがおすすめです。
時間の終わりが予測できるため、心の準備がしやすくなります。
② 途中で終わっても大丈夫を伝える
切り替えが苦手な子の中には、
「今やめたら続きができなくなる」
という不安を抱えている子もいます。
レゴなら写真を撮る。
工作なら専用の保管場所を作る。
途中の状態を残せるようにすると安心感が高まります。
③ 自然な区切りを待つ
集中している最中に突然中断させるより、
・ブロックを置いた瞬間
・本のページを読み終えた瞬間
・ゲームの一区切り
などを待つ方がスムーズです。
うちは
ショート動画なら途中の動画が終わったらおしまい。
長い動画なら「これはさすがに長すぎるからもう終わるよ」と説明してから途中でおしまい。
ゲームならアラームが鳴ってちゃんとセーブし終わってからおしまい。
その方が子供達も納得して気分良く終われていますし、
自分からやめる行動をしてくれやすいです。
④ 指示より情報提供を増やす
「早く靴を履いて!」
よりも、
「玄関に靴を出しておいたよ」
の方が受け入れやすい場合があります。
これは海外で「宣言的言語」と呼ばれる関わり方です。
命令ではなく情報として伝えることで、プレッシャーを減らせます。
私はタイマーを使ったうえで
「あと5分で(動画は)終わりだよ」
はよく伝えます。
4. 深い集中は弱みではなく強みでもある
切り替えの難しさばかりに注目すると、どうしても課題として見えてしまいます。しかし同じ特性は大きな強みにもなります。
深い集中力は、
・知識を徹底的に学ぶ
・好きなことを追究する
・創作活動に没頭する
といった力につながります。
実際、多くの自閉症当事者が、
「好きなことに集中している時間は心地よい」
と語っています。私もとてもそう感じます。
私たち大人の役割は、その集中力を奪うことではありません。
必要な場面で切り替えをサポートしながら、子どもの持つ力を活かせる環境を整えることです。
用語解説
モノトロピズム
自閉症の人に多く見られる注意の向け方の特徴です。
一度に少数の対象へ深く集中する認知スタイルを指します。
認知的柔軟性
状況の変化に合わせて考え方や行動を切り替える力のことです。
実行機能
計画を立てたり順序立てて行動したりする脳の管理システムです。
まとめ:切り替えられないのではなく、切り替えに時間が必要
子どもが活動をやめられないとき、
「言うことを聞いてくれない」
と感じることがあるかもしれません。
しかし海外の研究や当事者の声を見ると、その背景には脳の特性が関係していることが分かります。
切り替えが苦手なのは怠けているからでも、反抗しているからでもありません。
深く集中できる力の裏返しでもあるのです。
少しだけ準備する時間を増やし、安心して次へ進める橋をかけてあげる。
その積み重ねが、子どもの自己理解や自己肯定感につながっていきます。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
もしよければ、「うちの子も切り替えが苦手です」と感じた場面や、「こんな工夫がうまくいった」という経験があれば、ぜひコメントで教えてください。

