【大人のピアノ】大人ピアノ初心者・再開者が直面するハードル(その①)
👆noteで使用可能な画像を使わせていただきました。有難うございます。
私は、「大人ピアノ再開者」のくくりに入りますが、「大人ピアノ初心者」の人にも当てはまる内容かなと思ったので、タイトルをそのようにしました。
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私は、50歳からピアノを再開して、一時期はピアノ演奏や作曲のレッスンを受けました(それぞれ半年ほど)が、現在は独学で、自分が幸せを感じることを最優先にして楽しく続けています。
そんな私が、60歳を過ぎて実感することを、ピアノを再開した素人の立場で列記すると:
①「ピアノがどんどん下手になっていく」:
これは、私が言った言葉ではありません。
50代の頃に、ピアノサークルに入っていた時に、当時60歳以上のピアノ愛好家さんたちが口を揃えて言っていた言葉です。
「あなたはまだ50代? 自分も50代の頃にはまだマシだったけど、60になったら、ピアノがどんどん下手になっていくんですよ」
「まず、覚えるのにとても時間がかかるようになった」
「そして、ようやく覚えても、次の日には忘れてしまう」
「完璧に覚えたはずの箇所なのに、とんでもなく違った音を叩いてしまって茫然自失になる」
へぇ、そんなものかなぁ?
と、当時私は思っていました。が、
60を過ぎた現在、先達のピアノ愛好家さんたちが当時言っていたことが、我が身に降りかかっています。
これは、ピアノというよりも、人間が加齢とともに記憶力が弱くなることの影響だと思います。
実生活で物忘れがひどくなったと感じたら、それは、そっくりそのまま、ピアノでも影響が出るのは当然です。
個人的には、55歳を過ぎたら、ガクン!と、覚えるスピードが落ちました。そして60歳を過ぎたら、さらにガクン!と覚えられなくなりました。
だから、中高年からピアノを始めたり再開したりする人は、なかなか覚えられなくても、「これは老化のせいだもんね~!」と思って、無駄に焦ったり絶望したりすることなく、自分のできる程度内で穏やかに楽しんで続けるのが、人生の幸福につながると、私は思いますし、実際私はそうしています。
②絶対音感は加齢とともにズレて頼りにならなくなる:
ピアノ再開組の人たちが、ほぼ確実に直面するのが、「子どもの頃に自慢していた(笑)古典派レベル(笑)の絶対音感が、中年以後に半音~全音ズレはじめる!」という、加齢の影響です。
私は50歳でピアノを再開したときに、この絶対音感のズレに気づいて、当時は、絶対音感を取り戻さなければ!と、どこかの音大の「絶対音感ドリル」のサイトを必死にやって全くダメだったりと、悲惨な経験を重ねました。
ところが、「絶対音感は50歳前後からズレ始めて、60歳頃に完全に失われる」という説を知り、また、「ストラヴィンスキーやコルトレーンは相対音感オンリーの人だった」という情報も知ったので、あっさり相対音感の獲得に舵を切って、いまや相対音感の絶対的な恩恵をエンジョイしています。
相対音感の恩恵とは、
①あらゆるキーに瞬時に移調して弾ける
②ジャズなどの非古典的な西洋音楽のハードルが下がる
です。
私が相対音感を獲得できたのは、ピアノ再開後にピアノレッスンに通ったからではありません。 なぜなら、ピアノ再開時に再び習った、子どもの頃に習ったピアノの先生に相対音感が有るはずが無いからです。
子どもの頃からクラシックピアノ漬けで音大まで出たクラシックピアノ教師は、その過程で(ピアノレベルの粗い)絶対音感を獲得したのと引き換えに、相対音感を潰されてしまっています。
ウソだと思ったら、ピアノの先生に、ト長調やヘ長調のメロディーを「移動ド」で歌ってもらってください。たぶんほとんどのピアノ教師が「移動ド」で歌えないはずです。
中高年からピアノを習い始めた人は、ピアノのレッスンで聴音の練習なんかさせられて全然できなかったら、それは、自分の才能のせいではなくて、単に自分が齢をとったからかもしれません。
また、聴音の練習問題をやらされそうになった時は、まずは当の先生に、「あのー、この間、こんな曲を聴いていいとおもったんですけどー、この曲、どんな曲ですかねー?弾いてもらえませんかー?」ってスマホからその曲を流して、瞬時に耳コピ演奏してもらって、先生の聴音能力を確かめるとよいかもしれません。
加えて、「この曲なんですけどー、この曲って、黒鍵が5つの調にしたらどんなかんじですかねー?弾いてもらえませんかー?」などお願いして、いきなりその場で移調して弾いてもらうと、その先生の本当の実力を明らかにすることができます。
私が子ども時代に習ったピアノの先生は、アンチョコ無しでそんなことを命じられたら、若い時もヒドい出来だったと思いますが、齢をとった今は、悲惨極まりないことになるだろうと想像します(そんな人でもコンクールの審査員ができるのが、ピアノ教育界の錬金術だと思います)。
この世は、「できるか、できないか」。それだけです。
そして、ピアノは言うものではなく、弾くものです。
だから、実際にその場でいきなり弾いてもらうのが、その人の実力を明らかにする、唯一の方法です。
加齢による影響は、ピアノ素人にも、ピアノ教師(素人ピアノのプロ)にも、プロミュージシャンにも、平等にやってきます。リヒテルっていうクラシックのピアニストが、高齢になってから絶対音感のズレに苦慮した話を紹介している動画が、これです👇
③自分の手の「小ささ」と「老いぼれ度」を自覚する:
「ピアニストの〇〇さんみたいに弾きたい」なんて思っている中高年は、自分の手の大きさと、加齢の影響を、冷静に悟ることが、老体に鞭打つ「年寄りの冷や水」特訓を回避する安全策になると思います。
まず、自分の手の大きさと年齢を冷静に自覚して、自分が文字どおりケンバン上で掌握できる音楽を楽しむスタンスが、大人に限らず万人のピアノにとって重要だと思います。
というのは、片手で11度が届く人と、片手でオクターブが届くかどうかの人は、スタート時点で、その人が見るピアノ(鍵盤楽器)の世界が全く違うからです。
「片手11度」の人は、片手10度の和音を弾く時に、手をすぼめて弾けますが、「片手オクターブ」の人は、片手10度の和音を弾くこと自体が物理的に不可能です。 だからバラシ弾き(アルペジエイト)にかかるわけですが、そのような、片手10度が頻発する曲を、楽譜どおりに弾く労苦は、「片手11度」人はゼロですが、「片手オクターブ」人は「 ∞ (無限大)」です。
この点を、冷静に自覚することが、「届かない中高年」が無理な練習を自分に課した結果、へバーデン結節などの指の不具合を発症して老後の手先の可動性が損なわれる、などの恐れを、事前に回避することができます。
このような、自分にとって物理的に無理なのに、ゴリ押しして練習を重ねて、へバーデン結節を発症した大馬鹿野郎が、ほかならぬこの私です! 指の可動性は、健康寿命にとって死活問題です。 10年前に戻って、当時の私に「バカなことはやめろ!」と言いたいです!
ところが、ピアノ教育には、「届かない人」に無理やり無謀な練習を煽り立てる仕組みが組み込まれています。 具体的には、ピアノ楽譜の「初級」「中級」「上級」の区分けです。 「上級」曲は、片手オクターブの和音がデフォルトで出てくるようになります。 つまり、「片手でオクターブがやっと」の人は、片手オクターブ和音をきれいな音で弾くためには、常時手を広げていなければなりませんし、大きな跳躍を無理やり弾こうとして、小指を鍵盤めがけて斜め上から突っ込んでいく「突き指弾き」になる可能性が高い。「突き指弾き」→へバーデン結節への最短ルートと実感しているのが、実際にへバーデン結節になった私です。 もし「突き指弾き」を避ける場合は、小指が鍵盤の上空に到達してから真下に下して打鍵する「ふんわり弾き」をする必要があります。 この「ふんわり弾き」のために、時間的な「タメ」が生まれてしまいます。 この「タメ弾き」が、「素人ピアノのプロ(手が小さい女性ピアノ教師)」によく見られる特徴だと思います。それを視覚的にごまかすかのような、大袈裟な手首や腕の回転動作も、彼らの特徴だと思います。
そして、ここまで書いてきた内容は、「片手で11度が届く人」には、まったくもって不必要な内容です。 理由は、「片手11度」人は、10度の和音を弾くのに、手をすぼめて確実に打鍵できる、身体スペックを、生まれつき、持っているからです。
だから、ピアノ楽譜の「上級曲」とは、「片手10度以上」人にとっては、「上級」でも何でもなくて、生まれつき弾ける曲なのです。
これに反して、私が習ったピアノの先生のような、片手でオクターブも届くかどうか?の人は、「上級曲」を作曲家の意志どおりに、楽譜どおりに演奏することは、生まれつき、不可能なのです。
私のピアノの先生は「片手オクターブ未満」人なので、彼女が完全に掌握できる曲は「初級曲」です。そういう人が、自分はとうてい弾けない「上級曲」を教えてお金をとることができるのがピアノ教育業界だ、と、私は感じました。
それから、片手で11度が届く人も、20代の頃と50代の今では、運動能力や瞬発力が格段に落ちていますから、「自分はもう若くはない」ことを自覚したうえで、ピアノでもテニスでも楽しみ続けると良いのではないかと思います。
とくに、クラシックピアノは「手の大きさ」という先天的な向き/不向きに加えて、運動能力が大きくモノを言うと思うので、あまりにもピアノ道楽を深刻に考えすぎて「年寄りの冷や水」のような猛練習を自らに課すことは、無駄な労苦になるばかりか、へバーデン結節などの指の障害につながる可能性が有ります。
音楽は「時間芸術」なので、水墨画や俳句と違って、ミスを取り戻すことができません。 また、よほど「音楽語」に精通していなければ、落語のように間違いに乗じてさらに面白くさせるような高等スキルは、無理です。 そもそも、楽器演奏で、ミスタッチを活かして演奏を広げる術は、楽譜どおりに正確に再現演奏するクラシック音楽では無理です(聴いているお客さんも、その曲を一音一音知っている人が多いから)。
素人ピアノ愛好家は、こういった点を冷静に認識していないと、耳ざわりのよいことばかり宣伝するピアノ教師にいいように振り回されて、自分の軸を失い、楽しいはずの趣味が地獄になってしまうと、私は思います。
それから、以前から「細い幅の鍵盤のピアノ」があるそうですが、日本の楽器メーカーは、細幅鍵盤ピアノの製造に手を出しません。 自国の人々は大柄人種ではなく手が小さい人が多いのに。 この細幅鍵盤ピアノに商機が有るような気がするのですが。 というのは、これによって、コンサートホールにピアノを2台入れることができるようになり、納品や調律の仕事もその分増えます。 手の小さい人たちがピアノを弾きやすくなるので、ピアノ人口も増えるかもしれない。
次回に続く。
