異国から来た少女がピアノ教室で見つけた「安心」と「挑戦」
異国から来た少女がピアノ教室で見つけた「安心」と「挑戦」
― 伊藤楽器ピアノスクールで出会った、16歳の生徒さんからの幸せメッセージ
中国から来日してまだ2か月。 言葉も分からず、友達もいないかもしれない。 そんな状況の中で、ひとりの少女がピアノ教室の扉を開いてくれました。
最初に来てくださったのは、お母さんとお嬢さん。 スマホの翻訳アプリを使いながら、なんとか要望を伝えてくださる姿はとても一生懸命で、その熱心さが胸に響きました。
先生に状況をお伝えすると、 「中国語は分からないけれど、大丈夫よ。なんとかするから」 と、迷いのない言葉を返してくださいました。
その一言が、彼女の背中をそっと押したのだと思います。
緊張の体験レッスン
体験レッスンの日、お嬢さんは緊張で表情がこわばっていました。 少しでも安心してほしくて、翻訳アプリを使いながら先生の人柄を丁寧に伝えました。
レッスンが終わると、先生と笑いながらレッスン室から出てきたお嬢さん。 その笑顔を見た瞬間、胸がじんわりと温かくなりました。
「来週から始めるっておっしゃってるわよ」 先生がそう伝えてくださった時、言葉の壁を越えて音楽がつないだ瞬間を感じました。
毎週、翻訳アプリで少しずつ
レッスンが始まってからも、私は毎週お母さんとお嬢さんに声をかけ、翻訳アプリで少しずつコミュニケーションを続けました。
そんなある日、幸せなメッセージをいただきました。
15歳のときにいただいた手紙
その手紙には、まずお嬢さんが中国語で書いてくださった一文がありました。
毎周去学习很高光!
続けて、お父さんが日本語で翻訳し、こう添えてくださいました。
(毎週ピアノに来るのが楽しみです。)
さらに同じ手紙の中で、お父さんからのメッセージが続きます。
娘が中国から来日して2ヶ月ですが、言葉の通じないなか熱心にご指導ありがとうございます。 日本語もピアノも初心者から少しずつ上達しているようです。今後が楽しみです。(父より)
異国での不安の中、家族で支え合いながらピアノを続けている様子が伝わり、胸が熱くなりました。
16歳になった今年
1年後、再び手紙をいただきました。 今度は、お嬢さん自身が日本語で書いてくださいました。
「私の好きな曲はリチャード・クレイダーマン作曲の『夢の中のウエディング』です。 少し物悲しい感じがする曲です。 リチャード・クレイダーマンは中国にも多くのファンを持っています。」
1年かけて、日本語で思いを伝えられるようになったこと。 その成長の軌跡に、胸が熱くなりました。
「夢の中のウェディング」という選曲
お嬢さんの好きな曲は、リチャード・クレイダーマン作曲の「夢の中のウェディング」。 少し物悲しい感じがする曲です。 リチャード・クレイダーマンは中国にも多くのファンを持っています。
異国での不安や緊張、そして未来への願い。 この曲の雰囲気と、お嬢さんの歩みがどこか重なるように感じました。
音楽が一生のお友だちになりますように
日本に来て、言葉も分からず、初めてのことばかりで大変だった毎日。 その中でピアノを習いに来てくださったことは、きっと大きな挑戦だったはずです。
その勇気に、私は心を打たれました。
「夢の中のウェディング」のように、 素敵な夢に向かって軽やかにステップを踏むように、 人生を心豊かに過ごしてくだされば良いなと思っています。
音楽が、彼女の一生のお友だちになりますように。
おわりに
このエピソードは、伊藤楽器ピアノスクールの宝物です。 言葉の壁を越えて、音楽が人をつなぎ、成長を支え、心を温める。 その瞬間を間近で見られたことに、深い喜びを感じています。
