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音で伝わる気持ち──言葉より先に届くもの

音で伝わる気持ち──言葉より先に届くもの

音には、言葉よりも先に心に触れる力があります。 レッスンの中で生まれる小さな音の変化が、 その人の気持ちをそっと教えてくれることがあります。

うれしいときの音、 少し不安なときの音、 誰かと重ねたくなる音。

教室で向き合う生徒さんたちの音から、 私はいつも“気持ちが音に宿る瞬間”を見つけています。

レッスンのあと、ある生徒さんが笑顔でこんなことを話してくれました。

「先生に“ここをつなげて弾いてみて”と言われて、その通りに弾いたら、 急に曲らしくなって……すごく嬉しかったんです。」

その言葉を聞いたとき、 音には“気持ちを前に進める力”があるのだと改めて感じました。 たったひと言のアドバイスで、 その人の中に眠っていた表現がふっと花開く瞬間があります。

また、子どもを通わせているお母さまが、 「うちの子、音痴が治ったんです」と嬉しそうに話してくれたこともありました。

音をまねして歌うこと、 先生の声をよく聴くこと、 少しずつ音が合っていく喜び。

その積み重ねが、 子どもの自信になり、 “できた”という気持ちが音にあらわれていきます。

どちらのエピソードにも共通しているのは、 音が気持ちを変え、気持ちが音を変えていくということ。

言葉ではうまく言えないことも、 音なら素直に伝わる。 その瞬間に立ち会えることが、 教室で過ごす時間のいちばんの幸せなのだと思います。

音が気持ちを変え、気持ちが音を変えていく── その小さな奇跡が、今日も誰かの心にそっと届きますように。

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