中野区文化施設の館長になって、見えてきたこと
お久しぶりです。PIAZZA代表の矢野晃平です。
2026年4月から、弊社は中野区文化施設(なかのZERO・なかの芸能小劇場・野方区民ホール)の指定管理事業者として、運営を担わせていただいています。私も館長(やのかん)として立ち上げています。
4月1日から2ヶ月半が経ちました。怒涛の立ち上げ期間を経て、ようやく少しだけ前を向けるようになった今、感じたことをシェアさせてください。
中野区文化施設って、どんな場所?
なかのZEROをはじめとする3施設は、中野区の文化芸術の創造拠点です。年間来場者数は約100万人。
施設の広さは約2.3万㎡。サッカーフィールドが3つ入るほどの規模です(勤務していると1日平均1.5万歩は歩きます)。
約1,200席の大ホールをはじめとする4つの舞台ホール、プラネタリウム、音楽練習室、美術工芸室…など合計24スペースあり、毎日本当にさまざまなことが起きています。
誰もが知る著名アーティストのコンサートから、お笑い・落語・バレエ・演劇・伝統芸能まで。学校の入学式や企業の会社説明会も行われています。プラネタリウムでは、優秀な解説員さんが星空の物語を語り、週末になると子どもたちの目が輝きます。陶芸窯もあり、地域の方が日々丁寧に作品を育てています。
利用される方も多様で、小さなお子さんからシニアの方まで、毎日行き交っています。全体の稼働率は7割を超えており、日々さまざまな芸術活動が繰り広げられています。

4月1日。怒涛のスタート。
本施設は20年間、前の指定管理者様が丁寧に運営を積み重ねてくださいました。今回が初めての事業者交代でした。
3月31日の夜間まで前事業者様が開館し、翌4月1日の朝8時から私たちの通常営業が始まるというスケジュール。120名のスタッフが一斉に切り替わるのと同時に、施設の予約システム移行まで重なるという、なかなかタフな出発でした。
正直、4月からの1ヶ月間の記憶がほぼありません(笑)。チーム一丸で、文字通り泥縄で走り続けました。
私たちの認識不足や、勝手がわからない部分で各所ご迷惑をおかけした場面も多くありました。その節は本当に申し訳ございませんでした。
一方で、「こうした方がいいよ」「今まではこうだったよ」と教えてくださる方がたくさんいて——「管理事業者」として来たはずが、初日から中野の皆さんに優しくナビゲートしていただいているのが、今の私たちのリアルです。(本当にありがとうございます!)

現場から見ると年間100万人という数字は、100万通りの「お気に入りの場所」
私自身、「館長」という肩書をいただき、茅場町のスタートアップオフィスから公共文化施設1Fの席へ引越してから、180度違う視点で毎日が新たな発見や出来事がある異種格闘技戦になりました笑
そこで、改めて実感しました。この場所には、本当に多彩な人生が集まっている。
隣の公園まで長蛇の列ができる一大イベント。何十年もこの場所を使い続けてくださっている常連の方。お小遣いをみんなで出し合ってバンド練習に来る学生たち。毎年同じ公演を楽しみに、他県から通ってきてくれるおばあちゃん。特に用事はないけれど、毎日ベンチに座りに来る方。
その全員が、私たちのお客様です。
年間100万人という数字は、100万通りの「お気に入りの場所」です。そのことを現場で感じるたびに、公共施設としての責任の重さを噛み締めています。

阿吽の呼吸で現場を動かすクルーの皆さん
今回、統括企業や舞台チームには変更がありましたが、サービスカウンターを担当するクルーの方々や、警備・清掃スタッフの多くは継続して残っていただきました。
この場を借りて、改めて感謝を申し上げます。
長年積み上げてきた運営ノウハウと、各所との阿吽の連携によって、この複雑な施設が日々回っている。どれだけ立派な仕組みを作っても、現場を知り抜いた人の力には勝てない。それをスタートから教えてもらっています。
これから、この施設のポテンシャルを最大化するために
今回の契約期間は5年です。
まず1年目は「しっかり引き継ぐこと」。プラスを作る前に、マイナスを減らす。地に足のついた運営を基本方針にしています。
その上で、以下の取り組みにも着手していきます。
① もっと多くの方に使ってほしい
全体稼働率は7割と決して低くない水準ですが、スペースによってはまだ余地があるのも実態です。芸能小劇場はすでに9割近い稼働になっている一方で、まだポテンシャルが眠っているスペースもあります。
特に「アトリエDONGURI」は、子育て層向けの大きなフリースペース。ここは個別に戦略を立てて稼働を上げていきます。
また、施設自体に用事がなくても「ふらっと来られる場所」にするための工夫(座れるスペースの設置など)も、少しずつ進めていきます。

② 3施設を起点に、中野区全体の文化芸術を動かす
私たちのミッションは、3施設の運営にとどまりません。これらを起点として、中野区全体の文化芸術を活性化させることです。
中に入って気付いたのは、内部に集約される情報基盤がまだ乏しいということ(いろんな背景と制約があった)。まずここを一つひとつ解きほぐしながら、情報基盤を整えて情報発信を推進し、自分たちの施設だけでなく中野区の文化活動全体を盛り上げるきっかけになりたい!
その上で、「来てもらうのを待つ」だけでなく、こちらから地域に出ていく。なかのZEROには大ホール・プラネタリウム・陶芸窯・練習室など、地域の方々に使っていただける豊かな資源があります。これらを施設の壁の中に抱え込むのでなく、地域に還元していくことが私たちの役割だと思っています。
そして近隣商店街との連携や区内施設との協働(アウトリーチ)も、徐々に進めていきます。新参者の私たちにとって、信頼関係の構築が最初のステップ。時間はかかるかもしれませんが、じっくり取り組みます。
地域に貢献してなんぼです。
③ スタッフが利用者ともっと向き合えるよう、DX・AI活用を推進する
現場に入ると、本当に忙しい。日々の通常業務に加え、鳴り止まない電話、突発的なトラブル、FAX・紙書類の事務手続き…。
でも「人を増やせば解決する」という話でもありません。
体制を整えながら、より一人ひとりが利用者の方に向き合える時間を作るために、業務効率化は必須です。
4月1日から会計経理システム入れ替えや現場はSlack・Googleを導入し、紙での業務連絡をデジタル化しました。最近はスタッフへのClaude導入も進め、マニュアル作成・データ分析・書類作成にAIをフル活用しています(個人情報の取り扱いやセキュリティは担保した上で)。
でも、これはまだ序の口です。日々の電話問い合わせをデータベース化してお客様の困りごとを分析したり、どのスタッフでも同じ知識にアクセスできるナレッジベースを作ったり。実現にはハードルがありますが、それが最終的に利用者の方のメリットになると信じているので、向き合い続けます。
テクノロジーはあくまで顧客接点を増やすために活用する。決して省くために使うものではない。弊社内のエンジニアともこれから一層連携していこうと思います。
この規模でDX・AI推進が実現できれば、中野区の他施設にも参考にしていただけるかもしれない。さらに言えば、テクノロジーを活用した指定管理業界の新しいスタンダードを作りに行く気概で取り組んでいます。

④ 歴史を尊重しながら、フェアな運営を
この施設には長い歴史があります。前の事業者だけでも20年。その前は区が直接運営しており、その積み重ねてきた歴史に深く感謝しています。
ただ、歴史の中には「気がついたらそういうルールになっていた」という慣例も少なくありません。(どこでもよくありますよね、、、)
私たちが機会をいただいた以上、短期的にはご批判をいただく場面もあるかもしれないですが、対話を重ねながら向き合っていきます。強引に推し進めるのではなく丁寧に。
今の心地よさより、将来にわたって持続できる公平な運営を目指して。その過程でぜひ皆さんのご意見をいただきたいです。

共に育ててください
私たちはまだ始まったばかりで、至らないことがたくさんあります。内部体制としても改善点はたくさんあります。
でも、この2ヶ月半で確かに感じたことがあります。この場所を大切にしている人が、中野にはたくさんいる。
だからこそ、皆さんのお声を聞きながら、一緒に運営を育てていきたいと思っています。私に直接でも、最後のフォームからでも、ぜひご連絡ください。
これからもよろしくお願いします。
なかの応援パートナーズ
代表企業:PIAZZA株式会社
代表取締役 / 館長 矢野晃平
最後に、共に運営を立ち上げてくださっているなかの応援パートナーズの関係者の皆様、本当にありがとうございます。大きな負担をおかけしている部分もありますが、引き続きONE TEAMで参りましょう。
PIAZZA社として「人々が支え合える街をつくる」ということをミッションに、これからもデジタルxリアルで事業を推進します。
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「人々が支え合える街を創る」というミッションを実現するためのスタートアップを経営しています。
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