定形第二位(格変化と語順の自由度) | 定形・不定形および原形という文法用語について。
https://note.com/piccolotakamura/m/m8a00821145be
「彼は彼女に(1冊の)本をあげた」は英語でいうと
He gave her a book. である。
「~に、~を」という語順が基本。
もし、「~を、~に」という順番で言いたいならば、
He gave a book to her. となり、
「to」をher の前に置く。
「her」と「a book」を入れ換えて
He gave a book her. と言ってしまうと「彼は本に彼女をあげました」という意味になってしまう(常識的に「おかしい」と分かるにしても)。
英語では格変化が少ないぶん、語順が厳格である。
ドイツ語では、「彼は彼女に本をあげました」は、
Er gab ihr ein Buch.という。
He gave her a book. と同じ語順。
これが基本。
けれども、ドイツ語は格変化が多いから、「定形第2位」(とりあえず「動詞」は2番目としておく)というルールはあるが、その他の語順は比較的語順は自由。
Er gab ihr ein Buch.という語順を基本とするが、「動詞が2番目」というルールだから、
Ihr gab er ein Buch.と言っても
Ein Buch gab er ihr. と言ってもいい。
多少ニュアンスは異なるが、意味内容に大きな変化はない。
次に現在完了形を考える。
英語なら
He has given her a book. だが、
ドイツ語では
Er hat ihr ein Buch gegeben. となる。
「hat」は「haben」の三人称の形で、「定形」だから2番目におかれ、「gegeben」は「geben」の過去分詞だから、(英語とは異なり)文末におかれる。いわゆる「枠構造」と呼ばれるものである。
定形・不定形・原形の違い
英文法では、「定形」「不定形」という言葉はほとんどみない。「不定形」という代わりに、たいてい「原形」という言葉を使う。逆にドイツ語文法では、「原形」という言葉はほとんど使わずに「不定形」という場合が多い。
「不定形」と言っても、「原形」と言っても、文法を理解する上でなにか特別に大きな支障があるわけではない。だが、一応、「不定形」と「原形」という文法用語について、英文法の枠組みの中で説明しておく。
たとえば、「彼は犬を飼っている」を英語で言えば、
He has a dog. である。
「私は犬を飼っている」なら、
I have a dog. だ。
英文法の用語で説明するなら、
「He has a dog.」という文の「has」は、「have」という動詞の「三人称単数現在形」ということであり、
「I have a dog. 」の「have」は、「動詞の原形」であるということになる。しかし、「has」も「have」も、ドイツ語の文法用語で言うなら、どちらも「定形」という。
どういうことか?
仮に、主語のない文を考えてみよう。
「( ) (have) a dog. 」(「(主語)が犬を飼っている」)という意味の文を考えると、主語がないから、動詞は定まらない。言い換えれば、動詞は「不定」ということになる。
だから、「( ) (have) a dog. 」という文の「飼っている」という意味を表す「have」のことを「不定形」という。
このことを踏まえると、英文の
I have a dog. の「have」も、
They have a dog. の「have」も
それぞれ「I」「We」という主語が定まっているから「定形」ということになる。
「定形・不定形」という文法用語は、英文法の教科書ではあまり見かけないが、「不定詞」という言葉は中学生でも知っている。
「不定詞」とは、主語が定まっていなくても、どんなときにも形を変えないから、このように呼ばれいる。
「to + 動詞の原形」も、使役動詞や知覚動詞とともに使われる「原形不定詞」も、主語が何であろうと、その形は同じだ。

中学生のとき、「『不定詞』はなぜ『不定詞』というのですか?」と先生に尋ねたことがあるが、お返事はいただけなかった。
その理由がわかったのは、大学で第二外国語としてドイツ語を学んだときだった。

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