" unlearn "と「習気」(英単語と日本語が結び付くとき)
おそらく10年以上前、哲学者の鶴見俊輔さんがNHKのドキュメンタリー番組に出演していたのを見た記憶がある。
その番組の中で、鶴見さんが留学時に先生から「学んだことがそのまま使えるわけではない。''unlearn ''しないとね。」
とアドバイスされたことを話していた。
「unlearn」という言葉は普段よく使用される言葉なのかどうかは知らないが、小さな辞書には掲載されていない。大きな辞書には
「unlearn (v) 忘れる」とだけ出ている。
鶴見さんも日本語では「学びほぐすかな?」と何となくしっくりと来ない様子で話していた。
いわんとしていることはよく分かった。
あくまでも私の解釈だが、例えば初めて自転車に乗るとき、ペダルはどうこぐか、手の動きはどうするか、視線はどこにあわせるか、といちいち頭で考える。
次第に自転車に乗ることに慣れてくると、いちいち頭で考えることはなくなる。これが「unlearn」ということなのだろう。
「忘れる」だと大きく違う気がする。
「学びほぐす」でも少し違和感が残る。
何かピタリとくる日本語はないものか?
それから何年か時が過ぎて、
「unlearn」という言葉も忘れかけていた頃、たまたま読んでいた鈴木大拙の著書の中で、「習気」(じっけ)という言葉に出会った。
「われわれが何かやる、心で物を考えるとか、体で何か行ないをすると、それがそのまま済んでしまわないで、後に何か残る。これが習気(じっけ)ということになっている。」鈴木大拙、「禅とは何か」、角川ソフィア文庫、p127
私は「これだ」と思った。
私は辞書の「unlearn」のページの余白に
「習気」(じっけ)と書き込んだ。
記事を読んで頂き、ありがとうございます。お気持ちにお応えられるように、つとめて参ります。今後ともよろしくお願いいたします

